「ボク、マイゴ」の意味とは?スティッチが語った“存在の孤独”を考察【リロ&スティッチ】

この記事はネタバレ情報やあらすじを含みます。シリーズの別作品含め未視聴の方は特にご注意ください

「ボク、マイゴ」──それは、壊すことしか知らなかったスティッチが、初めて“自分の気持ち”を言葉にした瞬間でした。


この短いひとことに、どれほど深い孤独と願いが込められていたのか、今回はそこにじっくり寄り添ってみたいと思います。

目次

「ボク、マイゴ」とはどういう意味?スティッチのたそがれた一言

映画『リロ・アンド・スティッチ』の中で、最も胸に迫るセリフのひとつがこれ──「ボク、マイゴ。……ボク、マイゴ」

リロの「オハナ」の言葉を聞いたあと、スティッチは森へ向かい、1人で『醜いアヒルの子』の絵本を開く。そして、誰にでもなく、ただ自分自身に向かって、この言葉をつぶやくんです。

この瞬間、ママはもう涙腺崩壊。それまで「壊すこと」しか知らなかった存在が、初めて“自分の居場所がない”ことに気づいた。いや、気づいてしまった──

それが、この「ボク、マイゴ」なんですよね。

これは、もちろん単なる道に迷ったとか、どこか遠いところに来てしまった事に対する後悔とか、どこかに行きたかったっていう話じゃない。

「自分の帰る場所がわからない」という、存在そのものの孤独。まさに「アイデンティティの迷子」なんです。きっと、だれしもが「帰る場所」というのを「心が安らぐ場所」として認識しているのかもしれませんね。帰る場所というのは安心できる場所。

たとえ、家のような建物の中にいたとしても、そこが安らいで安心できる場所でなければ、そこを変えるべき場所とは呼ばないですよね。

スティッチは、生まれながらに破壊することだけしかインプットされてこなかった。破壊の中に安心はなかったんでしょうね。醜いアヒルの子は、家族の元に戻ってハッピーエンド。家族と一緒にいる場所は、安心の象徴として描かれたんでしょうね。

スティッチはその象徴をみて、家族がいれば、安心できると考えたのかもしれません。そこに安心があるとは限らないというのが実際のところかもしれないけど、でも、安心というのは人と関わってはじめてやってくるもの。

そう考えると、安心を得るための帰る場所を見つけるための第一歩となる気付きを得た瞬間かもしれませんね。

“迷子”とは何か?ただの方向喪失じゃない“心の状態”

「迷子」って、日常では「はぐれた子ども」「場所がわからなくなった人」って意味で使われる。でもこの作品での「迷子」は、もっと深い。それは、「存在の目的を失った者の叫び」とも呼べるのかも。

スティッチは、もともと「壊すために作られた」存在。自分で生まれてきたわけじゃなくて、人工的に設計され、役割をプログラムされた生き物。

でも地球に来て、その“破壊”のプログラムが機能しなくなる瞬間に遭遇した。今までは、安心という感覚とは無縁だった存在が、リロの思いを受けて、心に少し暖かいものを感じた瞬間が生じた。生み出すことの喜びを多少味わったのかもしれない。そのとき、破壊だけがインプットされていた彼は初めて虚無感というのを感じたのかもしれないですね。

自分が“孤独である”と認識したとき、初めて心が動く

スティッチは、ただの暴れん坊じゃない。彼には、“心”がまだ芽生えていなかっただけ。でも、この「迷子」と自覚する場面で、彼は初めて自分の感情を「言葉」にできた。

「ボク、マイゴ」というたった一言には、「僕は今、ひとりなんだ」という自覚が詰まってる。そしてそれは、エゴやプログラムで動いていた存在が、「心で動く存在」に変わる第一歩だったのよ。

「迷子」とは、言い換えれば、**“家族を求め始めた証”**でもある。それまでは何も求めていなかったスティッチが、「ここにいたい」と思ってしまったからこそ、居場所を持っていない事の痛みに気づいた。

醜いアヒルの子=スティッチ自身?童話が重なる意味

スティッチが開いていた絵本は、『醜いアヒルの子』。これはもう、完全に自分自身を重ねていたんだと思う。アヒルの中で浮いていた「醜いアヒル」は、実は白鳥だった。

でも、その真実に気づくまでは、ただ「仲間はずれ」で、「変わった子」で、「嫌われ者」だった。スティッチもそう。ジャンバが「破壊のため」に作った。誰にも受け入れられなかった。

でもリロだけは、「壊すしかできない存在」に、「家族になってもいいよ」と言ってくれた。そのリロの元から離れ、森の中で「僕、迷子」とつぶやいたとき、スティッチの中では、“自分は何者か”という問いが、「僕は、もう“兵器”じゃなくて、“誰かの弟”になれるかもしれない」という気づきに変わっていたんじゃないかな。

醜いアヒルの子のラストは、白鳥が自分の姿に気づく。スティッチも、ここから「オハナ」に向かって歩き出す。それが、彼の“再誕”だった。

まとめ|「迷子だ」と言えたことが、人になる第一歩だった

スティッチの「ボク、マイゴ」──それは、壊すことしか知らなかった存在が、“誰かとつながりたい”と初めて願った証拠でした。

迷子とは、孤独。 でも、それは誰かを求めている証。スティッチが「迷子だ」と言えたとき、彼はもう“破壊兵器”じゃなかった。彼は、「家族が欲しい」と心の中で初めて叫んだんだよね。

その小さなささやきが、物語を大きく動かしていく。そして、あの一言があったからこそ、彼は「帰る場所」を手に入れられた。涙なしには見られない、あのシーン。

あなたの中にも、あの「ボク、マイゴ」が、そっと届いていますように。

今日も最後までご覧いただいてありがとうございます。

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