ハリーポッターとアズカバンの囚人の相関図とあらすじ| シリウスの脱獄やスキャバーズ(ピーター)の逃亡がなぜ今だったのか?

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この記事はネタバレ情報やあらすじを含みます。シリーズの他の作品含め、未視聴の方は特にご注意ください

今回の映画は、心にともす「光」がひとつのテーマになっているように感じたの。冒頭のワンシーンが、その象徴だったのかもしれないわ。ここでは、物語の中で描かれた人間関係や出来事をたどりながら、その「光」がどこで生まれ、なぜその瞬間に訪れたのかを、あらすじとともに追っていきたいと思います。

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目次

相関図① シリウスブラックは、なぜ事件から12年たった今脱獄した?

ハリーも13歳。もう前みたいにされるがままの子じゃないの。映画のオープニングはおなじみダーズリー家でのイケず祭り。

今回はバーノンおじさんの妹、マージがその中心人物。もう見ていて「この人、どっか行ってくれない?」って思った瞬間、ハリーが禁じられた魔法をドカンとやっちゃったの。

風船みたいに膨らんだマージが空へ飛んでいく様子は、ママ的には「もう本当にどこへでも行って」としか思えないシーンだったわ。

ところで、今回のハリーは前回までとだいぶ違うのよね。きっぱり自分の意思で家を出るの。このあたり、少しずつ大人になっているところを感じるわ。

ところが出てすぐ、不吉な影が忍び寄る。黒い犬がじっとハリーを見つめていて、守られていた家を飛び出したせい?と思わせる空気になるの。

でもそこへ、突然現れた夜の騎士バスがハリーを拾い、あっさり目的地の漏れ鍋まで連れて行ってくれるのね。なんでこんなタイミングで現れたのか気になって調べたら、魔法使いの子がマグルの世界で杖を振り上げると迎えに来る仕組みらしいとネット情報に書かれていたの。原書は読めていないから確証はないけれど、一応「そういうことか」と納得。

バスの中で車掌からシリウス・ブラックの話を聞くハリー。彼はなぜアズカバンを脱獄したのか。今回はスキャバーズや、ハーマイオニーが連れているクルックシャンクスも一緒にホグワーツに行くのはなぜなのか。さらに、校則違反をしたハリーに対して魔法大臣ファッジがやけに寛大なのも引っかかるし、ロン一家のエジプト旅行の記事が新聞に載っていた理由も気になる。

そんな中でも一番気になるのは、やっぱりシリウスがなぜ今脱獄したのかということ。12年前、ヴォルデモートが倒れ、シリウスは「ハリーがいなくなればヴォルが力を取り戻せる」と信じていると思われていたらしく、そのために脱獄したと世間では噂されていたようなの。

でも実際には、アズカバンで読んだ新聞がきっかけらしいのね。そこにはウィーズリー家がエジプト旅行をしている写真が載っていて、その中にスキャバーズが写っていた。しかも指が一本欠けているのが見えるらしいの。

ママが見ていた小さな画面では分からなかったけれど、ほかの人の記事で知って「そういうことだったのか」と理解したわ。ロンのお父さんも「シリウスの狙いはハリーだ」と言っていたし、それを受けてホグワーツも警戒態勢で新学期を迎えることになるの。

新学期恒例のダンブルドアの挨拶。今回心に残ったのは「暗闇の中でも幸せは見つけられる。明かりをともすことを忘れなければ」という言葉。この映画のテーマのひとつかもしれないと感じたの。

そういえば冒頭、ダーズリー家でハリーが布団をかぶって「ルーモス・マキシマ」と唱え、杖から光を出していたシーンがあったわよね。あれが単なる遊びではなく、「光をともす」というモチーフを示す伏線だったのかもしれないと思うの。

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相関図② 授業シーンで張られた伏線の数々

ホグワーツでの新学期が始まり、じわじわとシリウスの影が忍び寄ってくるような雰囲気が描かれるんだけど、最初はまだ脅威としての確信が高まりきらない段階。

そこでまず出てくるのがトレローニー教授の占い学の授業。ハーマイオニーは「占いなんていい加減」と一蹴。ママ的にも占いはあまりピンとこないタイプで、カップの底の模様が何かの形に見えたからって何だっていうの?って感じだったわ。

でも、ここから先の展開を知ってしまうと、このシーンも決して無駄ではなくて、物語の中に散りばめられた伏線のひとつだったように思えてくるの。

それは、ハリーのカップ(ロンがもっていた)に映し出されたグリム(黒い犬のようなもの)。もちろん、今回の主役よね。残念ながら、ここでのグリムはハリーにとって邪悪の代表のようにも言われてしまう。よく当たる占いなら、このグリムこそがあなたの救世主!とかいってくれてもいいじゃないって思ったわ。

まあ、うらないってそんなものなのかな。別の授業でも、伏線が貼られているわね。バックビークとハリーが築いた信頼関係が、その後の救出劇のスタート地点になっていたり、そこから逆にハリーやハーマイオニーが助けられることにつながったり。

もしここで仲良くなっていなければ、ダンブルドアが後に予測した「2つの命を救う」展開も生まれなかったんじゃないかと思うの。さらに、マルフォイがバックビークに蹴られた事件が処刑判決のきっかけになり、その処刑を阻止しようと動いたことが、人狼化したルーピンから2人を救う流れにもつながるのよね。

授業ではルーピンがネビルに「怖いものの退治法」を教える場面もあった。ネビルの怖いものはスネイプで、ボガートはお婆さんの服を着せられたスネイプの姿になって撃退成功。ハリーの番ではディメンターの姿を取ろうとした瞬間、ルーピンが割って入り、自分の恐怖である満月が浮かび上がった。

このとき扱われた魔法はリディクラス。杖は必要なく、笑いが悪夢を退散させる力になるという、ある意味これも光の一つと言える魔法じゃないかな。呪文を唱えるだけじゃなく、頭の中で強く明るいイメージを思い描くことが成功の鍵で、ネビルは見事やり遂げたわ。

ルーピンがハリーにディメンター姿のボガートを自分で退治させなかった理由について、後に「ヴォルデモートの姿になるかもしれないと思ったからだ」と話している。

ボガートがハリーの恐れの姿を取るとき、妙な間があったことも関係しているんじゃないかと思うの。その後ルーピンが言った「君が恐れているものは恐怖そのもの」という言葉からも、対象があいまいで形にしづらい恐怖を抱えていたから、次の瞬間にヴォルデモートへと変わる可能性を感じたのかもしれないわ。

この「恐れそのもの」を意識できるというのは、普通は目の前の姿や状態に圧倒されてしまうところを、ハリーはもっと根っこの部分を見ているということよね。

ルーピンはそこに一歩進んだ段階を感じ取ったんじゃないかな。恐れの存在に気づける人は、それを取り除く方法を探すことができるのかもしれないと思うの。

さて、そんな授業を経て、生徒たちが寮に戻ろうとしたとき、異変が起こった。太ったレディが行方不明で、彼女の絵は何かに切り裂かれたような傷跡だらけ。「悪魔のような目でしたわ。名前どおりの真っ暗な魂。噂になっているあいつ、この城にいるんです。シリウス・ブラックが!」と告げられ、大騒ぎになる。

どうやって侵入し、ディメンターの守りをかいくぐっているのか。そのカギは「動物もどき(アニメ―ガス)」にあった。魔法界でもごく一部しか扱えない登録制の魔法で、その変身を見破れないこともあるという。これがアズカバン脱獄の手口だったようなの。

そんな緊張感の中で、スネイプが「ポッターに警告を?」と問うと、ダンブルドアは「今は眠らせておこう。夢の中の世界は自分だけのものじゃ。深い海を泳ぎ、空の雲に乗ることもできる」と返す。この言葉も光を感じさせるわ。

恐怖という現実を突きつけるたとあったとしても、あったとしても、たとえわずかな時間であったとしても光をみていられることの方が、今のハリーには大事だと考えていたのかもしれないの。緊張や恐怖の連続では、心がもたないとおもったのね。

スネイプは授業でアニメ―ガス(動物もどき)と人狼の見分け方を教えようとするの。「違いがわかる者はいるか?」といつもの調子で問いかけると、ハーマイオニーがすかさず答える。「アニメ―ガスは自分の意思で変身できるけれど、人狼は満月が来ると我を忘れて友達さえも襲います。仲間の声にだけ応えるんです」。

発言権もないのに割って入ったハーマイオニーに、スネイプはお決まりの「出しゃばるな」と叱りつけるけれど、同時にその件で宿題を出すのよね。

後にハーマイオニーがルーピンの正体を見抜けた理由として、この宿題の存在を挙げていることから考えると、スネイプはルーピンを追い出す目的で、わざと深く人狼について調べさせたのかもしれないわ。もちろんその目的は個人的な思惑なんだろうけれど。

ところで、なぜハリーだけがディメンターの影響を強く受けるのか。ハリー自身もその疑問を抱いていたわ。森を歩きながら、ルーピンがハリーに語ったことが印象的だった。ディメンターは楽しい気分や幸せな記憶を吸い取って、辛い思い出だけを残す存在。君が弱いのではない、ただ君の過去には他の誰も持たない恐怖があるから影響されるんだ──そう励ましつつも、ルーピンはハリーの背景にある痛みをきちんと理解していたのだと思うの。

ハリーはそこで、かつてルーピンがディメンターを追い払った方法を教えてほしいと頼み込み、いよいよ守護霊の呪文を習得する流れへと入っていく。あの呪文が発動した瞬間の映像は、強い光を伴って描かれていて、ママがこの作品全体のテーマだと思っている「光」がここで大きく輝く場面になっているわ。

そして、物語を大きく動かすキーアイテムもこのあたりで登場する。ウィーズリー家の双子、フレッドとジョージが、ホグズミードに行けないハリーを気遣って渡したきれいに折りたたまれた一枚の羊皮紙。呪文を唱えると、地図の上に絵や文字が浮かび上がり、ホグワーツ中の人物の居場所がわかる「忍びの地図」。

ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズの4人から贈られたというこの地図が、後の展開で重要な役割を果たすことになるの。

そんなある日、先生も生徒もホグズミードに出かけていたときのこと。三本の箒という居酒屋のような店で、マクゴナガルたちが話をしていた。その中でマクゴナガルは12年前の出来事──ポッター夫妻の居場所をシリウス・ブラックが密告し、夫妻の友人ペティグリューを殺したこと、そして残ったのは指一本だけだったことを語る。

さらに、両親を死に追いやったのはブラックであり、しかも彼がハリーの名付け親であることまで明かすの。その会話を、透明マントに隠れていたハリーがすべて聞いてしまう。

なぜこんな重要な話を今さらここで?と気になるけれど、原作情報によると特別な意図があったわけではなく、単なる雑談の中で出た話を偶然ハリーが耳にしてしまっただけらしいのね。

その話を聞いたハリーは、雪の中で涙をこらえながら、シリウスを倒し両親の仇を討つ決意を固める。そしてルーピンのもとを訪ね、守護霊の呪文パトローナスの修行が始まる。

必要なのは「幸せな思い出」、しかも強く心に焼き付いているもの。それで心を満たし「エクスペクト・パトローナム」と唱えるの。

最初の挑戦は失敗。相手は本物のディメンターではなくボガートだったのに、ハリーは気を失ってしまった。これは恐怖が心に直接作用した結果なのかもしれない。

実際に攻撃されたわけではないのに、心の奥に潜む恐怖に直面すると体まで反応してしまう。

今度はそのプロセスで、ハリーは父と母の姿を強く思い描く。本当の記憶かはわからないけれど、そのイメージが心に光をともす力となり、パトローナスを呼び出すことに成功したの。

相関③ スキャバーズはなぜ逃げ出した?

そんなある日、スキャバーズが姿を消した。ロンは「スキャバーズが殺された」とハーマイオニーに訴える。

ロンがあれだけ大騒ぎし、ハーマイオニーを責め立てるということは、現場にそれらしい痕跡でもあったのかしら。真相は、ただ逃げ出しただけだった。後にハグリッドが捕まえていて、無事が確認されるのよね。しかし、それにしても、なぜ今、逃げ出したのか。

動物もどきの魔法でスキャバーズに変身していたピーターは12年前、指一本を残して死んだように見せかけ、人々を完全に欺いてきた。

あれから長い年月、ネズミの姿で誰の目にも怪しまれず生き延びてきたけれど、今、シリウスがホグワーツに現れた。

追われる身だと気づいたピーターには逃げる以外の選択肢はなかったのね。

シリウスはウィーズリー家のエジプト旅行の新聞写真の中にスキャバーズの姿を見つけ、しかも指が一本欠けていることから正体を確信していた。

ピーターもその視線を察し、「シリウスは必ず自分を探しに来る」と悟ったに違いない。そして13年前に使った、死を偽装して逃げるというほぼ完璧な手口を、もう一度繰り返そうとしたのかもしれないわね。

このピーターという男、あとのシリーズでも出てくるけど、生き延びるためなら指や手の一つや二つ、切り取ってしまうこと、普通の人が思うほど深刻に受け止めていないように感じるのよね。

消灯後の校内、ハリーはルーモスの明かりを頼りに忍びの地図を使ってペティグリューの居場所を確認しようとする。足跡が地図の上で近づいてくるのに姿は見えない。夜の校舎で、ネズミの姿をしたピーターはいったい何をしていたのか。ただ逃げまどっていたということかしら。

そこへスネイプが現れ、ハリーに徘徊の理由を問い詰め、傲慢な父親にそっくりだと侮辱する。けれど、以前のように黙ってはいないハリー。「明かりをおろしていただけますか」と、はっきりと言い返す姿にも再び成長を感じるわ。

だけど、そこで忍びの地図を持っていたことが発覚。スネイプは地図の内容を読み上げろと迫る。ハリーが読み上げたのは「我らムーニー、ワームテイル、パッドフット、プロングズより…スネイプ教授に心からの敬意を。そして…他人へのお節介はお控え願いたい…」。

まるでその場で反抗的に作った台詞のようにも聞こえるけれど、そこにルーピンが現れ、地図を覗いて言う。「私には、読む者を侮辱するだけの羊皮紙にしか見えない」。このやり取りからすると、本当に魔法でそうした文言が現れる仕掛けがあるのかもしれないと感じたわ。そしてこの場面で、ハリーの口から出た情報によって、ルーピンはピーターが生きている可能性を知ることになるの。

バックビークの処刑が迫る少し前、ハグリッドのもとを訪れたロンに、彼が見つけていたスキャバーズが手渡される場面があった。スキャバーズからすれば、せっかく逃げ出したのに捕まった形で、隙あらば再び逃げたい状況だったはず。

事実、その後、バックビークの処刑現場を見ようと姿を隠していた3人の手の中で、スキャバーズはロンの指に噛みつき、また逃げ出した。

ロンの驚いた表情からも、普段のスキャバーズならそんなことをしないとわかる。やはりシリウスが迫ってきたことを察知し、危険から逃げようとしたのね。

そこに未来から戻ってきたハーマイオニーが投げた石が、ハグリッドの家の花瓶やハリーの頭に当たる。なぜあの時、彼女は石を投げたのか。おそらく、ファッジや処刑執行人がすでに到着していることを知らせたかったのではないかと思うの。

逆転時計の仕組みは複雑で、ネット上でも様々な説明があるけれど、一番納得しやすかったのは「今起こっていることは、未来からの出来事も最初から織り込み済み」という解釈。

この物語の場合、バックビークが処刑されたように聞こえた音は、後にわかるように巨大カボチャが刃で切られた音で、実際にはその時点でバックビークは処刑されていなかった。

そしてその現場には、未来から来たハリーとハーマイオニーがすでに関わっていたということになるわけね。

黒い犬の姿をしたシリウスは、ロンの足をくわえたまま暴れ柳の根元の穴へと引きずり込んだ。スキャバーズをロンごと連れ込んだその場所、それは叫びの館と呼ばれる人目を避けるには最適な場所だった。

そこは、且つてルーピンがホグワーツ生だった時、満月の夜に隔離されていた場所で、ある理由で叫び声をあげていたといわれているの。

当時、それを聞いた人々からは叫び声が聞こえる幽霊屋敷という扱いをうけたていた。シリウスはルーピンの親友であり、彼が人狼になった夜には自らも動物に変身してそばにいたとされるから、この場所の事情を熟知していたのだと思うの。

やがてハリーがシリウスに杖を向けるんだけど、そこにルーピンが現れ彼をかばう。ハーマイオニーはルーピンとシリウスの関係を疑い、さらにルーピンが人狼であることにも気づいていたようね。

スネイプの授業で与えられた宿題が、その気づきのきっかけになったというの。スネイプは、ルーピンがシリウスを手引きしていると考え、シリウスを追い詰めるために生徒たちに人狼の知識を深めさせたのかもしれない。

真意はわからないけれど、結果的にハーマイオニーはルーピンの正体と、動物に変身できるシリウスになにかのつながりを感じ取ったんじゃないかな。

一刻も早くピーターを殺そうとするシリウスに対し、ルーピンは「ハリーには知る権利がある」と言う。それは、両親を死に追いやった人物が誰なのかを、ハリー自身が直接確かめる必要があると考えたからだと思うの。

真実を本人から聞かない限り、また誰かに騙され続ける可能性があるから。やがてスキャバーズはピーターの姿に戻り、シリウスとルーピンは殺そうとするが、ハリーは2人を制止した。

その理由は、父の親友を殺人者にはしたくなかったこと、そしてシリウスの無罪を証明できなくなるから。わずか13歳で瞬時にその判断を下せるハリーの冷静さと勇気は、やはり並ではないと思うの

相関④ ハリーの守護霊の魔法が強くなったのはなぜ?

ロンが噛まれた足のことで切断だのと大げさに言っているとき、ハーマイオニーはふと、満月に照らされたルーピンの姿に気づく。その瞬間、ルーピンは人狼へと変貌。シリウスは黒犬に姿を変え、必死にみんなを守ろうと立ち向かう。

叫びの館でハリーのエクスペリアームスによって気絶していたはずのスネイプも現れたんだけど、振り向きざまにルーピンに襲われる。

このときのスネイプ、反射的に三人の生徒をかばう必死の形相を見せていて、思わず本心がにじみ出た瞬間だったように感じるわ。

人狼の脅威は未来から来たハーマイオニーの行動によって切り抜けられるけれど、その後、傷ついたシリウスと彼を追ったハリーが湖のほとりでディメンターに囲まれる。

魂を奪われかけるシリウスを救おうと、ハリーはエクスペクト・パトローナムを放つが、光は弱く、2人とも危機に陥る。そこに現れたのは、対岸から放たれた眩い光──一頭の雄鹿を思わせる大きな守護霊。

その光がディメンターを退け、ハリーとシリウスを救った。

未来から来たハリーの放ったパトローナスと、今まさに戦っていたハリーのパトローナス。この差は何だったのか。もちろん、心に思い描いた幸福な記憶の強さの違いもあるだろう。

でも未来のハリーは、何を胸に描いて放ったのかを考えると、この映画のテーマ「光」が関係している気がするの。

未来のハリーには、すでに新しく芽生えた「シリウスとの絆」があった。シリウスは彼に一緒に暮らすことをほのめかしていたし、それは嬉しい提案だったけれど、それを聞いたばかりのハリーはまだ十分に受け止めきれていなかったのかもしれない。

ところが、目の前でディメンターに魂を奪われかけるシリウスを見たことで、せっかくつかみかけていた自分を愛してくれている人との未来を「失うかもしれない」という現実を体験し、その未来の楽しみに対する思いは過去の自分より何倍も強くなっていたのだと思うの。

結果的に、誰かを絶対に守りたいという感情が、心の中に強烈な光を生み、それが楽しい記憶と同じくらい、いやそれ以上にパトローナスの力を高めたのではないかと感じるの。

ダンブルドアは「元の時間に戻ってやり直すんだ」と提案し、ハーマイオニーに逆転時計を3回転させるよう指示する。首尾よくいけば、2つの命を救えるという。

それが誰かといえば、塔に囚われディメンターに魂を奪われかけているシリウスと、おそらく処刑されようとしているバックビークのことよね。

戻った先は、ハーマイオニーがマルフォイの卑劣な態度を責めている場面。自分からバックビークの前に出て挑発し、蹴られて軽傷を負っただけなのに大げさに騒ぎ、その結果バックビークが処刑される流れが決まってしまった後の出来事ね。

今ここで試されているのは、全てを知った上でのハリーが冷静に動けるかどうか。スキャバーズが両親の仇だと知っていても、感情のままに行動すれば何が起こるかわからない。

変なタイミングで過去の自分の前に出てしまえば、未来そのものを変えてしまう危険もある。そうはわかっていても、人間の心はころころ動くもの。

自分を後ろから眺めて髪型を気にするハーマイオニーを見て、妙に共感してしまうわ。興味や関心って、肝心な時でもふっと別の方向へ転がるのよね。

そんな隙があるからこそ、過去の自分に見つかりそうになったり、彼らは綱渡りのような時間の旅をしている。

バックビーク救出の場面も、正直ぎりぎりだったけれど、よく成功したと思うの。その後はシリウスを救う番。しかし、その時点ではシリウスがディメンターに捕まる前で、まだルーピンと激しくぶつかっている最中だった。

未来から来たハーマイオニーは狼の遠吠えを真似し、ルーピンの注意を引く作戦に出る。案の定、人狼化したルーピンは未来のハリーたちを追いかけ、絶体絶命の場面に。

そこへ現れたのは、先ほど救い出したばかりのバックビーク。彼の蹴りで人狼は撃退される。この流れも、さかのぼればマルフォイのくだらない挑発が発端だったと考えると、物語の因果が見えてくるわ。

そして今度はディメンターが過去のハリーとシリウスを襲う。以前とは違い、未来のハリーは強力なエクスペクト・パトローナムを放ち、彼らを救う。

この違いはやはり、先にも言った通り、誰かを守りたいという思いが以前の何倍も強かったからだと思うの。誰かを守りたい気持ちこそが、大きな光になるのよね。こうして、物語の冒頭で布団の中から放たれたルーモス・マキシマの光が示していたテーマ──愛や守る心が生み出す光──が、美しく回収されたと感じたわ。

今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。

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