映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の人物相関図とあらすじを詳しく解説。ダンブルドアとスネイプの複雑な関係や、物語のカギを握る破れぬ誓い、そしてマルフォイの任務の真相まで、登場人物同士のつながりをわかりやすく整理しました。
相関図①|デスイーターの影とスラグホーンの復帰

物語の幕開けは、マグル界を巻き込んだ不穏な動きから始まったの。黒い飛行雲が空を裂き、街を破壊し、人々を恐怖に陥れる。例のどくろを描く闇の印はもはや魔法界だけの問題じゃない。
そんな中、マグルの世界を一人で列車移動していたハリーの前に、突然ダンブルドアが現れるの。
彼がわざわざ連れ戻しに来た理由は、元スリザリン寮の教師ホラス・スラグホーンをホグワーツに復帰させるため、ハリーの存在を利用するためだった。
向かった先のスラグホーン宅では、家具に化けて潜んでいたホラスをダンブルドアが見抜く。決め手は部屋に残された“ドラゴンの血”の痕跡。
ホラスは魔法薬や魔法生物に通じているだけに、凝った隠れ方をしていたけれど、ダンブルドアの経験と知識はそれを凌駕していたわ。
スラグホーンはかつて優秀な生徒を好んで可愛がり、ハリーの母リリーもその一人だった。
ダンブルドアが彼のことを「ポッターと同様に特別」と評したが、それは彼が今後ヴォルデモートの秘密に迫る手がかりとなる過去の自信に関する記憶をもっていると見ていたから。
最初は「もう静かに暮らしたい」とでもいうように、ダンブルドアの依頼を拒否していたスラグホーンだけれど、リリーの息子であるハリーに会い、心を動かされたのかも。
ダンブルドアの思惑通りに承諾したの。このあとハリーはロンの家に立ち寄り、そこにはハーマイオニーも数日前から来ていたわ。
ホグワーツ行きをためらう者が増えているのは、学校が安全な場所とは思われなくなってきたから。中には「ダンブルドアが年老いた」という声も出ていて、時代が揺れている空気が漂っていた。
一方その頃、別の場所では、ベラトリックス・レストレンジと彼女が「シシー」と呼ぶ妹ナルシッサ・マルフォイがスネイプの家を訪れていた。
シシーは息子ドラコにヴォルデモートから名誉と称された危険な任務が与えられたことを案じていたの。
これは仮に成功したとしても14歳の子供にとって、心理的に耐えられない任務と感じ、母としては気が気じゃない。
ベラトリックスはスネイプを信用せず、「奴は信用できない」と繰り返すが、スネイプはすでに任務の内容を知っていて、ドラコを見守ると約束する。
そこでベラトリックスは言葉ではなく行動で示せと「破れぬ誓い」を強要。スネイプは「ドラコを守ること」「危険から救うこと」「失敗した場合は自分が任務を遂行すること」を誓ったの。
そんな裏の動きがあるとも知らず、ハリーたちは町でドラコとナルシッサを目撃。人目を避けるように怪しい店に入る姿に、ハリーは「ドラコがデスイーターになったのでは」と疑いを強める。
ロンやハーマイオニーは笑い飛ばすけれど、ハリーは証拠をつかもうと決意。
横丁ではウィーズリー家の双子が新しく開いた魔法ジョークショップ「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」が大盛況で、惚れ薬の話題から「ジニーにはいらないな」と冗談を飛ばす日常があったが、実は街でオープンしている店はここだけだった。
それほどに、ヴォルデモート復活の影響は人々の生活の中に深く及んでいた。ここで出てくる“ディーン”は、ジニーと交際中のグリフィンドール生ディーン・トーマスのこと。
今回の作品では、思春期を迎えた子供たちの恋愛感情やそのもつれのようなものまでたくさん描かれるの。
翌日、ホグワーツ特急に乗ったハリーは、ドラコの様子を探るため、コンパートメントに忍び寄る。そこにいたドラコの顔はもう悪戯好きの少年ではなく、思いつめた大人の顔。
まだ若いのに重い任務を背負わされていると感じさせる表情に、ナルシッサの心配も痛いほどわかるわ。ハリーが聞き耳を立てるのを見抜いたドラコは「父上の仇だ」と吐き捨て、アズカバンに収監されたルシウス・マルフォイの恨みをあらわにする。
ルシウスがアズカバン送りになったのは、前作での魔法省襲撃と不死鳥の騎士団との戦闘の罪によるもの。この時点でマルフォイ家は凋落し、ドラコの立場はかつてないほど危うくなっていたの。
相関図②|半純潔のプリンスの教科書と、スラグホーンが隠す記憶

ホグワーツの新学期、校長アルバス・ダンブルドアは全校集会でヴォルデモートの脅威をはっきりと口にした。常にその魔の手が学校に忍び込もうとしていること、生徒たちが利用される危険があることを警告する。
会場の生徒たちの表情は一様に硬いんだけど、その中でもドラコ・マルフォイの表情は暗く沈み、この世の終わりを予感しているかのように見えた。
マルフォイ家は純血の魔法族の名家だが、父ルシウスが魔法省襲撃に加担した罪でアズカバンに収監され、立場が揺らいでいた。母ナルシッサはドラコが与えられた危険な任務を案じ、スネイプと「破れぬ誓い」を交わすまでになっている。
そんな中でも授業は続く。新任の魔法薬学教師ホラス・スラグホーンの初回授業で、ハリーはフェリックス・フェリシスという希少な幸運薬を懸けた調合対決に挑む。
教科書を持たずに来たハリーに、スラグホーンが棚に古い教科書があるといい、ロンとの奪い合いの末にハリーがその1冊を勝ち取った。
そこには元のレシピを改良する手書きのメモがびっしり書き込まれていた。この指示通りに作った薬は見事に完成し、ハリーは幸運薬を勝ち取る。
その教科書には「半純潔のプリンス」と名乗る人物の署名があり、正体不明の存在が背後にいることを示していた。半純潔という言葉からママ的には、トム・リドルを連想するが、この時点では真相はわからず、不気味な印象だけが残った。
後にそれがスネイプの異名であり、若い頃に使っていた自作の魔法や知識の集積だったと明かされるが、この時はまだ謎のままだった。
ある日、ハリーはダンブルドアの執務室に呼ばれる。校長は黒い革の表紙に大きな穴が開いた日記を手にしていた。これはかつてハリーがバジリスクの牙で破壊したトム・リドルの日記だった。
ダンブルドアは同種の闇の魔法が他にも存在すると考えており、その手がかりをスラグホーンが握っていると見ていた。
若き日のリドルと交わした会話の記憶の中に、重要な秘密が隠されている可能性があり、スラグホーンはその記憶を改ざんしていることまで見抜いていたわ。
ダンブルドアはハリーに、スラグホーンからその記憶を引き出すよう依頼する。単なる教師と生徒の関係を超え、ハリーを信頼するがゆえに危険な役割を託しているように感じる場面だった。
ホグワーツの生活は一方で賑やかさもある。クィディッチの試合では、ロン・ウィーズリーが守護神のような活躍を見せる。ロンはハリーの親友で、グリフィンドール寮のキーパーを今回初めて務めることになった。
この試合の前、ハリーはロンに幸運薬を飲ませるふりをして自信をつけさせており、それが功を奏したかのような好セーブが続いた。
ハーマイオニー・グレンジャーは試合中もロンを気にかけていたわ。幸運薬を飲んでいると思い込んでいたから、その生と思いながらも、活躍の姿を見るのは嬉しいのね、やっぱり。二人の間にはまだ言葉にしないが、しっかりとした恋愛感情が生まれているようね。
ジニー・ウィーズリーはロンの妹で、ハリーをさりげなく支える姿が目立ちだした。彼女はまだディーン・トーマスと交際していたが、その関係もハリーとの距離感に影響しているように見える。
夜の寮でハリーとロンが恋愛談義をする場面では、ハリーがジニーの名を、ロンがハーマイオニーの名を出す。それぞれの関心がはっきりと見え、二人の男子が互いの妹や友人を意識する複雑さが漂う。
そんな中、忍びの地図でドラコの足跡を見つけたハリーは、彼の動向を気にするようになる。間もなくケイティ・ベルが呪いのかかった首飾りに触れて倒れる事件が起き、ハリーはドラコの仕業だと主張するが、確かな証拠はなかった。
この頃、ハリーは教科書の呪文も使い始めており、その中には「セクタムセンプラ」という危険なものも含まれていた。これは相手を深く切り裂く闇の呪文で、半純潔のプリンスが編み出した魔法のひとつだった。
スラグホーン主催の晩餐会では、彼が歴代の教え子たちを誇らしげに語った後、ハリーと二人きりになるが、ハリーは単刀直入にトム・リドルの話題を切り出した。
スラグホーンはその名に反応して表情を曇らせ、心の奥にあった闇は当時は見えなかったのだと弁解するように話す。その言葉は、彼が相当な何かを隠していることを示しているように感じさせるの。
相関図③|ドラコの任務と破れぬ誓い

スラグホーンのパーティから引き上げるスネイプとドラコ・マルフォイが言い争いをしている。
ドラコは純血の名家マルフォイ家の一人息子で、父ルシウスは魔法省襲撃の罪でアズカバンに収監中。
家の威信は大きく揺らぎ、そんな中でヴォルデモートから危険な任務を与えられていた。
どうやらかなりの任務を背負わされているようで、「姿くらましキャビネット」という魔法の家具の修理もその一つ。
このキャビネットは二つで一対になっており、一方から入ればもう片方へ瞬時に移動できる。片割れはホグワーツ内、もう一つは闇の店ボージン・アンド・バークスにあり、修復が成功すればデスイーターが学校内に侵入できてしまう。
ドラコはリンゴや小鳥を入れて結果を試していた。リンゴは戻ってくるが、小鳥は命を落とすように描くことで、修理が難航していたことを表現しようとされていたようなの。(原作にはない設定で、この解釈には諸説ありそう)目的は、デスイーターがホグワーツへの侵入に使うということね。
作業の際に唱えていた呪文「ハーモニア・ネクテレ・パサス」はラテン語で「その元へ還れ」という意味を持ち、二つのキャビネットを再び繋ぐために使われていた。
ケイティ・ベルへの呪いもドラコに与えられた任務の一環だった。彼女に呪われた首飾りを持たせ、ダンブルドアに渡す計画だったが、途中で阻まれケイティ自身が被害に遭った。
スネイプは母ナルシッサと「破れぬ誓い」を交わしており、ドラコを守ると同時に、彼が失敗した場合は代わりに任務を遂行する義務を負っていた。
破れぬ誓いは絶対に破れず、反故にすれば命を落とすため、ロン・ウィーズリーはその重さをハリーに説明し、「君はわかっていない」と釘を刺した。
ロンもどこまでわかっていたかわからないけど、セブルスがダンブルドアの最後の依頼を断ることができなかったけど、この破れぬ誓いの影響ということもあるかもねと感じたわ。
冬休み、ハリーはロンの家でルーピンと再会する。ルーピンは元闇の魔術に対する防衛術の教師で、人狼でもある。不安定な情勢の中、彼は柱となる人物を信じ続けることの重要性を語った。
かつて仲間ピーターの裏切りで痛い目を見た経験から、勢力の強弱や不安に流されればチームが崩れることを知っていたのだと思う。
ハリーはスネイプへの疑念を隠さなかったが、ルーピンはダンブルドアの判断を信じる姿勢を崩さなかった。
そんなやり取りの最中、ウィーズリー家が襲撃される。襲撃したのはベラトリックス・レストレンジとフェンリール・グレイバック。
フェンリールは狼人間であり、ヴォルデモート陣営に属する危険人物。デスイーターたちは黒い煙となって空を飛び回る闇の移動魔法を使い、彼らは炎の輪で屋敷を包囲した。
ベラトリックスを追ったハリーを、ジニー・ウィーズリーが炎をものともせず追いかける。ジニーはロンの妹で、当時はディーン・トーマスと交際していたが、ハリーを思う気持ちを隠しきれない様子だった。
命がけで互いを追う姿は、二人の距離を縮めた出来事だったように感じる。ダンブルドアは事態打開の鍵がスラグホーンの記憶にあると確信していた。
スラグホーンは元スリザリン寮監で、かつての教え子トム・リドルとの会話を改ざんし、真実を隠している。ハリーは彼から秘密を引き出そうと何度も接触する。
ある会話の中で、ハリーは「教えてはいけない魔法を教えたのでは」と揺さぶりをかけるが、スラグホーンは専門外としてかわす。
その一方で、この物語には軽い言葉や態度で交わされる“愛もどき”の関係も多く描かれているように感じる。本物の愛はヴォルデモートすら打ち破る力になると考えられるが、ここで描かれた愛もどきは何の力にもならない。
その象徴がロンだった。本来ダンブルドアに届くはずだった毒入りの品がロンに回り、彼は危うく命を落としかける。これは誕生日に贈られた毒入りチョコレートで、口にしたロンは苦しみながらも、意識の中で思い続けていたハーマイオニー・グレンジャーの名前を口にした。
この一言は、軽い好意と本物の思いの差を際立たせる場面だったと思う。こうしてドラコの任務、スネイプの誓い、仲間内の信頼、そして愛の本質が交錯する中、物語は次の局面へ進んでいく。
相関④|分霊箱の真実とダンブルドアの最期
ケイティ・ベル呪い事件の真相を巡ってドラコ・マルフォイを追い詰めたハリーだったが、事態は混沌とし、明確な突破口が見えなかった。
そこで彼は以前スラグホーンの授業で手に入れた幸運薬フェリックス・フェリシスを思い出す。
この薬は飲んだ者に幸運をもたらし、行動が自然と最良の結果に導かれる効果を持つ。
服用したハリーはハグリッドの小屋に向かおうとし、その途中で偶然スラグホーンが同行することになった。彼らはハグリッドと語らい、話題は命の儚さに及んだ。
その空気は、ホラス・スラグホーンが胸の奥に封じていた記憶を差し出すきっかけとなった。ホラスは元スリザリンで、若き日のトム・リドルと関わった経験を持つ。
彼の記憶には「ホークラックス」、すなわち魂を複数に分けて不死身となる分霊箱の秘密が刻まれていた。
リドルは七つの分霊箱を作ることで永遠の命を得ており、既にその一つはハリーが2年前に破壊した日記、もう一つはヴォルデモートの母の指輪だった。
ダンブルドアは長らくヴォルデモート復活の仕組みを探っており、この記憶が確証となった。分霊箱は強力な闇の魔法で守られ、痕跡を辿ることでしか探せない。
ダンブルドアは新たに一つを突き止めていたが、単独では難しいと判断し、最初からハリーの助力を求めていた。
二人は姿現しで海に浮かぶ岩礁へ向かう。そこには水盤に満たされた液体を飲み干さなければ到達できない仕掛けがあり、その毒に苦しむダンブルドアをハリーは支えながら分霊箱のペンダントを手に入れた。
やっとの思いでホグワーツへ戻ったダンブルドアは、手当を申し出るハリーを制し、セブルス・スネイプを呼ぶよう命じた。
セブルスはホグワーツの教師で、闇の魔術に対する防衛術の元教授であり、同時に複雑な立場を持つ男。
ところで、ダンブルドアはなぜドラコが自分の暗殺を命じられていると知っていたのか。
それは、スネイプからの情報によるものと思われる。塔の上、杖を構えるドラコと対峙したダンブルドアは、彼のためらいを見抜いていた。
殺せば自分の命は救われるが、殺さなければヴォルデモートに命を奪われるかもしれないという二択の中で、ドラコは後者の危険を承知で杖を振れなかったのではないかと思う。
その場に現れたスネイプは、ダンブルドアの密命通り、彼の命を奪った。これはドラコを守るためであり、同時に破れぬ誓いを果たす行動でもあった。
だが、手に入れたペンダントは偽物だった。中にはR.A.B.と名乗る人物の置き手紙があり、真の分霊箱はすでに持ち去られていた。
ハリーは全てが無駄だったと嘆くが、ダンブルドアが破壊した分霊箱はまだ二つ、残りは五つ。闇の支配者を倒すための旅はこれから続くのだ。
ダンブルドアは二つ目を破壊する際にすでに体力を削られており、残る任務を誰かに託すことこそが自分の役目だと考えていたように感じる。
最期にハリーへ告げた「信じよ」という言葉は、行動のすべてが計画の一部だったことを示していた。近頃はダンブルドアに懐疑的だったハリーの心も、この最期の瞬間で再び強く結ばれたように思う。全てが終わったわけではなく、むしろ本当の戦いはここから始まることを、ハリーは理解していった。
まとめ
「信じよ」――ダンブルドアが最後に残したこの言葉は、信頼と裏切りの境界を問いかけるだけでなく、次に訪れる戦いの幕開けを告げる響きを持っているように感じます。本作で明かされた分霊箱の存在とヴォルデモートの不死の秘密は、残された5つを探し出し破壊するという重い使命となってハリーの肩にのしかかります。師を失い、仲間との絆だけを頼りに進むハリーの姿は、やがて訪れる最終決戦の予兆にも見えるのです。
今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。
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