風の谷のナウシカの相関図!クシャナは敵?心の変化を読み解く【映画版】

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この記事はネタバレ情報やあらすじを含みます。未視聴の方は特にご注意ください

映画『風の谷のナウシカ』って、何度見ても新しい発見があるんですよね。腐海や王蟲たち、そして人間たち。それぞれが信じる“正義”の形がぶつかり合う中で、ナウシカとクシャナの心の揺れが描かれていく。こ記事では、そんな二人の関係を中心に、腐海の真実や巨神兵をめぐる戦いを一緒にたどっていきたいと思います。

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目次

相関図①|風の谷と腐海の真実

冒頭のテロップで、巨大文明崩壊から1,000年後の世界。腐海と呼ばれる有毒な瘴気を発する菌類の森により、人間の生活圏が失われていっていると書かれていたわね。その土地は、錆とセラミック片に覆われていたと記されているの。いったい何があったのって、普通なら最終戦争とか核兵器のイメージが頭をよぎるところだけど、この物語を最後まで見ていくと、この世界を焼き尽くしたのは巨神兵が発した炎らしいの。

この映画では、なぜ腐海が発生したのか、腐海はなぜ存在しているのか──そんなことが明らかになっていくんだけど、どうやら土壌の汚染が起因しているようなの。ただ「焼き尽くしただけ」なら、なぜそんなに土壌が汚染されてしまったのか、とても不可解よね。もしかすると原作の方にはそのような説明があるのかしら。映画版と原作では、けっこうストーリーが変わっているところもあるみたいだから、土壌汚染の背景を知るためには原作を読んでみる必要があるかもしれないわね。

主人公は、風の谷に住むナウシカ。メーヴェと呼ばれる白い飛行具に乗って、腐海までやってきては探索しているの。この腐海っていうのは厄介な菌の森で、発せられる瘴気の中では人は生きられない。でも、マスクをつけてあえてその中に入っていくには、それなりの理由がありそう。

そんな場所にもかかわらず、描かれる世界は神秘的で静か。そして、そこにいる蟲(むし)たちも穏やかに存在しているのが、なんだか不思議でギャップを感じるのよね。実はナウシカ自身も後で知ることになるんだけど、この腐海の菌類たちは汚染された土地を浄化している存在だったの。きっと浄化すべき対象があまりにも汚れすぎていたのね。

それは瘴気という形で空中に放出されることになるんだけど、その菌自体は自分の命と引き換えに、汚染されていない物質となって砕け、綺麗な土壌を形成していくようなの。だから、生活圏に瘴気をばら撒かれる人々にとっては脅威であることに違いはないけど、再生していくためには避けられない“恵みのプロセス”でもあったのね。

さらに、そこに存在する蟲は時に人を傷つける存在にもなるけど、人が穏やかにしている限り、蟲たちも穏やかなように感じられる。もちろん、共生できるような存在ではないと思う。だって、人はいつも穏やかじゃないもの。

ナウシカは特別な存在のようね。基本的に彼女の心は穏やかなんだと思う。でも、時折その穏やかさを失うことがある。最初に穏やかでなくなったのは、王蟲(オウム)が騒いだ時だった。彼女は蟲たち、特に王蟲とは心が密接につながっているように描かれているの。この時、王蟲を騒がせた原因はユパ・ミラルダ。ナウシカの師匠にあたる人ね。

ユパは剣の道では達人と呼べる人なんだけど、森の中で見かけた何かを人と間違えて、それを助けるために発砲してしまったんだって。王蟲はとにかく発砲とか、心をざわつかせることが大嫌い。だからユパのことを追い回していたのね。

ナウシカは蟲笛と光弾だけで王蟲を静めたって、ユパは言っていたわね。でもきっとそれだけじゃない。ナウシカは王蟲のことを受け入れていた。「なんて立派な王蟲なのかしら…」と、ユパが逃げまどっている状況でも、ナウシカは上空から王蟲を眺めてそう呟いていたわね。オウムのことも愛しているのよ。だからナウシカの心と王蟲の心はつながっていたのね。

ナウシカの穏やかな心の状態が王蟲に伝わった──そう感じるの。だからユパには不可思議な状況に見えたんでしょうね。「光弾と笛だけじゃ無理やろ」って。

相関②|トルメキア軍とクシャナの誤算

トルメキアの大きな飛行機が風の谷に墜落してしまうの。飛行機にはペジテのラステルという王女が乗っていた。傷つき、絶命の間際に「積み荷を燃やして」と言い残すの。積み荷というのは巨神兵の胚。

これがペジテから掘り起こされたんだけど、風の谷以外の地域の人々は、この巨神兵に自らの存亡を託して奪い合いを始めるの。トルメキアのクシャナとクロトワが風の谷の城に乗り込み、ナウシカの父であるジルを殺してしまった。

逆上したナウシカはトルメキアの兵士をなぎ倒すんだけど、それをユパが止めに入ったの。今戦えば、谷の人々が皆殺しにあう。「ナウシカ、落ち着け。生きのびて機会を待つのだ」って。そう、確かにそこで暴れても、皆が望むような解決は望めない。辛すぎるんだけど、落ち着くしかないのよね。

クシャナ。トルメキア帝国辺境派遣軍司令官という役職。風の谷に攻め込み、巨神兵を手に入れようとする様から、彼女を悪者として見てしまいそうになったんだけど、いろんな局面で、なんだか“心ある人”の言動が垣間見えるのよね。

で、ウィキペディアだのみでその人物像を見てみると、原作では彼女のバックグラウンドについてかなり事細かに描かれているようなの。やさしく、人を思いやる一面も描かれているようなのよね。彼女が映画の中で言っていた「ただ殺戮しようとしているのではない」という言葉や、「トルメキア本国に巨神兵を渡してしまうつもりはない」というのは、どうやら本心のようなの。

つまり、もしかすると彼女なりに、なるべく多くの人が平穏に暮らせるようになることを願っていたのかもしれないの。でも、その方法にあやまりがありそう。彼女は“腐海を焼き払うこと”こそが、人々が安心して暮らせる場所の確保につながると信じている。そして、そのために巨神兵が必要であり、彼女は既にそれを手に入れたかのように谷の人々に宣言するの。

でも、彼女の心は徐々に変わっていく。その変わっていく様も、この映画の大きな見どころよね。ここでは、巨神兵を使って腐海を焼き払うと言ったクシャナに対して、おオババが「それはならぬ」と言うの。クシャナは一応、おオババがしゃべることを許したの。でも、その場で心が変わることはなかった。

その場を収めたのはナウシカ。これ以上の犠牲が出ないように、「今はこの人たちに従いましょう」と言って場をおさめたの。このナウシカが状況を受け入れた瞬間というのも、きっとクシャナの心のどこかに響いていると思うのよね。

そんなクシャナ率いるトルメキア軍の巨神兵略奪を、なんとか阻止しようとしているのがペジテ市のアスベル。彼の攻撃で、谷からペジテに連れていかれようとしていた谷の爺たちの舟も、濃い瘴気が立ち込める腐海の中に不時着することになった。

その先頭でアスベルの飛行機は撃たれ墜落。ナウシカは燃える船からミトとクシャナを乗せ、なんとか脱出して爺たちの舟を助けに向かったの。何とか着水したその場所はオームの巣のような場所で、一同は水上でオームに取り囲まれる。

ここで、オームはなだめにかかるナウシカを調べようと触手を伸ばし、ナウシカをその触手で包み込んだの。それはクシャナにとって、震え上がるほどの恐怖の瞬間。でも、ナウシカから何かを感じ取った王蟲たちは、ナウシカにメッセージを残して去っていった。

アスベルが生きていることを伝えたみたいね。たくさんの王蟲がどこかに向かってる。きっとナウシカを信じた一部の王蟲が、一人の少年が銃を撃ちまくって大暴れしていることを伝えようとしたのかもしれないわね。ナウシカはアスベルを助けに向かったの。

相関③|腐海の底で見た真実と、王蟲たちの怒り

流砂に飲み込まれていったナウシカ。そこでナウシカが見たのは、夢のような世界。父がナウシカに言うの。「蟲と人とは同じ世界には住めないのだよ」って。

まあ確かにそうなんでしょうね。蟲、王蟲は穏やかな世界でしか、本来の彼らの姿で生きることができない。憎しみや憎悪が立ち込めた世界では、自分を失って走り回ることになるの。人間が穏やかになれれば、ともに住むことができるんでしょうけど、今しばらくはそれは望めない世界。

でも、エンディングでは少しそんな方向に、人間たちの軸足が移動したことを予感させるようなシーンがあったわね。浄化された土に、小さな木が苗木ほどの大きさで育っていこうとしているところが。

ところで、地上で待つクロトワたちなんだけど、巨神兵の再生に全集中って感じ。でも、クロトワのキャラクターをつかみきれない一言があるのよね。巨神兵を前にして「貧乏軍人の俺ですら、久しくさび付いてた野心がうずいてくらあ」って。

でも続けて、「てめえなんざ、この世の終わりまで地下で眠ってればよかったんだ」って。これってどういう心境だったのかしら。今一つ読み切れないんだけど、でも欲に目がくらみまくった者の発言ではないように思うのよね。

それはきっと間違いないんでしょうね。だって、ネット見てたら、意外と彼のファンって多いのよね。

一方で、腐海の底からペジテを目指すナウシカとアスベル。ナウシカは例によって胸騒ぎを感じながらペジテに向かって飛んでいる。ナウシカが胸騒ぎを感じるということは、王蟲たちが騒いでいる可能性が高いのよね。

ペジテで何が起こっているのか。その惨状を見たナウシカとアスベルは愕然とする。ペジテの軍は、蟲たちに襲わせてトルメキア軍を一掃し、巨神兵を取り戻す作戦を取っていた。その目的のためには、自分たちの町をも蟲たちに襲わせ、街を廃墟と化し、さらに風の谷に蟲を送り込もうとしていたの。

ペジテの軍にとらわれたナウシカ。飛行機に乗せられ移送中、トルメキアの急襲を受け、その隙をついて飛行機から脱出。メーヴェで風の谷に向かう途中、ガンシップで救援に来たミトと合流し、一路風の谷へ向かうの。

相関④|巨神兵と世界の命運

“風の谷でナウシカの帰還を信じて待つ谷の人々。彼らが最後に籠城したのは、古き遺跡のようになり果てた宇宙船。クシャナはその様子を見て、何か心に期するものがあったようなの。

谷の人々が籠城した砦、宇宙船は、きっと過去の人たちが最終戦争あたりで行き場を失った状況から、次なる望みにつなげるために命を託した場所。今、再びそこに人々が集まっている。命を託したのは、今回は宇宙船ではなく、おそらくナウシカだったのでしょうね。

クシャナは、ナウシカに会って話がしたいと言っていたわ。明らかに心に何かが芽生えてる。それまで彼女は、かつての最終兵器──この世界を焼き尽くした巨神兵に未来を託していた。それは、腐海と蟲を焼き尽くすことで得られる未来。

でも、それでは生き延びることはできないと、この谷に来てから何度も聞かされた。クシャナというのは、やはり私欲のためではなく、人々が希望をもって生きる方法を必死で探していた人なのかもしれない。

宇宙船に集まる多くの人々。そしてその人々が命を託すナウシカという存在に、クシャナもかなり惹かれはじめていたのかもしれないわね。

ただしそれは、ナウシカが言うように「腐海は汚れた大地を浄化しようとしており、蟲たちはそれを守ろうとしている」という考えを確かめたかったのかも。つまり、それらが人々が生活できる場所を提供しようとする存在であるなら、ナウシカがその腐海の深部から戻ってくるという“奇跡の証”を見せてくれるはずだと、クシャナは期待していたように見えたわ。

逆に言えば、ナウシカが戻ってこられなければ、その希望はたんなる妄想にすぎない。その判断を1時間後に下す決心をしたのね。

ガンシップが戻ってきて、ミトひとりだった時。そこにナウシカがいなかったのを見た瞬間、やっぱり気持ち的には落胆していたんじゃないかな。クロトワが「待たないんで?」と問うと、クシャナは「しょせん血塗られた道だ」と言って、ナウシカがもたらすかもしれない奇跡への期待を捨て去るように答えていたわ。

そして「ならば…」ということで、巨神兵を動かす決心をしたのね。王蟲たちの怒りは、風の谷の風をも止めてしまうほどの緊張をもたらしたの。それはそうだと思う。ペジテのとった“蟲での攻撃”というのは、王蟲にとっては残虐極まりない方法。

谷の大ババも経験したことのない、風の吹かない谷。これほどまでの危機は、少なくともこの100年ほどなかったということじゃないかしら。

ところで、王蟲の幼生を運んでいた“飛行ガメ”と呼ばれるものらしいんだけど、それにナウシカは飛び移るの。その時のピンクの衣装がとても印象的。この衣装は、ペジテの少女からもらい受けた服よね。

詳しいいきさつは調べてもわからなかったんだけど、その服はペジテの王女アステルが着ていたものと同じなの。だから、あの飛行ガメで銃撃しようとしていた少年が、ためらったのね。

その後、そのピンクの衣装が青色に染まることになるの。傷ついた王蟲の幼生が酸の湖に入りそうになった時、ナウシカは身をていしてそれを止めていたの。その時、王蟲から流れ出た体液が、みるみるピンクの服を青に染めていくのが描かれていたわ。

この世界を救うもの。真っ青な異国の服を着ている。まるで金色の草原を歩いているみたい──谷の少女たちの言葉ね。この世界を救う伝説が、ここに現実となって現れた瞬間。

「その者 青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」──古き言い伝えね。

エンディングでは、クシャナとナウシカが何かを話していたわね。奇跡を起こした者に対して、何を言うことができるのかしら。少なくとも、伝説の奇跡が起きたということは、その先に希望が見えているはずよね。クシャナとしては、「自分は自国に帰って、谷の民のように生きる国を目指すわ」とか言ってるのかしら。

まとめ

シャナは敵として登場したけれど、最後には「この人もまた、苦しんでいた一人なんだな」って感じさせられましたよね。腐海を焼き払えば人が救われると信じていた彼女が、ナウシカの行動を見て少しずつ変わっていく。その心の揺らぎが、この物語のもう一つの軸だったんじゃないかと思うの。ナウシカが見せたのは、戦いではなく、赦しと受け入れ。だからこそ、クシャナも最後にはその希望を受け取れたんでしょうね。風が戻り、谷に光が差したとき、人間と蟲、そして自然のすべてが少しだけ歩み寄れた気がしました。ナウシカの「青き衣」は、きっとその希望の象徴なのよね。

今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。

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