正直SFとしてのこの作品、ママには理解が難しいところがたくさんあって…でも、人間ドラマとしてみた時に、シュガーの生き様や、リリとタキマの間に築かれた相関関係、心の動きにはとても惹かれるものがあった。
今日はその点から、この壮大なドラマの一端を読み解いてみたいと思います。
相関図①|シュガー、エマの死とリリの誕生、すべてが始まった22年前

22年前のある日、火星と地球で同時に起きた“ある現象”。それは、一人の男シュガーの死と、彼の妻エマの出産、そして“物体”の出現が重なった日だった。
その日生まれた赤ん坊こそがリリ。彼女は偶然ここにいるのではなく、すべての出来事の中心として生まれてきた存在だったのよね。
主人公のリリは、火星で繰り広げられる物語の中の中心的な勢力であるISDA(イズダ)と呼ばれる組織の管轄下で生きる盲目の少女。リリは22歳。
親元を離れ、一人火星で暮らしていたの。火星で一人?あれ?ほんとかしら?少なくとも、第1話でリリのお母さんはISDAのお偉いさんとして、日本支局長を務めている。彼女の活動拠点は日本なの。
このドラマのオープニング近くで、リリが未来的なコスチュームでトレーニングを受けているシーンが描かれるんだけど、これは、火星を発ち、地球へ向かうためのいわば宇宙飛行をするためのトレーニングだったようなの。
このトレーニングを受けて、合格した人のみ地球へ向かう宇宙船に乗ることを許される。彼女はもう6年間もこのトレーニングをうけては試験を受け続け、すでに6年が経過していたらしいの。
だとすると、少なくとも16歳の頃から彼女は一人ぼっちだったってこと?
それにしても描かれた近未来をみて、なんだかなあ…と自然と心が受け入れを拒否してしまうのが「タグ」。
体に埋め込むって聞くだけでなんか拒否反応が出てしまうんだけど、それを身につけなければ生きていくことがとてつもなく難しくなるって聞かされると、受け入れざるを得ないのかな…その時自分がどちらを選択するのか、想像もつかない状況だけに、そこでタグを拒否して生きる道を選んだ人々の決意も相当なものだったんだと思う。
タグをつけた側がタグレスと呼ばれるタグを拒んだ人々を追い詰めるような感じがあるんだけど、それはやっぱり、タグを受け入れざるを得なかった人たちの選択も、相当な覚悟がいったということなのかな。
映画で描かれたこの世界、タグを埋めるということは、自分で何かを決めるという自由の大半を奪われること。
結婚や職業を選ぶことだってISDAの許可がいる。でも、タグレスになった人の中には、こだわりもって自ら望んでそうなったわけではなく、流れにのまれてその状況になってしまった人もいるみたい。
タグを持ち込んだISDAっていうのは、先住民を追いやったような、いわば外からやってきた異民族のような存在としてうつるわね。
なんか火星では幅を利かせてるように描かれるけど、でも、地球に戻ればタグをつけている人なんていないわけで、わずか10万の人を統治しようとしてるって感じよね。それにしては、なんだか考えてることがだいそれているような気がするんだけど…
現在のタグレスの中には、当時の、ISDAが現れる前の世界を知っている人たちもいて、その頃の方がよかったって言っている人もいる。これは想像に難くないわね。
ISDAというのは、その地で自然発生的にできた組織ではなくて、外から何かの利益目的で入り込んできたものたちということよね。
そんなISDAの中で、重要なポジションで働くタキマは2話までリリの母として描かれるんだけど、血のつながった母娘ではないのよね。
主人公のリリは、このタキマの娘だから当然にタグを埋め込んだISDA側の人間だと思っていたんだけど、2話で彼女の出生の秘密が明かされ、生まれて間もない時に、タグレスの世界からISDA側に引き渡されていたようなの。
相関②|あの物体は何だったのか、リリとカワナベを結ぶ因果
22年前、日本と火星で起きた“現象”は偶然ではなかったはず。
その日、カワナベは地球で“物体”を目撃し、火星ではシュガーが命を落とし、エマが出産していた。
別々の場所で起きた出来事は、一本の線でつながっているはず。
カワナベさん、火星に移住して、ホエール社にやとわれる形で依頼された物質を探している。
もう10年ほどもたつらしいんだけど、未だ目的のものは見つからない。
彼が追い求めていたのは、22年ほど前、一時的に彼の前に現われ、そして忽然と消えていった黒いボール状の物体。
今カワナベは、火星でその黒い物体に再び遭遇しようとしていたの。
なぜわかるかっていうと、あの黒い物体が現れるとき、空中に砂を巻き上げたような巨大の球状の渦が目撃されるから。
この変わった球状をした巨大な砂嵐、この後の話も少し含めてイメージすると、何かに吸い込まれそうになっている砂が巻き込まれる直前の様子のように見えるの。
ところで第2話冒頭では、ある女性が出産をしているシーンが描かれる。そして、それをこっそりのぞいている少女たちがいるんだけど、どうやらあれは、マルとチップらしいの。
そのあたりから、マルとチップはリリの出生の秘密を知る立場にいたようね。
特に、マルの方は、エマと死別したリリをISDA側に手渡すということをやったんだけど、あの頃のマルはまだ幼かったから、それもしょうがない選択だったかもしれないわね。
マルはその後タグを埋め込むこんでISDA側の人間になるんだけど、それはリリのことを気にかけてのことかしら?
いや、そこまではないか。
情報では、マルは地球に行きたくてお金をためてるっていう情報も見かけたし。地球に行こうと思えば、あの世界ではタグを埋めない事にはね。
ちょっと話がそれてしまったけど、エマが出産を終え、リリがこの世に誕生したちょうどその時、日本は和歌山で未知の物質を探していた若かりしカワナベの前に、例の砂がまきあがった巨大な球体が現れた。
そして、どうやらその巨大な球体のすぐ下、地表に小さな丸い穴が開いたその奥に、真っ黒な未知の物質からなる球体が現れるの。
その球体は超重元素という物質からなり、その中にマイクロブラックホールが存在しているといわれている。
その球体と密接に関係していそうなのが、リリなの。
カワナベはリリとその漆黒の球体との因果関係を突き止めようとしていた。
理由は単純。例の球状巨大砂嵐のようなものが発生したとき、その真下にはリリがいたからなのよね。
で、その因果関係が証明されたと言えるかどうかはわからないけど、リリは、その現象を起こした時と全く同じことを簡単に再現して見せたの。
ということはですよ、巨大なエネルギーを秘めた物質、その力を発動させるためにリリが必要と推測されるわけです。
作中では、この物体の中にマイクロブラックホールが存在すると説明されているんだけど、科学的な正体についてはまだ語られていない。
ただ、通常の兵器やエネルギーとはまったく異なる性質を持つことだけは確かのようね。
まだこの物質とリリとの間に存在してそうな因果にたどり着いたのは、カワナベ達だけのはずなんだけど、ISDAの事務総長ファン・ユートンも、未知の物質とそれを所有するカワナベ、そして、カワナベに協力しているとしてリリをも拘束対象として追いかけ始めることになったの。
1話までの情報では、ママレベルの知識や推察力では、この物語難解すぎて、何の推測もできなかったんだけど、2話まできて、急にママの妄想が膨らみだした。
といっても、本筋の人間関係の考察とはちょっとズレてしまうんだけど、少なくともこの物語、あの謎の球体物質はなんだったのか、このあたりが描かれるのと描かれないのとでは、満足度がちょっと変わってくると思うのよね。
だから、答え合わせは第3話にゆだねるとしても、ここでママの想像だけは描き残しておきたいの。
あの物質、真ん中に1ミリに満たない小さな黒い点があって、それがマイクロブラックホールだって言うのよね。
今、ブラックホールの存在を疑う人はあまり多くはないと思うんだけど、ママ的にもそれは存在しているんだと思ってる。
でもね、その正体が何なのかについては、ちょっと多くの人とは違う見方をしていると思うの。
ブラックホールは何でもかんでも吸い込んでしまう宇宙にぽっかり空いた穴のようなイメージを持っているんだけど、ママの中ではそれに類似したものとして、ビッグバン以来拡大し続ける宇宙がやがて反転縮小しだし、最後には消滅するっていう話もあり得る話として認識してるの。
別の記事でも書いてるんだけど、ある本に、心というのは元来創造ということができる存在だったらしいのね。
でも、ある時、その心がちょっと誤想像をやらかしてしまって、それは結果的に心の中に暗闇を生んでしまったというの。
その状態に陥って、心は本来のような創造する力を失ってしまったんだけど、それでも、もともとその力が強力だったために、永続するような本来の創造はできないんだけど、幻レベルのものを想像、投影することはできたの。
本来の創造は永続するものが生み出されるんだけど、幻レベルの想像、投影は永続するものを生み出すことができない。
実は、私たちが目にしているこの世界というのは、その幻レベルの投影物だっていうの。
この幻の投影物はどんな時に生み出されるかといえば、やはり感情が強く働いたとき。
つまり心が活発に動いたときよね。日常で心が活発に動く時っていうと、何も意識せずにいるとだいたいいやなことが目の前に出てきたときに、心配であったり、不安になったりするのよね。
そんな気持ちが生み出す幻は、やっぱり不安を感じさせやすい物や情景となって目の前に現れるの。
でね、これは、心が間違った風に働いているからなんだって気づいたとき、人はそれを直していくことができるの。
よくゆう「感謝が足りないよ」とか言うのがそれよね。
感謝の気持ちを向けると、そのいやな幻がぱっと姿を変えるというの。
目の前で起こっていた人の顔から、怒りの表情が消えるようにね。
で、今の肉体の目には見えないんだけど、同時に見えない世界では、怒りの表情とは真反対の言葉には言い表せないような素晴らしいことがおこっているんですって。
その時、怒りの表情がこの世界からは消え去ったように、そんな風にして、目の前の色んな事が、本来あるべき素晴らしい姿に変わっていって、心煩わせるようなことは目の前から消えていく。
宇宙というのは、こういった煩わしいコトなんかが拡大し続けてできているっていうのよね。
でもね、笑顔や感謝が大事だねって気づいて、そのように生きていこうとしたときに、目の前の煩わしいことがどんどんどんどん消えていく。
それはね、最終的には、この目の前から宇宙が消えていくってことにつながるの。
ブラックホールってね、ママ的には、それとちょっと似たところがあるのかもって感じているの。
その穴の中に吸い込まれるように見えるんだけど、吸い込まれていく物質は、この心が生み出した幻たち。
その幻が消えていく過程が、真っ黒なトンネルの中に吸い込まれていくように見えるんじゃないかなって思ってるの。
さて、ドラマ本題に戻ると、リリは、あの物質を発動させたとき、暗闇の中にちょっと光り輝く小さな無数の点をみて、それに言葉をかけていたわね。
その時の感情というのが、実は愛にあふれた感情だったんじゃないかなって思っているの。
リリは、シュガーとエマ、それぞれが命失うその日に誕生した。
シュガーとエマは、死の目前では怒りや苦しみをかかえていたんだとおもうんだけど、もともと愛にあふれていた人たちだったのよね。
その二人の子どもとして生まれてきたリリは、もしかしたらその生まれた瞬間からこの世界にそういった愛の波動を響かせることができる存在だったのかもしれない。
彼女、ギターを弾きながら、歌を歌っていたわよね。みんなその歌に聞き入っていたわ。その歌に彼女の心が乗っていたせいじゃないかしら。
ブラックホールは、先に書いたように、いわば、この世の苦しみをすべて吸い込み、こちらからはみえないものの、その穴の向こう側では再び光を発しているんじゃないかと思うの。
そのブラックホールを有した物質が、地球と火星の両方に同時に現れた。
そこには、シュガーとエマの思いだけではなく、さらにその二人に関わる相関があったんじゃないかなって想像しているの。
日本の側で、このドラマの中で愛をさし向けている人といえば、アオト君とタキマなんだけど、そことリリとの間を結ぶように同じマイクロブラックホールが現れるという必然性は、今のところママの妄想では感じられないのよねえ。
ママの予測なんて、ほとんど当たることはない、ほんとただの妄想なんだけど、どうかこの推測のつづきとなるようなシーンが第3話で描かれていますようにって願いながら、次の話を待ちたいと思います。
相関③|暴動の裏側と物体の正体
最終話なのよね。予測ストーリーとは、全く違ってたわ。でも、ママの予測は当たることないから、めげずにちょっとその展開を追ってみたいと思います。
前話でちらと見えた通り、カワナベ、リリ、そして”物体”がISDAの手によって追われるターゲットになってしまったの。
追われる身というのがイコール、警察に追われる身というのだから、ちょっとこのISDAという組織自体、いったい何なのッて感じを覚える。
でも、ちょっと、迷子にならないようにネタバレになるけど触れておくと、この異常ともいえる展開は、ISDAを牛耳るファン事務総長個人のたくらみによるものなのよね。
そうはいっても、かなり大きな組織で力もあるから、それに対抗できる組織は、今のところ、ホエール社だのみという感じになるの。
あのホエール社の最高経営責任者ルーク・マディソンという男がどう立ちまわってくれるのか、そのあたりがこの物語の着地点に大きく影響しそうな感じ。
実は、3話が始まって間もなく、その場にいた人はきっと凍り付くような思いをしたんじゃないかって場面が訪れるの。
リリが、あの事実、「火星の生命維持装置が停止する」というのを公にしたからなの。
もちろんリリは、そんなことをさせないためという強い意志を持ってそうしたんだと思うんだけど、その場に居合わせた一人の男性の叫び声で、リリのその発言も含めて暴動を扇動したかのような状況が生まれてしまったの。
これは、作為的につくられた状況だったって言うんだけど、かなり周到な準備というか、段取りが組まれていたように感じるわ。
だって、暴動を鎮圧する目的で、タグレスの人々をひっとらえて、その後は地球に強制送還するか、何かの手を打つんでしょうけど、そもそも暴動がどこで起きるか予測って難しいと思うのよね。
暴動といえば、宇宙港事件はもちろん暴動だったし、それを鎮圧する目的で警察、さらには駐留軍を出動させたのよね。
その時は、ある人間が発砲したことを理由に、タグレスに対する抑え込みを正当化したISDAサイド。
今回は、リリが歌を歌ったその場所が暴動の現場となった。
そして、そのきっかけは、一人の男の叫び声だった。
あれって、リリを拉致した髭もじゃの大柄の男じゃないの?
彼の発した「虐殺を許すな」っていう叫びが、そのまま暴徒を生み出していったの。
この展開には、暴露した当の本人のリリも面食らった様子。
リリは警察から追われる身となるんだけど、そこにルーク・マディソンが救いの手を差し伸べてくる。
この男も、自分の利益、打算でしか動かないように見えていたんだけど、今回のこの助け舟も、もちろんそういうことよね。
でも、マディソンはなんでこんなところにいたんだろう。
理由は定かではないんだけど、今、マディソンにとっても、ファンにとっても最重要事項は”物質”とその正体に一番近いカワナベの確保よね。
そうはいっても、カワナベはまだ、あの物体が何なのかをはっきり理解しているわけじゃない。
だから逃げながらでも、自分たちが抱えているそれがいったい何なのか、そして、なぜ多くの人間がそれを自分の利益のために手に入れようとしているのかを、早く知りたいと思っているはずよね。
今、カワナベと同じように物体がISDAの手に渡らないように、それを抱えて逃げているアオトがいる。
アオトとカワナベの思いは一致している。
アオトはお父さんの思いを引き継いで、何とかその物体を守り、正体を見極めないといけないという思いがあるのよね。
同じ思いを抱く二人の間には奇跡というのが起こるのかしらね。
彼らは望みかなって、ISDAの手によって物体をうばわれる前に、地球と火星間でその物体を使った実験を行うことができたの。
一方で、こちらは実験前の様子なんだけど、タキマがね、火星のリリとメッセージのやり取りをしているの。
10分間のタイムラグを挟みながらね。
タキマが言うのよ。なんでもっと早くに、リリに、真実を伝えておいてあげられなかったのかなって。
でもね、その理由を、タキマは今また実体験しているの。
メッセージなんてものではね、思いを伝えることができないんだって。
同じ時を共有して、それぞれが、今、その心の動きを共有しなければ、人は何も伝えることができないって、そんな思いだったのかな。
先週までのママの予測は、マイクロブラックホールという存在が、見えない世界とこの世界をつないでいるんじゃないか、そんな想像から広がっていたの。
それはそれで、とても心をくすぐられる話だった。
でもね、今このドラマで描かれようとしていることも、別の意味でとても奥が深くて、簡単には読み切れない面白さがあると思う。
実は、この二つの物体は、とてつもない距離を超えて、2点間で同時にコミュニケーションが取れるということが分かったの。
もちろん、それがその物体の真の目的なのかどうかはわからない。
でも、この物体は、二人の人間の「今」の心を伝える手助けをすることができるということが分かったの。
このことが、このドラマの中でどのくらいの意味があるのか、ママ程度の思考力で推し量ることは難しいんだけど、でも、あの得体のよくわからないマディソンの言葉の中に、ちょっと感じるものがあった。
マディソンは自由を求めて火星に行ったんだって。
でも、ISDAの監視下での動きを強要されてうんざりしていたって。
前に、インド支局長が言っていたことがあったわよね。
10分のタイムラグがあるせいで、すべてが決定事項として伝わってくるようなことを。
みんな、同時に心と心、腹を割って話し合うなんてことができない時代になっていたのね。
今の時代には、リアルタイムでの意思疎通って当たり前になっているし、でも逆にタイムラグが発生する通信で楽しんでいるようなところもあったり。
リアルタイムがかなわない環境に置かれたとき、それがどれほど大切なことなのか思い知るのかもしれないわね。遠いか近い将来かわからないけど、いつかそんな時代が来るのかもしれないなって思いました。
今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。


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