バースデーカードの相関図!芳恵は紀子に何を残そうとしたのか

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この記事はネタバレ情報やあらすじを含みます。未視聴の方は特にご注意ください

誕生日に届く一通の手紙。

これは、もうこの世にいない母からの手紙――。

映画『バースデーカード』は、余命を知った母・芳恵が、娘・紀子に10年分の誕生日の手紙を残したことから始まる物語です。

芳恵は、紀子に何を残すことができたのか。相関図とともに、母が娘に残したものをたどってみたいと思います。

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目次

相関図①|母・芳恵が選んだ「10年間、そばにいる」という生き方

主人公紀子(鈴木紀子)の母芳恵、宮﨑あおいさんが演じてるんだけど、冒頭から病院のベットの上にいて、娘と一時語らうシーンが描かれる。

エンディングで再び描かれるこの場面だけど、もう最期の時が近かったのね。

彼女の夫、鈴木宗一郎が悲しみに暮れそうになる家族それぞれを必死に励まそうとする姿に、冒頭から胸を締め付けられる思い。

家族みんなが、芳恵さんの最期が近いことはわかっていたのよね。

でも、残された時間、芳恵さんは子供たちに苦しんでいる姿なんか見せてたまるか!っていう思いで、祝福された時間を過ごそうと決めたみたい。

透き通るような青い空の下、誰にも邪魔されず、家族でピクニック。

そこで芳恵さんは子供たちに、毎年誕生日に手紙を渡すことを約束するの。

もちろん、元気に回復して、一緒に誕生日を迎えるという気持ちをもって、子供たちに希望を与えていたの。

でもね、やっぱり、回復することは難しかったみたい。

彼女は、子供たちが成人するまでの、毎年のバースデー手紙をしたためることにしたの。

子供たちにそう伝えた後、「さて、どんな手紙を書こうかな…」って。

なんだかやるせない気持ちが、この一言に集約されてきこえてきたの。

これは演じていた宮﨑あおいさんの演技の賜物かしら。。

さて、子供たちのパパさん、宗一郎さんも、いい味出してるんだけど、芳恵さんとのやり取りで、「大学」だの「天文台」とか言っていたから、大学の天文台とかにお勤めということなのかしらね。

子供たちが学校から戻ってきたときに歯を磨こうとしていたから、夜中に星の観察をしているとかそんなお仕事なのかしら。

そのあたりも、お母さんの死が悲劇的に描かれることなく、そのあとの家族の様子を温かく描くのになんかちょっといい設定のように感じるわね。

天体望遠鏡を二階のベランダに持ち出して、1千億個の星からなる星雲を子供たちに見せて、お母さんはそこにいる…的な…なんかすごくいいわ。

それから毎年ね、このパパさんが子供たちのお誕生日に、芳恵さんがしたためた子供たちへの愛のメッセージを渡していったの。

芳恵さんの手紙の才能にも驚かされるわ。

子供たちがその想定した年齢に達したトキ、ギリギリ受け入れられるかかどうかっていう内容の「チャレンジ」みたいなことを伝えてくるの。

学校や住んで映画見に行ったり、初キスの指南だったり。

紀子がね、かわいいの。お母さんが手紙にのせてよこしたチャレンジを、ちゃんといつも意識してるのよね。

ひまわりの種が入っていたら、それをちゃんと庭に見事に咲かせるし、突然訪れたイケメン男の子との初キスチャンスでも、ちゃんとママの手紙のことを思い起こして妄想してるの。

若いんだから、うまくできずに空回りとかもするんだけど、でもね、こんなドキドキの日常を、お母さんに家でお話したりする女の子ってのもいるんでしょうね。

紀子はもちろんお母さんに相談したり、お話したりすることはできないんだけど、手紙の中のお母さんと心の中で話することはできたのかもしれないわね。

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相関②|芳恵の少女時代と、紀子が拾い上げた「ごめんね」

そんな紀子ももう17歳。今回の手紙は何かな?

なんか今回は、お母さんからのお願い事まで入ってる。

17歳って大人なのね。ママの故郷の中学校で、タイムカプセル掘り起しがあるんだって。

それの回収をしてほしいって。そこにはね、タイムカプセルだけじゃなくて、お母さんの少女時代の人間関係もあったりして、そんな関係の掘り起しまでお母さんは依頼してきたみたいなの。

なんかかなりハードル高くない?

ママが17歳の時だったら、バーステーレターは、昨年までで終了いたしますって、パスしたかもしれないわ。

紀子はフェリーに乗って小豆島まで行ったの。ママの幼なじみで親友の沙織を訪ねてね。

でも、ついた先で彼女が感じたことは、やっぱり17歳ッぽいわよね。

電話でお父さんからそっちはどうだと聞かれて、まあねえ~って、今のところはやっぱり大人ばかりの関係の中に放り込まれた17歳って感じで、やっぱり楽しいまではいかないわよね。

沙織にはね、中学生の娘真帆がいるんだけど、今は、学校に入っていないみたい。

お母さんとの関係も、ちょっとぎくしゃくして、真帆はお母さんとはあまり口をききたがらないみたい。

沙織の着替えにって、真帆のTシャツをかってに着させていたもんだから「最悪!」って怒らせてしまったり。

沙織がね、真帆の部屋にTシャツを返しに行ったとき、相変わらずムスッとしていたんだけど、CDの話になって、急に打ち解けだしたの。

なんでやねんって突っ込みたくなるほど、突然のほんわかムードに戸惑いつつも、やっぱり人と人が仲良くしている姿はホッとするわ。

特にね、心閉ざしかけていた子が心開くことができる機会を見つけた時、そんな場面を見せてもらえると、こっちまで幸せになるわ。

そして、やばいやばい。この後、早くもこの映画のクライマックス? 

なんか、紀子がお母さんの中学校に行ったの。タイムカプセルの掘り起し。

紀子のお母さんと沙織は、当時ピンクレディーに夢中だったの。

一緒にコンサートに行くことも計画していた。

でもある理由があって、沙織は芳恵とコンサートに行くことはできなかった。

沙織は自分のせいで、芳恵もコンサートに行くことができなかったんじゃないかと思っていたんだけど、実は芳恵は行っていたの。

これにはいろいろ事情があってね、彼女たちは、中学の修学旅行先(東京)で、たまたま日程が一緒だったピンクレディーコンサートに行くつもりにしていたんだけど、学校側の勝手な事情で、修学旅行1か月前になって行先が京都に変更されてしまった。

沙織と芳恵は修学旅行をボイコットしてピンクレディーの方へ行こうと約束していたのに、沙織は親に阻まれて、芳恵を残して京都の修学旅行に行ってしまったの。

どうやら、そのあと、二人の関係は途絶えてしまったみたいね。

おそらく、言葉の一つすらかわすことができていなかったんじゃないかな。

沙織は、ずっと芳恵に謝りたいと思っていたんですって。

でもね、タイムカプセルから出てきたのは、ピンクレディーコンサートの公園パンフレット。

そして中に、沙織ごめんねってメモが挟まれてたの。

中学生の彼女たちにとって、一度口をきけなくなった状況を元に戻すのってホントに大変なのかもしれない。

どうしても謝りたかった芳恵にとっても、それは難しすぎたのかな。

時が何かを変えてくれることを期待して、タイムカプセルに「ごめんね」を託したのかもしれないわね。

小豆島に来て、紀子は母芳恵が、自分とは全く違ったスーパー少女だったという風に思ったみたい。

でも、そんな母も、友達に「ごめんね」の一言は言えなかったんだって知った。

紀子は母の中学校の校舎の中で、中学生の母が紀子の方を振り返りながら向こうに駆けていく幻をみたんだけど、自分の前を駆け抜けていったそんなでき過ぎの母ですら、できない事なんかいくらでもあったんだって、背中で紀子に語っていたように感じたわ。

でも、芳恵のそんな思いはまだ紀子に伝わらないみたいね。

船で帰ろうとしている紀子が、沙織に言っているの。

ママのようにはできないって。

でもね、紀子はお母さんにもできなかったことをやって見せたの。

沙織は娘の真帆と笑顔で話しできるようになったんだけど、これは、紀子のお陰。

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相関③|紀子が手紙を拒んだ日、支えてくれた出会い

紀子19歳。もう大学生。でも、なんかややこしいことになってる。

今年は、ママの手紙を読まないんだって。もう振り回されたくないって。

今まで手紙のせいで、やりたいことできなかったり、ペース狂わされたりとか、色々あったって。

なんか相当こじれてるやん。

でも、ここでもやっぱり誰かが現れるのよね。

紀子が小豆島で真帆の前に現れたように。

ここに現れたのは、ラーメン屋で修業中の男の子。

初キスを妄想した相手の男の子ね。

あの時、バイクの後ろに乗せてやるって言っていたのよね。

それがね、何年か越しで、夢かなうの。

中学生だったから数年ぶりの再会という感じかな。

ここでもね、この男の子の言葉が、紀子を救うの。

俺、母子家庭だから、お母さんに口ごたえみたいなことできないって。

どこがどう紀子の心に響いたんだかわからないけど、その言葉がまた彼女を支えたの。

でもこの男の子、なんてスマートなのかしあねえ。

明らかに紀子のこと好きだと思うんだけど、今日一日で終わらせないために彼が紀子に言った言葉は、「また食べに来いよ」だって。よくない、これ? 

彼との出会いに支えられて、紀子は19歳の誕生日に母の手紙をちゃんと読むことができた。

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相関④|最後の手紙と、「バイバイ」に込められた思い

紀子20歳。最後の手紙。割とシンプルな手紙だった。

でも、なんかわかるような気がする。紀子の10年分、その一年一年を、どんな風に育ってるかな~、何やってるのかな~って考えながら書いてたのよね。

もしかすると、その時間って、一緒に過ごす10年間と変わらないくらいに紀子のことを考えていたのかもしれないわね。

そして、紀子にかけた最後の言葉が「バイバイ」だったの。

病床での何日間だったんだけど、10年間を考える間は、ずっと紀子と一緒にいたのよね。

そして、20歳になった紀子に贈る言葉を言い終えた時、そこではじめてお別れという意識がこみあげてきたのかもしれない。

生きてこの世界にいる親子には、出てこない言葉だったかもしれない。

でも、伝えたい思いをすべて描き切って、最後に「バイバイ」と締めくくることのできる人生というのもそう多くはないのかもしれないわね。

さあ、ここから後は、お母さんからの思いや言葉を全部聞いた紀子が、前向きな人生を歩み始める。

このあとね、アタック25だとか、結婚だとか、紀子の歩みが描かれる。

お母さんとか、お父さんだとか、周りに人の思いに支えられて歩めてるんだなってのがいい感じで描かれたいたわ。

色んな出会いで受け取る様々な形の幸せ。紀子にとってはある程度は想定内の幸せだったかな。

でもね、結婚式当日、紀子は、お母さんから最後の手紙を受け取ることになるの。

ないと思っていた手紙を思いがけず受け取ることになるんだけど、これはホントにうれしかったんじゃないかな。

だってね、あの「バイバイ」はやっぱり寂しすぎた。

今度の手紙には「バイバイ」の文字はなかったの。

いつまでも、彼女のことを見守り続けていてくれるって、そんな思いが伝わってきた。

今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。

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