「クラウチ・ジュニアの正体と目的」いつムーディと入れ替わった?
『炎のゴブレット』最大のどんでん返し──それが「ムーディ先生の正体」だったのよね。でも正体を明かしたその人物、クラウチ・ジュニアって、そもそも何者だったのか。実はこの男、ハリー・ポッターシリーズ全体でも屈指の「信頼を裏切る」存在だったの。しかも、ただのスパイじゃない。ヴォルデモート復活のためにすべてを仕組み、すべてを操った“黒幕”だったの。
彼の本名はバーティ・クラウチ・ジュニア。魔法省の高官クラウチ・シニアの一人息子だけど、若くして“死喰い人”になり、ネビルの両親に「磔の呪文(クルーシオ)」をかけて廃人にした極悪人。原作ではアズカバンに投獄された後、母親との入れ替わりでこっそり脱獄、父親に「服従の呪文」をかけられて自宅で幽閉されていたの。でもジュニアはヴォルデモートの復活を夢見て再び行動を開始──ついには父親すら殺し、マッドアイ・ムーディを襲って姿を奪い、ポリジュース薬で完璧になりすましたのよ。
映画では、彼がホグワーツで生徒たちを指導するシーンも描かれていたけど──怖いのはそこにある「リアルな恐怖」。生徒たちは“闇の魔術に対する防衛術”の授業を信頼して受けていた。
でも彼が教えた「許されざる呪文」、あれはまさに彼自身が使ってきた拷問のテクニックだった。とくにネビルに対する時、あれ、ほんとにぞっとする。だってネビルの両親を拷問した張本人が、ネビルの目の前でそれを実演してるんだから。
そしてこの偽ムーディ、いやクラウチ・ジュニアの目的はただひとつ。「ハリー・ポッターをヴォルデモートのもとへ送り届けること」。そのために、ダンブルドアすら欺き、三大魔法学校対抗試合にねじ込み、巧妙にハリーを優勝へ導き、ポートキーで“墓場”へと転送させるのよ。──ヴォルデモート復活、そのきっかけをつくった張本人、それがクラウチ・ジュニア。
しかも彼は「演技派の鬼」。ムーディの癖、口調、立ち居振る舞いすべてを完璧にコピーし、生徒どころか教師陣までも欺いていた。なりすましというより、「誰かになりきること」が彼にとっては快楽だったのかもしれないわね。ムーディに扮しながら、ひそかに父親を抹殺し、計画を進める姿には、どこか“壊れた忠誠”の狂気すら感じたわ。
この“ジュニアの正体”が暴かれることで、物語は一気に裏返る。ムーディじゃなかった?え、じゃああの授業は?あのアドバイスは?全部フェイクだったの!?──まさに「信頼の崩壊」。彼はホグワーツに入り込む以前に、本物のムーディを捕らえトランクに幽閉し、なり替わって自分がホグワーツに侵入していたの。
ネビルが磔の呪文で苦しんだ理由は?ムーディが誘ったお茶と見せたモノの意味とは?
あの授業、きつかったわよね…。ムーディ(※中身はクラウチ・ジュニアだけど!)が「許されざる呪文」について教えるあの授業。みんながドキドキしてる中、彼は淡々と実演を始める。まずインペリオ、次に磔(クラシオ)、そして最後にアバダ・ケダブラ。
だけど、この中でとくに皆を凍り付かせたのが、磔の呪文をかけられたクモを見て、ネビルがひどく取り乱したシーン。彼は顔を引きつらせ、身体を硬直させ、涙をこらえるように俯いてしまった。あの反応、明らかに「ただの恐怖」じゃない。心の奥の、古傷をえぐられたみたいな…そんなリアクションだった。
あとでムーディ(クラウチ・ジュニア)は、ネビルをお茶に誘う。授業でのことを気にしてるそぶりを見せながら、「お茶でも飲まんか。見せたいものがある」と言って部屋に誘い込もうとしていた。
ネビルは植物学が得意で、それが後に彼の自信とアイデンティティにもなる。つまりムーディは、ネビルの“得意分野”をさりげなく強化してあげたようにみせかけた。親切を装いながら、着々と手の込んだ計画を実行していく。──忘れちゃいけない、彼はクラウチ・ジュニア。シリーズ通してみても、かなり危ない人物よね。
でもどうしてネビルは、磔の呪文にあんなにも敏感だったのか? その答えは、シリーズを通して明らかになるわ。『不死鳥の騎士団』で描かれるけど、ネビルの両親、ロングボトム夫妻は、不死鳥の騎士団創設期のメンバーだった。でも、死喰い人によって“磔の呪文”を繰り返し受け、精神を破壊されてしまった──つまり、あの呪文で、両親が壊された。ネビルにとってそれは、ただの魔法じゃない。「家族を奪ったもの」だったのよ。そして、呪いをかけた主犯格のひとりが、クラウチ・ジュニアだった。
映画の中では、そこまで詳しく描かれないけど、あの授業の一場面には、とんでもない“闇”が潜んでいたのよね。クラウチ・ジュニアは、あえてネビルの前で磔の呪文を実演して、深読みすれば、二人だけになれる時間がもてる可能性を増やしたといえそうね。
彼がどうしてああなるのかを知っていた。フォロー”を装って自分の部屋に呼び出すことも自然にできた。ここまで準備周到にできるってそうとうなやつよね。ハリーの周囲にいる人々の情報を、少しずつ分析し、観察していたんじゃないかって思う。次の作戦に役立てるために。
ムーディ=クラウチがどんな顔でネビルを見ていたか。何を感じ取っていたのか。そういう視点で見てみると、このワンシーンがまるで別物にも見えてくるかもしれませんね。
炎のゴブレットの相関関係について確認したい方は、以下の記事をどうぞ

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