この世の中、学びも成長も、その多くは人と人との関わり合い。今日のドラマはどんな相関の間に巻き起こるのか、そこに何が起こったのか一緒に考察してみませんか。今日の映画はホームアローン。ここに描かれる家族の絆はいかなるものか…
相関図①|ケビンと家族は仲が悪いの?

なんかとんでもなくアウェイな感じのケビン。警官姿の男が訪れたその家ではクリスマスを前にして子供たちが大騒ぎ。
いや、ただ騒いでいる感じとはちょっと違うわね。
舞台はアメリカなんだけど、クリスマス休暇である家族が親戚の子どもたちたくさん引き連れパリに出かけるらしいの。
出発が明日に迫っているものだから、ちょっとあわただしいのよね。
もう晩御飯を準備してなんて悠長にやっている暇がないのはよくわかる。総勢十数人前のピザが配達されてきたり、前出の警官姿の男性がいたりとか、大人数が家の中にいるもんだから、それはもう騒がしい。
でも、総勢15名オーバーが余裕ではいれる家って、なかなか立派なお家よね。
冒頭の15分、初見だとなんかこの家族関係、ちょっと見誤りそうになるのよね。
主人公のケビンが家族、親戚一同から厄介者扱いを受けてしまうの。旅行の前日の夜によ。
私がケビンならいじけて立ち直れないわ。
それにね、ネット情報では基本おおらかで優しいとされているケビンのママ、ケイト・マカリスターがケビンに言ってしまった一言。
夕飯のピザを巡って、ダイニングで兄のバズ・マカリスターとひと悶着、大暴れして、その夜は屋根裏部屋に寝かされる羽目となったケビン。
ケイトに連れていかれるんだけど、ケビンは「ママ、ごめんなさい」って謝ってるのよね。
それなのに、ケイトは「今更遅いわ」って、ケビンを突き放したように描かれていたの。
これを見た時にね、あーー、これは日常的にママや家族から厄介者扱いされてるに違いないわって思ったもの。
その夜のケイトとケビンのやり取りはもう最悪。
屋根裏部屋に向かいながらケビンがつぶやいたのは「みんな消えてしまえばいいんだ」って。
ケイトはケイトで、その表情は、「もう困った子だこと」ってあきれ果てた顔。
それが、クリスマスだからってことでもないんでしょうけど、ケビンの願いはかなってしまうのよね。
でも、この物語は、決して、魔法とか願いが叶うとか、そっち系のお話ではないので念のため。
ケビンの願いがかなったっていうのは、その翌日、目が覚めたら、あれだけ大勢いた家族全員が目の前から突然消えてしまったの。
なんでそんなことになったかって?
実は、翌日は、お父さんの兄の家にみんなで行くことになっていたの。場所はパリ。飛行機の旅ね。
だから、前日はその準備であわただしかったし、当日も、朝早くに身支度整えて出かけなければならなかったの。
この映画、もう製作から35年ほどもたつ映画なんだけど、その当時としてもきっとレトロ感漂う、コンセントから電源引っ張るタイプのラジオ付き目覚まし時計使ってるのよね。時代感じるわ~。
実はその晩、ちょっと強風が吹き荒れて、電線損傷で停電になってしまったようなの。
もちろん目覚ましも止まってしまうのよね。あの当時の時計、記憶はかすれてるけど、停電すると時間がリセットされてしまって再設定とか必要だったのよね。
もちろん電池式の時計もあったけど、ラジオ付きの目覚ましも結構あったわよね。
こんなことが起こってしまったのも、何かの因果なのかしらね。
一家そろって寝過ごしてしまって、大慌てで空港に向かうことになるの。
それにしても、この一家の家の豪邸っぷりに驚かされるわ。
この夜ケビンが過ごした部屋は屋根裏部屋..(笑)凄すぎる。
因みに、この家族を支えている一人、ケビンのお父さんのピーター・マカリスター。
映画の中でその職業とかは全く明かされていないんだけど、演じた俳優さんは、大家族で裕福な家の主人ということで、産婦人科医をイメージしながら演じてらっしゃったようなことがネット情報にあがっていたわ。
母のケイトも同様に職業とかそういうのは描かれていないんだけど、基本的には子供たちのことは愛してやまないタイプという設定らしいの。
にもかかわらず、あの「今更遅いわ」って言葉が出るくらいだから、よっぽどあわただしい旅行出発前夜だったということかしら。
でもね、ケビン8歳。お兄ちゃんたちにもたてつくことも増えて、兄弟げんかみたいなのも多くなっていたという設定が見えるわね。
そんな日常から、「またケビンか」ってため息をつく日常が増えていたのかもしれない。
でも、それって、元をたどれば、小さな些細なことから、それぞれに対して抱いた感情が、まるで渦巻のように徐々に大きくなってきて、今の状況に至っているんだと思うの。
とっても忙しい日常の中で、子供のやることを受け入れることができなかった一瞬の積み重ねが、いまの「不仲」につながったのかもしれないわね。
狂った時計じゃないけど、これには、リセットが必要なのかもしれない。
もしかすると、この後巻き起こる大騒動は、神様がくれた「気持ちのリセット」というプレゼントだったのかしら。クリスマスだけに。
でもね、ケビンがかわいいの。自由だ~!!ってはしゃぎまくって家中を駆けずり回ったかと思えば、ちょっと悪いコト。。と言っても甘いものを目いっぱい膝に抱えながら、大人の映画を観るなんてことをやりながら「おじさん、あまいもの食べながら大人のテレビ見てるよ。止めてみな」って。
まるで、異次元にでも消えた人に語りかけるかのように独り言。
寂しいのよね。強がっては寂しさこらえて..そんなひと時を過ごしているの。
それにしても、膝に抱えた甘いもの、アイスクリームかしら。量が半端ない。さすがアメリカン。
相関②|ケビンを忘れてきた!事態を把握した家族が取った行動は?
ケビンを家に残してきてしまったことに気づいたケイトやピーター。
二人とも、もちろん大慌て。
彼らの選択肢は、一刻も早くケビンの様子を確認することと、家に戻ること。
この点で二人の間に相違はなかったんだけど、ケイトは、何が何でも今すぐ引き返すという構え。
その思いは、彼女にパリの空港から先へ進むという選択肢を与えなかったわね。
一方で、父のピーターは、いったんパリのお兄さんのところまで行って、そこから必要な電話や手続きをやったらどうかって言うんだけど。。
このあたりにちょっとした温度差はあったわよね。
でも、なんだか、ママが見かける日常をよく描いているような気がした。
ママ的には、もうとにかく、そこに行かなければとなったら、わき目を振ることができないのよね。
いつも思うんだけど、同じ状況にあっても、男性って、割と周りの状況を見ているのよね。
ピーターは長旅で疲れている10人の子供たちのことも気にかけていたの。
でも、この夫婦、ものすごくうまく歯車がかみ合うのよね。
ケイトは何が何でも一刻も早くシカゴに戻る選択を。ピーターは子供たちをまずは落ち着ける場所にということで、お兄さんのもとに向かうことになった。
二人別々の行動をとることになったんだけど、二人の意思疎通は見事に成立していたわ。
こんなできた夫婦の間に育つ子供って、いつもいつもひねた状態にはならないんじゃないかな。
だから、ケビンも、一人ぼっちになってからは、これまでの自分のとってきた態度を反省する気持ちになったみたいね。
でも、これは、単に寂しさや不安に負けてそうなったわけではないわよね。
飛行機の中でね、お母さんのケイトが突然胸騒ぎを覚えたのを観たでしょ。
あれ、ケビンがテレビを見ていて、そう、大人向けのドラマよね。
鉄砲を撃ちまくっている男性が「つりはとっておきなぶたヤロウ」って捨て台詞を吐いたのに怯えたケビンが「ママーー!!」って叫んだ時。
ママはパリに向かう飛行機の中で、胸騒ぎのような形でケビンの助けを求める声を聞いたのよね。
だからね、この映画でも見せてくれてる通り、やっぱり心と心はつながってるのよ。
少なくとも、この映画の中ではそういう設定といっても間違いないわよね。
だとすると、ケビンはママを求め、ママはケビンの無事を祈って想っていた。
つまり、この時二人の関係性は修復されていたのよね。
出発前夜、ケビンに向かって「今更遅いわ」なんて、子供にとってはトラウマになっても仕方ないくらいの言葉を口にしてしまったママだけど、今は、その時のことを赦してねっていう思いになっているんじゃないかな。
因みに、ケビン、..歯ブラシを買いに行ったそのお店で、お隣に住む老人マーリーに出くわしたの。
ケビンにとってこのマーリーは恐怖の殺人鬼。
といっても、それは兄のバズが近所に伝わるマーリーに関するウソの噂話を聞かせてしまったからなのよね。
で、驚いたケビンは、まだ会計を済ませていない歯ブラシをもったままお店を飛び出してしまって、自分は犯罪者ってうなだれて歩いているところが描かれていたの。
もちろん、それでおとがめを受けるようなシーンは描かれていなかったから、ママの想像ではきっとマーリーじいさんが事情をお店の人に伝えて丸く収めてくれたんじゃないかなって思ってるんだけど。
でもね、このことが、これからケビンが立ち向かうことになる状況に打ち負けない、半ばやけくそ根性みたいなものを呼び起したんじゃないかなって見てるんだけどどうかな。
ここから先は、ケビンが二人の泥棒に立ち向かい、みんなが留守にしている家を一人守る姿が描かれる。まあほのぼのとした、あの手この手の数々は、ぜひ映画の中で楽しんでね。
相関図③|ケイトがケビンを思う気持ちはどれほど?ケビンの心境は?
ケイトの母親が子を思う気持ちというのがものすごくよくあらわれていた旅路。
なんとかかんとかアメリカ国内まで戻ってきたものの、ダラスを経由して、今ペンシルベニア(スクラントン近郊)。
ちょっと確認してみると、スクラントンからシカゴって、直線距離で約1000kmほどもあるのよね。
日本でいえば、東京から長崎くらいの距離があるの。これを見知らぬ人の車に乗せてもらって移動する母の気持ちって、男の人にわかるかなあ。
きっとね、みんながみんなそうするわけではないけど、一般的にそんな風にやっぱり思われているのかしらないけど、ケイトが長い時間をかけてシカゴまでたどり着いたとき、はるか遅れてパリを発ったピーター達一行が、ほぼ同時に家に帰ってきたんだよね。
ケイトが車で一生懸命シカゴむけて走っているとき、ケビンはサンタにお願いごとをするの。
プレゼントはいらないから、ママやパパ、兄弟に従姉弟たち、それにおじさんおばさん、みんなを返してって。
まあ、なんてかわいらしい。
でも、そう願うのはもちろんよね。
ケイトたちは、ケビンが無事にいてくれさえすれば、家に戻ればまた会えることがわかってる。
でも、ケビンは、自分の願いのせいで、みんな消えてしまったって思っているんだから。
ママが子供だった頃の心境をおもいだせば、このケビンの状態はありえないわ。
サンタが願いを聞いてくれなかったら、もう家族のだれにも会うことはできない。
そんな絶望的な思いを抱きながら、そのうえ、泥棒たちに立ち向かおうという気持ちを奮い立たせることもできるんだから、相当なスーパーキッズよね。ありえないわ。
でも、やっぱり、再び家族に会うためには、願いを聞いてもらうしかない。
ケビンは夜の教会を訪れた。そこにね、例の老人、マーリーもいたの。
この時はまだ、ケビンにとってマーリーは一人の殺人鬼。
それなのに、今度は、立ち上がって逃げようとはしなかったの。
きっと人恋しさが、この老人の顔に現れた一瞬のやさしさに惹きつけられたのかもしれないわね。
老人も、自分を恐れる子供たちのことをわかっているものだから、逃げ出さないうちに「メリークリスマス」って、声をかけてあげたのよね。
ケビンにとっては、久しぶりに自分に関心を持って、やさしく声をかけてくれる人との出会いだったんじゃないかな。
でも、ここでの出会いは、ケビンのためだけのものではなかったの。
家族の間の関係って、ほんと難しいことってあるわよね。
おじいさんもケビンも、二人ともわかっていたわ。
心の奥底では、みんな大好きなのに。でも、ふとしたきっかけで怒りをぶつけてしまうことがあるんだって。
ケビンは、今年一年、自分はあまりいい子ではなかったって思っていたみたい。
大好きな家族に言ってはいけないようなことを言ってしまったって。
おじいさんも一緒だった。おじいさんは今は、過去のいざこざで、息子と顔を合わせることもできなくなっているそうなの。
喧嘩して、それっきりになってしまったって。
後悔しているおじいさんにケビンは、謝ればいいじゃないっていうんだけど、その時口をきいてもらえなかったらと考えると、怖くてできないっておじいさんは言うの。
ケビンがね、おじいさんにどうすればいいか、自分の経験を用いながら説明するの。
自分も暗がりが怖かった。でももう大丈夫だって。灯りをつければいいんだよって。
電気をつければ思っていたほど怖くないって。
このケビンの凄いところ、つまり…の後に、ほんとびっくりするようなまとめをするんだけど、つまり、息子と話をすればいいんだよって。これ凄くない?
話をするということが、灯りをつける、つまり、心に光を灯すということを言っているのよね。
「ダメだったら?」と問い返すおじいさんに、ダメだったらダメで諦めればいいじゃない。
怖がらなくてすむよ。僕もこれからパパと素直に話し合うよっていうの。ホント凄いわこの子。
相関図④|ここは僕の家だ。僕が守るんだ
さあ、ケビンが決戦の時を迎えた。ここからエンディングに向けての30分は、もう気楽にこのスーパーキッズの知恵や機転、それに勇気を映画の中で楽しんでもらえたらなってそんな気持ちです。
夜通し走り続けたトラック、ケイトが明け方になってようやくシカゴに戻ってきた。
家族がまた一つの美しい輪になって、ふと、窓の外をのぞいたケビンの目には、隣のおじいさんが息子さんと抱き合っている姿が映ったの。
この映画、クリスマスシーズンの鉄板映画らしいのよね。もう何十年もそんな風に届けられてきたのよね。
この映画に励まされて、誰かに勇気をもって声をかけたって人もいるかもしれないわね。
クリスマスの雰囲気もたっぷりと楽しめる、心温まる映画でした。
まとめ|
忙しさの中で、つい強い言葉を投げてしまった母と、寂しさをうまく言葉にできなかった子ども。
ほんの小さなすれ違いが、思いがけず大きな出来事を呼び込んでしまった。
でも、その時間があったからこそ、二人はもう一度、ちゃんと相手を思う気持ちに戻ることができたのかもしれないわね。
家族って、近いからこそ難しい。でも、話すことで灯りはつけられる。そんなことを、クリスマスの夜に教えてくれる映画でした。
今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。


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