『コクリコ坂から』の相関図と登場人物まとめ|あらすじや海が流した涙についても考察!【映画】

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この記事はネタバレ情報やあらすじを含みます。未視聴の方は特にご注意ください

映画『コクリコ坂から』の人物関係を相関図と簡単あらすじでまとめてみました。

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目次

相関図①|旗がつなぐ出会い──“海”と“俊”が交差する場所

この物語の始まりは、横浜の高台に建つ一軒の下宿「コクリコ荘」から。そこに住むのは高校2年生の松崎海。家族はアメリカ留学中の母と、祖母の、妹の、弟の。さらに美大生の幸子女医の北斗など、他にも下宿人たちが暮らしていて、まるで一つの家族のような温かさが流れている場所なの。

海は朝早くから家のことをこなし、みんなの朝食を用意して、学校に通う生活を送っているんだけど、彼女にはもうひとつ、毎朝欠かさない“ある習慣”があった。

それが、海に向かって掲げるU旗とW旗──「ご安航を祈る」という意味の信号旗。これは、朝鮮戦争で機雷に触れて命を落とした海の父・澤村雄一郎への祈りのようなものだったのかもしれないと思う。

海の中では、今もその父が海の向こうを航海しているかのように感じていて、その願いが旗という形になって表れているように思えるの。だけど、この旗を誰かが見ているなんて、海は考えたこともなかったんじゃないかと思うわ。

ところがある日、学校の学級新聞に「旗をあげる少女」についての詩が匿名で掲載されるの。それを読んだ海は、自分のことを書いているのではと思い、心が揺れる。

そんな彼女が通う港南学園では、いまちょっとした論争が起こっていたの。老朽化が進んだ男子文化部の部室棟、通称「カルチェラタン」を取り壊すか残すか──という問題。

その中心にいたのが、3年生の風間俊。週刊学級新聞「カルチェラタン」のチーフで、快活で情熱的な彼は、この古い建物に愛着を持ち、取り壊しに反対する立場を貫いていたの。

文化部の男子たちが泥だらけになって騒ぐあの場所が、彼らにとっては「居場所」だったからなんじゃないかと思う。そんな俊が、2階から飛び降りる伝統のパフォーマンスを見せてまで活動を鼓舞しようとする姿を、海は目にすることになるの。

その日を境に、ふたりの距離が少しずつ近づいていく。校内でたびたび顔を合わせるようになり、やがて俊と、俊の親友でもある生徒会長の水沼史郎とも自然と関わるようになっていった。

水沼は俊とはいいコンビなんだけど、どちらかといえば理知的に見えるタイプ。生徒たちの意見をまとめ上げる力のある人物。そんな彼の存在もまた、この物語のもうひとつの“調和”の象徴なのかもしれないと思う。

ところで、妹の空にせがまれて、カルチェラタン3階の文芸部?週刊カルチェラタン?の部室を訪れることになった海だけど、水沼が何とも自然に妹の空を連れ出し、海と俊が二人になれるように、まるで取り計らったかのような動きをみせるのよね。これって、やっぱり、俊は海のことが好きだとかなんだとか、日ごろから水沼に言っていたんじゃないのって思ってしまったわ。

そんな海と俊の最初の接点は「旗」だったけど、それに気づくのはずっとあと。海は知らなかったけど、俊は毎朝タグボートで通学するたびに、コクリコ荘に掲げられた旗を見て、船に旗を返していたのよね。

海の中で俊のあげた旗が心の中ではためいたのは、そう、あの俊がカルチェラタンの屋根から飛び降りたあの日。家で旗を取り込もうとしたときに、風もないのに旗が風にあおられたように見えて、そこに俊がダイブする姿が重なった。きっと、あの心の中に映し出された旗が、俊がいつも海に向けて船から上げていた旗なんじゃないかな。

でも、一方通行とはいえ、誰とも知らぬ相手に、互いの存在を確かめるように旗を揚げ合っていたなんて、ロマンチックな話よね。

俊が書いた詩も、俊が旗を返していた理由も、最初は何もわからなかったけど、少しずつ、それらが重なっていくことで、海の心には何かが芽生えていったように思うの。

この時点での彼らの関係はまだ「恋」ではないのかもしれないけど、何かを強く意識しはじめた段階だったんじゃないかと思うの。毎朝旗を掲げること。そこに返事があるかもしれないと信じること。

それは“誰かの無事”を祈る行為であると同時に、“自分は誰かとつながっている”という記憶を取り戻そうとする行為だったんじゃないかと感じるわ。この時点でふたりがしていたのは、互いの存在を見つけ合うというより、かつて忘れていた“つながり”に再び気づこうとする旅の入り口だったのかもしれないと思うの。

それにしてもあの海の几帳面さ。あの一家を支えているのは間違いなく海だと思うんだけど、あれはもしかしたら、大好きな父が戻ってこない寂しさを紛らすために、何かをやっていないとやりきれなかったとか、そんな日常の積み重ねだったのかしら。とても爽やかで好印象しかない海だけど、まじめに取り組む家事姿に、何となく哀愁を感じてしまうのよね。

俊は詩で、彼女のそんな日常、旗を揚げ続けたり、生真面目に生きる日常に、「なぜ?」を問いかけたけど、海の心が少し動き始めるきっかけになっていたようね。

相関図②|“兄妹かもしれない”という壁にふたりは何を思ったのか

カルチェラタンの大掃除作戦が始まり、男子文化部だけでなく女子たちまで巻き込む一大イベントになっていくなかで、海と俊の関係も少しずつ変化していったの。

教室でのやりとりや、掃除中の共同作業、そして何より「一緒に残したいものがある」という気持ちを共有していることが、ふたりの距離を自然と近づけていたように感じるの。

でもそんな穏やかな時間を打ち砕くように、ある“写真”がすべてをひっくり返してしまうのよ。きっかけは、海が俊に見せた一枚の古い写真。

そこには、海の亡き父・澤村雄一郎が、ふたりの友人と一緒に写っていた。その写真を見た俊の表情が急にこわばっていくの。

というのも、その写真は俊自身が物心ついた頃から大切にしていたもので、彼はその中央に写っている人物──澤村雄一郎こそが“自分の父親”だと信じていたから。

だから、あの写真を海が持っていたのを見た瞬間の俊の頭の中は???で埋め尽くされたはず。そして、その日を境に、俊は急によそよそしくなってしまうの。

それまでのあたたかくて近かったやりとりがぴたりと止まり、海の問いかけにも明確な返事をしようとしなくなる姿は、どこか追い詰められていたようにも見えたわ。

海もまた、何が起きたのか分からず戸惑いと不安に包まれていく。その不安の正体をつきとめようと、彼女は俊を問い詰め、ついに俊は打ち明けるの。

「俺たちは兄妹だ」──その言葉はあまりにも重たくて、苦しくて、若いふたりには受け止めきれないほどの現実だったんじゃないかと思うの。俊は戸籍を調べ、自分の父親の名前が“澤村雄一郎”だと知ってしまった。

そして、写真の存在も相まって、彼は海と自分が血のつながった兄妹であると信じて疑わなくなる。海は海で、自分の父の過去が俊と繋がっているという事実を、急に突きつけられてしまって、どうすればいいかわからなくなってしまったように見えたわ。

そして俊は、そんな海に対して「友達でいよう」と告げるのよ。その言葉の奥にあるのは、諦めなのか、守りたいという気持ちなのか、それとも感情を抑え込もうとする苦しさだったのか、どれも混ざっていたように感じるの。

ふたりはまだ10代の高校生。出会ったばかりの頃から惹かれ合っていた気持ちは、ここで急に「兄妹だから」といってなかったことにできるような軽いものじゃなかったと思う。ふたりとも、自分の想いをどう処理すればいいかわからず、ただただ苦しさの中で距離を置くことしかできなかったのかもしれないと感じたわ。

俊の方が先に「兄妹だ」という事実にたどりついてしまったぶん、その悩みと孤独をひとりで背負い込んでいたようにも見えたの。

だから、彼のそっけない態度や急な突き放し方の裏側には、本当は「海を悲しませたくない」という気持ちもあったんじゃないかと思う。

海が涙を流しながら、自分の気持ちと向き合う姿には、その純粋さと覚悟がにじみ出ていたわ。

相関図③|母の帰国で明らかになる戸籍の“ねじれ”

海が涙に暮れる夜、アメリカ留学から母・松崎良子が帰国するの。良子は大学の助教授として自立して生きる女性で、海たち姉弟を祖母の花に預けてアメリカで学んでいた人物。

表面的には感情をあまり出さないけれど、その言葉にはいつも強さと責任がにじんでいた。そんな良子がコクリコ荘に帰ってきたことで、海がずっと抱えていた疑問に、ようやく一筋の光(答え)が差し込む瞬間が訪れるの。

海は母に問いかけた。「俊は本当にお父さんの子なの?」と。その問いに、良子は少しの躊躇もなく静かに語り始めるの。俊は、澤村雄一郎が“引き取った子”だというの。俊の実の父親は立花洋

澤村・小野寺と共に旧海軍時代を共に過ごした親友だった人物で、引き揚げ船の事故で命を落としたの。その直前、立花は息子を授かるものの、妻は産後に急逝し、親戚も戦争の影響でみな亡くなっていたという。

つまり俊は、誕生と同時にひとりぼっちになってしまった子だったの。そんな俊を、親友である澤村が見捨てず、孤児院行きにさせまいと、自分の子として出生届を出したというのよ。

ただそのとき、澤村には海を妊娠中の妻──つまり良子がいて、船乗りという不在の多い仕事をしていた。だから澤村たちは俊を育てられず、やむを得ず船乗り仲間の風間明雄に託し、養子として育ててもらう道を選んだというの。

それが俊の“ねじれた戸籍”の真相だったのよ。つまり、俊と海は戸籍上は兄妹だけれど、血のつながりはまったくない。他人として生まれ、他人として育ち、ただ澤村という“名”によって、一時的に交わってしまった存在だったというわけなの。

この事実に、海は母の胸で子どものように泣き続けるの。きっと、ホッとした気持ちと、今まで自分を押し殺していた感情があふれ出してきたんじゃないかと思うの。

涙が止まらなかったのは、ようやく自分の気持ちを責めなくていいとわかったからなのかしら。だって、そんなことを聞かされた瞬間に、戸籍上結婚出来るとかできないとか、そんなことまで頭は回っていないわよね。

ただ、血のつながるものを、異性に抱く感情を持って愛することに罪にも近い思いを感じてしまっていて、そう感じる必要はないとわかっただけで安心したのかもしれないわね。

良子によって海と俊は戸籍の謎を解かれた。でも、瞬時に更に思ったかもしれない。ほんとにその話信じていいの?って。それを確かめるように、海は母を揺さぶってみたのかもしれない。

だって、もし、俊が、自分の父がよその女性に産ませた子であったなら、自分自身再び悲しみのどん底に落とされるのに加えて、さらに母が悲しみを抱えていることまで知ってしまうことになる。

今、そんな状況に耐えられるわけもなく、すがる思いで確認してみたんじゃないかしら。

夫のかつての行動に何の疑いも抱かず、目の前の娘の想いを、ただ祝福しようとした。それは、《誰かの幸せを願う心》から自然に出た言葉。自分のことではなく、“誰かの笑顔を見たい”という選択を、ずっと以前から選んでいたのだと思う。

その“正しい心の選択”こそが、母の目の前に、「喜びで泣き崩れる娘の姿」という、まさに母にとっては奇跡とも思える情景を浮かび上がらせたのかな。

それは、母にとって神様から与えられた「あなたが愛を選んだという選択は間違っていないよ」という証拠のように目の前に現れた。海は、あの瞬間に“泣かされた”んだと思う。

母の正しい選択によって、母が正しい選択をしたことを証拠として神様からみせてもらえるように、その証拠として海は泣かされることになった。

海自身、なぜ自分が泣いているのかわからなかったかもしれない。なぜだか知らないけど、涙があふれてくる瞬間、それって、きっとあなたは正しい選択をした誰かのために、神様から喜びの涙をもらっている瞬間なのかもしれないわね。そして、この経験が彼女の中に何かを刻んだのだと思う。「人は、誰かの幸せを願ったとき、こんなふうに誰かの心を救うことができるのか」と。

相関図④|未来を選び取る声──“残すもの”と“進む道”が重なった朝

カルチェラタンの取り壊しが決定され、生徒たちの努力が届かなかったかに見えたある日、海と俊、水沼の三人は一縷の望みをかけて東京へと向かうの。

目指すは学校を運営する法人の理事長、徳丸のもと。アポもないまま突撃したその姿勢に、最初は取り次ぎを断ろうとする大人たちもいたけれど、最後は徳丸自身が彼らの熱意を受け止めてくれるの。

徳丸は豪快な性格で、生徒たちの訴えに耳を傾け、「綺麗になったカルチェラタンを自分の目で見に行こう」と即決するの。

この決断がもたらすものは、単なる建物の存続じゃなかったんじゃないかと思うの。古くて汚くても、思い出が詰まっていて、そこにしかない匂いと声がある場所。

それを守るということは、自分たちが何を大事にして生きていきたいかを“自分で選ぶ”ことと同じだったのかもしれないわ。

この保存運動は、高度経済成長の波に飲み込まれていく日本の中で、「新しいものが正しい」とは限らないと声を上げた若者たちの物語でもあったと思うの。

カルチェラタンを残したいという声は、ただのノスタルジーではなく、文化や個性、自分たちの“今”を尊重してほしいという願いだったのかもしれないわ。

やがて徳丸が校舎を訪れ、生徒たちの手で見違えるほど綺麗になったカルチェラタンを目にする。そこで彼が見たのは、単なる建物ではなく、熱意と想いの結晶だったんじゃないかと感じたの。

その直後、俊の養父・風間明雄から、「俊の過去を知る人物が近くに来ている」という連絡が入るの。海と俊は港に向かい、そこで待っていたのは、大型船の船長となった小野寺善雄

彼は俊の実父・立花、そして海の実父・澤村の旧友で、かつての三人が写った写真の“最後のひとり”だったの。

ふたりの前に現れた小野寺は、笑顔で「ありがとう。こんな嬉しいことはない」と声をかけるのよ。それはまるで、長い物語の終わりに、時代と時代が手をつなぐような瞬間だったように思うわ。

血のつながりを越えて、想いのバトンが次の世代に引き継がれた証だったのかもしれない。そしてその後、タグボートの上で並んで立つ海と俊。ふたりが肩を寄せ合うようにして見つめる先には、夕日に照らされた横浜の街と、コクリコ荘の小さな旗があったの。

今日も最後までご覧いただいてありがとうございます。

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