「世界一の悪党」を目指すグルーが、計画のために三人の少女を養子に迎える物語。
月を盗むという、とんでもなくデッカい話の横で起きているのは、もっと小さくて、もっと身近な変化なのよね。
誰かに認めてもらいたくて、とんでもないことをやろうとしていたようにママには見えたグルーが、最後には「誰かのそばにいたい」と動き出す。
今回はそんな『怪盗グルーの月泥棒』について、登場人物の関係を相関図で整理しながら、キャラクターと声優さん、そして「グルーはなぜ月を盗みたかったのか?」「悪党好きのミニオンは、なぜ変わっていくグルーについていくの?」という二つのポイントを中心に見ていきたいと思います。
「怪盗グルーの月泥棒」の相関図

相関図の中心にいるのは、もちろんグルー。
そのグルーを長年支えているのが、発明家のネファリオ博士と、大勢のミニオンたちです。
一方、グルーのライバルとなるのが若き悪党ベクター。
そしてベクターの父親が、悪党銀行の経営者パーキンス氏です。
ベクターは「家の財力を背景にグルーから最大の悪党の座を奪おうとする若い悪党」。
そして、そんな悪党だらけの人間関係へドーンと入ってくるのが、マーゴ、イディス、アグネスの三姉妹。
最初は自分の計画に利用するために三人を養子に迎えたグルーなんだけど、この三姉妹がグルーにとって最大の難題となり、彼女たちとの出会いによって「父親」という新しい顔を持つことになるのよね。
「怪盗グルーの月泥棒」のキャラクターと声優さんまとめ
グルー/声:スティーヴ・カレル 日本語吹替:笑福亭鶴瓶さん
黒ずくめの服に、つるんとした頭。そして他人にはちょっと意地悪。
「世界一のスーパーヴィラン」を目指す人物。
ただね、悪党としてのグルーより、時折挟み込まれる幼いグルーがとてつもなく切なく描かれるの。
宇宙への憧れを見せても、お母さんから期待したほどの反応をもらえない。
何かを作って見せても、やっぱり反応は薄い。
この母親は息子のすることをほとんど褒めない人物。
もっとも、「だからグルーは悪党になった」と断定できるものでもなさそう。
でも「何者かにならなければ認められない」。
そんな感覚を、この子はどこかで抱えてしまったんじゃないのかな、と。
マーゴ/声:ミランダ・コスグローヴ 日本語吹替:須藤祐実さん
三姉妹の長女。
「ultra-dependable oldest child」。つまり、ものすごく頼りになる長女です。
妹たちがグルーにどんどん近づいていく中でも、マーゴは最初から全部を信用しているわけじゃない。
妹二人を見ながら、自分でも相手をちゃんと観察している。
それにしても三姉妹の目と口元の描き方ってほんと秀逸。
特にマーゴは、言葉以上に「まだあなたを信用したわけじゃないからね」という距離感が凄いうまく表現されてるわよね。
だからこそ、遊園地でグルーに向けた「今の最高だった!」という彼女の反応がママには印象的だったのよ。
最初からグルーに全開だったアグネスとは違うマーゴが認める。
ここ、グルーにとって結構大きかったに違いないわ。
イディス/声:デイナ・ゲイアー 日本語吹替:矢島晶子さん
三姉妹の次女。
かなり激しいおてんば担当です。
グルーの家にやって来ても武器や怪しい装置に興味津々。
ママからすると、三姉妹の中で一番ミニオンと波長が合ってそうなのがこの子。
マーゴが慎重さ、アグネスが無邪気さを担当しているとすれば、その真ん中でイディスが遠慮なくグルーの世界へズカズカ入っていく。
三姉妹が同じ性格じゃないから、グルーとの距離の縮まり方にも違いが出てくるのよね。
アグネス/声:エルシー・フィッシャー 日本語吹替:芦田愛菜さん
三姉妹の末っ子。
アグネスはグルーの心をつかむ存在よね。
ユニコーンを見た瞬間のあの顔。
カイルを見ても怖がらずに近づいていく。
そして何より、グルーに対して最初から妙に壁がない。
「この人は悪党だから」とか、「本当に私たちを好きなの?」とか、大人みたいに条件を積み上げてから近づくんじゃないのよね。
だから、グルーの固く閉じたドアに最初の隙間を作ったのがアグネスのように見えた。
ネファリオ博士/声:ラッセル・ブランド 日本語吹替:伊井篤史さん
グルーの長年の相棒であり、発明家。
「グルーが信頼する、ちょっと抜けたマッドサイエンティスト」。
グルーが無茶苦茶なことを言い出しても、それを「はいはい」と形にしてしまう。
ただし三姉妹が来てからは、その存在がグルーの悪党稼業を揺らしていることにもいち早く気づきます。
だから三姉妹を施設へ戻そうとする。
一見ひどく見えるんだけど、博士自身はずっと「悪党グルー」を支えてきた人なのよね。
つまりこの人まで含めて、グルーを取り巻く世界そのものが三姉妹との出会いによって変化していく、と見ることもできそうです。
ミニオン
黄色くて、小さくて、何言ってるのかよくわからないんだけど、とにかく楽しそう(笑)。
「人類よりはるか昔から存在し、その時代の悪いボスに仕えてきた」という設定。
このあたりの説明は、後に公開されたスピンオフ『ミニオンズ』で描かれているわね。
でも不思議なのよ。
悪党に仕えるのが大好きなはずの彼らが、グルーがどう見てもいいパパになっていっても、全然離れていかない。
ここについては後ほどもう一度。
ベクター/声:ジェイソン・シーゲル 日本語吹替:山寺宏一さん
グルーのライバルとなる若き悪党。
家の財力を背景にグルーを追い落とそうとする人物。
「親の権力でやりたい放題のボンボン」っていう感じ。
ピラミッドを盗むほどの実力は持っている。
でも、その後ろには悪党銀行を率いる父パーキンスの存在がある。
月を巡ってグルーと真正面から対立する、今作のメインライバルです。
パーキンス氏/声:ウィル・アーネット 日本語吹替:内海賢二さん
悪党銀行の経営者で、ベクターの父親。
グルーにとっては「金を貸してくれる人」である以上に、自分の計画を評価する立場にいる人なのよね。
その息子が、自分より派手な成果を上げたベクター。
ベクターが単なる若いライバルではなく「パーキンスの息子」であることで、グルーとベクターの競争には、実力勝負だけではないイヤ~な感じが一枚乗っかってきます。
グルーの母/声:ジュリー・アンドリュース 日本語吹替:京田尚子さん
幼いグルーが何かを見せても、反応がまあ薄い薄い。
この母親のそっけなさはかなり強烈。
幼い頃のグルー、ただ母親から「すごいね」と認めてもらいたいのよね。
大人になったグルーは、「誰よりもすごい悪党になりたい」「世界を驚かせるようなことを成し遂げたい」と、とにかく“一番”にこだわっている。
子どもの頃の「認めてもらいたい」が、大人になって「誰よりもすごい存在になりたい」にまで拡大していった感じかな。
ミニオンはなぜ“善人”感のでたグルーから離れないの?
ミニオンって、そもそも悪党に仕えることを生きがいにしている存在なのよね。
ただし、この設定が詳しく描かれるのは『怪盗グルーの月泥棒』ではなく、後に公開されたスピンオフ映画『ミニオンズ』。
彼らは人類が誕生するよりはるか昔から存在し、その時代その時代で「最強最悪のボス」を探して仕えてきたことが明らかになります。
だったらよ。
『月泥棒』の最後のグルーを見てくださいな。
三姉妹を助けるためなら、苦労して盗んだ月まで差し出す。
命がけで子どもたちを助ける。抱きしめる。
最後には三姉妹のために絵本まで作って読み聞かせる。
……世界一の悪党、どこ行ったん(笑)。
これだけなら、「まあミニオンたちはグルーが大好きだから」で済ませてしまいそうなんだけど、シリーズを先まで観ていくと、話はそんな単純じゃなかったのよ。
なんとミニオンたち、一度、本当にグルーのもとを離れているの。
『怪盗グルーのミニオン大脱走』では、悪党稼業から足を洗ったグルーに対して、ミニオンたちは再び悪党に戻ることを求めます。
それをグルーが拒否すると、とうとう彼のもとを去ってしまう。
「悪党に仕えたい」というミニオン本来の性質は、グルーと長く暮らしたからといって消えてしまったわけではなかったのよね。
ところがよ。
グルーから離れたミニオンたちは、その後いろいろあって刑務所へ入れられてしまうんだけど、そこでグルーを恋しがるようになる。
……いやいやいや。
悪党じゃなくなったからグルーを辞めたはずなのに、いざ離れてみたら会いたくなる。
ミニオンにとってグルーは単なる「仕えるべき悪党」ではなく、長い時間をともにする中で家族のような存在になったのではないかという解釈があるみたい。
「悪党に仕えたい」という気持ちと、
「グルーと一緒にいたい」という気持ちが同居して、その枠内でできる限りのいたずらを尽くすというスタイルに落ち着いていったのかも。
考えてみれば、『月泥棒』の時点でもミニオンとグルーって、単なるボスと使い捨ての手下には見えないの。
グルーが何かをやろうとすれば、ミニオンたちは全力で手伝う。
失敗してもまた集まってくる。そして三姉妹がグルーの家族になっていけば、その三姉妹まで含めて彼らの日常になっていく。
だから、悪党だからグルーについていく。
最初はそうだったのかもしれない。
でもいつの間にか、グルーだからついていく。
そこへ関係そのものが変わっていったのではないか――という風にみられていたりするわね。
「善人になったグルーを認めたから、自分たちも善人になりました」とはならないのよね。
『月泥棒』では「世界一の悪党と、その手下」だったはずの関係が、三姉妹との暮らしや、その後の長い時間を通して、悪党か善人かだけでは切れない関係になっていた。
そう考えると、三姉妹との出会いによって変わったのって、グルー一人だけじゃなかったのかもしれないわね。
悪党グルー、マッドサイエンティストのネファリオ博士、悪党大好きミニオン、そして三人の女の子。
改めて並べると、とんでもない家族。
でも、そんな彼らがいつの間にか一緒にいることのほうが当たり前になっている。
それが『怪盗グルー』シリーズにおける、グルーとミニオンの関係なのかもしれません。
まとめ
今回は『怪盗グルーの月泥棒』の相関図とキャラクター、声優さん、そして「悪党好きのミニオンはなぜ変わっていくグルーについていくの?」について見てきました。
グルーが世界一の悪党を目指して月泥棒を計画したこと、三姉妹を計画のために養子にしたこと、そしてアグネスを含む三姉妹との出会いによって父親としての顔を持つようになったことは確かだと思うの。
一方で、「グルーは誰かに認めてもらいたくて月を盗もうとしたのではないか」というのが定かなのかどうかわからない。
でも、改めて観てもやっぱりママには、月より、バレエのチケットのほうが重かった。
あの対比が、この映画をものすごく分かりやすく表している気がするのよね。
世界中の誰かに「すごい」と言われることより、たった三人から「来てほしい」と思われること。
そして最強の悪党になろうとしていた男が最後にやっているのが、子どもたちへの絵本の読み聞かせ。
グルーが最高に優しいパパになった瞬間が娘たちの前に表された瞬間ね。
今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。


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