ミッション:インポッシブルの相関図

印象に残った主なキャスト
イーサン・ハント(演:トム・クルーズ)
初陣にして、「裏切り者」の疑いをかけられ孤立無援となったイーサン。
水族館レストランでキトリッジから冷徹に詰め寄られるシーンでの彼の孤独感は観ているこちらがいたたまれなくなるほど。
でも、イーサンという男の本当の凄みは、どれほど極限状態に追い詰められても「自分の倫理的な線(一線)を絶対に越えないこと」にあるの。
CIA潜入時に警備員を殺しようとしたクリーガーの腕を咄嗟に掴み、「Zero body count.(死人は出さない)」と言い放った場面。
どんなに危険なミッションであっても無駄な殺生は拒み、「自分の選択に責任を持つ」というプロとしての美学を貫き通すのよね。
一方で、美女にはめっぽう弱くて簡単に情を移してしまうような「青くさい人間味」も持っている。
この人間らしさとストイックなプロ意識のギャップがあるからこそ、彼は単なるヒーローではなく、後のシリーズで仲間を守ることに誰よりも強くこだわる「人間イーサン・ハント」として愛され続けているのね。
ジム・フェルプス(演:ジョン・ヴォイト)
頼れる父親的リーダーから一転、闇へと落ちたジム。
彼という人物を理解する上で最大の鍵となるのが、キトリッジ批判に見せかけて彼自身が語った「冷戦は終わった。我々のようなスパイの仕事も、もう必要とされなくなった」という言葉ね。
原作ドラマ『スパイ大作戦』のヒーローだったジムを敵(黒幕)に仕立てた展開は、原作ドラマファンにとってはちょっとつらいものだったかもしれない。
このミッションインポッシブルの中では、国家のために命を捧げてきたプライドが、時代の変化とともに使い捨てにされる恐怖に負けた時、彼は「国を売って金を得る」という歪んだ生存戦略を選んでしまったようにも思える。
かつて誇り高き工作員だった男が抱えた、深すぎる虚無感とエゴが切ないわね。
クレア・フェルプス(演:エマニュエル・ベアール)
クレアは、最後まで本心が読めない最もミステリアスな人物。
夫ジムの共犯者としてイーサンを欺くために近づいたはずよね。でも、きっとイーサンの誠実さに触れるうちに、単なる「標的」以上の感情を抱いてしまったように見受けられるの。
クライマックス、夫のジムがイーサンを殺そうとするとき、彼女が叫んだ悲痛な制止。
夫への長年の情と、イーサンに対する罪悪感・惹かれ。
その挟目で引き裂かれた彼女の最期は、…見る人によって感じ方も様々かもしれないわ
ユージーン・キトリッジ(演:ヘンリー・ツェニー)
部下の死に対しても薄笑いを浮かべ、どこか不気味な威圧感を放つキトリッジ。
「究極の官僚(The Ultimate Bureaucrat)」とか評されることもあるようだけど、個人としての悪意ではなく、「国家組織(IMF)というシステムの論理」だけで動いているって感じね。
彼の人格を表しているのが、逃亡者を追いつめる際の方針「誰にでも弱点(大切なもの)がある。そこを見つけて締め上げればいい」という徹底した冷酷さ。
善悪や感情ではなく、「成果とリスクヘッジ」だけで判断するため、真犯人が判明した後も何事もなかったかのように処理を行い、イーサンに謝罪すらせず立ち去る。
ある意味で、一番ブレない「恐ろしい現実主義の壁」として存在感を発揮しているわね。
ルーサー・スティッケル(演:ヴィング・レイムス)
誰もが腹に一物抱えている世界で、唯一イーサンと「本物の信頼関係」を築き上げた男。
天才ハッカーである彼は、技術者としての高いプライドと人間的な温かさを持ち合わせているみたい。
危険すぎるCIA潜入作戦でも、イーサンの覚悟と自らの腕を信じて完璧なバックアップに徹する。
作戦後、無事に生き残った二人がパブでビールを酌み交わすラストシーン。
軽口を叩き合う姿は、殺伐としたサスペンスの中で唯一救いとなる「生涯の相棒(最高のプロ同士)」の誕生瞬間と言えるわね。
フランツ・クリーガー(演:ジャン・レノ)
能力は一流(?)ながら、一見危険な匂いを撒き散らすパイロット。
彼とイーサンの決定的な違いは、「仕事に対する倫理観(ポリシー)」の有無にあるようね。
警備員の喉を迷わず掻き切ろうとし、イーサンに止められてもなんだかわかったんだかわかってないんだか。
彼にあるのは国家への忠誠でも仲間への愛着でもなく、ただ「己の腕と金」だけみたいなかんじ。
マックス(演:ヴァネッサ・レッドグレイヴ)
登場した瞬間から圧倒的な気品と異彩を放つ闇の武器商人。
彼女の本質が集約されているのが、イーサンに正体を探られた際の名セリフ「Anonymity can be such a comfort in my profession. It’s like a warm blanket.(この仕事において、匿名でいられることがどれほど心地よいか。まるで温かい毛布のようよ)」ね。
彼女にとって正体を隠す「匿名性」は、ただの身隠しではなく、どんな国家や組織とも対等に交渉するための美学。
イーサンに見事にはめられた際も、取り乱すどころか「You are a good sport.(あなた、いい勝負師だわ)」と優雅に相手を称える。
この「ビジネスに徹する不敵さ」と「敵味方の枠を超えた立ち位置」は、後にシリーズ第6作等に登場する娘アラナ(ホワイト・ウィドウ)へともしっかり引き継がれているみたいね。
主なキャスト一覧
| 役名 | 俳優 | 相関 |
| イーサン・ハント | トム・クルーズ | IMFエージェント / 孤立する主人公 |
| ジム・フェルプス | ジョン・ヴォイト | 今回はイーサンの敵/「ヨブ」 |
| クレア・フェルプス | エマニュエル・ベアール | ジムの妻 / 共犯者 |
| ユージーン・キトリッジ | ヘンリー・ツェニー | IMF責任者 / イーサンを追う男 |
| ルーサー・スティッケル | ヴィング・レイムス | イーサンが独自招集したハッカー |
| フランツ・クリーガー | ジャン・レノ | クレア推薦 / ジムの裏協力者 |
| マックス | ヴァネッサ・レッドグレイヴ | NOCリストを狙う闇の武器商人 |
| サラ・デイヴィス | クリスティン・スコット・トーマス | プラハ作戦の仲間(冒頭で犠牲) |
| ジャック・ハーモン | エミリオ・エステベス | プラハ作戦技術担当(冒頭で犠牲) |
| ウィリアム・ダンロー | ロルフ・サクソン | CIA本部の保管庫警備員 |
なぜジムは長年の仲間(チーム)まで殺害しなければならなかったのか?
「NOCリストを盗んで売るだけなら、わざわざ仲間を殺さなくてもよかったのでは?」と一瞬思ったんだけど…
でも、ジムにとってチームメンバーの全滅は、作戦を成功させるために「どうしても避けて通れない3つの絶対条件」だったのよね。
1. 「作戦の完全失敗」を演出し、自分の死を偽装するため
キトリッジらIMF本部に「NOCリストが奪われ、チームが全滅した」と思い込ませなければ、ジム自身が追っ手から逃げ切ることはできないわ。
死体を偽装し、自分も死亡したと見せかけることで、国家の監視ネットワークから永遠に姿を消そうとしたのね。
2. 優秀すぎる仲間たちに「裏切り」を見破られないため
プラハチームのメンバー(ジャック、サラ、ハンナたち)は、ジムが長年信頼を寄せてきたプロ中のプロ。
もし彼らを生かしたまま作戦を進めれば、プロの勘で「内部に裏切り者がいる」「ジムの動きがおかしい」と瞬時に見破られてしまうわ。
完璧な口封じのためには、チーム全員を処理するしかなかったというワケよね。
3. イーサンにすべての罪を着せる「完璧なスケープゴート」にするため
キトリッジは以前から「IMF内部に裏切り者(ヨブ)がいる」と疑い、罠を仕掛けていたの。
ジムはその罠を逆手に取り、「イーサン以外の全員が死亡し、イーサンだけが無傷で生き残った」という状況を作り出すことで、キトリッジの疑いの目をすべてイーサンに集めることに成功したの。
長年ともに修羅場を潜り抜けてきた仲間すらも、切り捨てた――。
この冷酷さこそが、冷戦という暗黒時代を生き抜き、時代に取り残された老兵ジム・フェルプスの悲しき狂気だったと言えるのかもしれないわね。


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