『ラストマイル』って、見ている間はとにかく緊迫感に引っぱられるんだけど、見終わったあとに「あれはどういう意味だったの?」って気になる場面がどんどん出てくる映画ですよね。ロッカーの数字やエレナの行動、そして「爆弾はまだあるわよ」の一言まで、気になるところ、浅いんですけど流れと共に考察してみました。
相関図①|主要人物の相関

冒頭から爆発に火事、かと思えば、真っ赤なコートに身を包んだ船戸エレナ(満島ひかりさん)の電車内居眠りシーン。
この物語の主人公はちょっとお疲れモード。結末まで見てしまっているから感じるのかな、彼女の表情になんかちょっとした決意のようなものも感じるのよね。
でも、それは、一人でいるときだけね。人前に現れると、ガラッとムードをかえてくる。
どうやら新天地での初出勤で、向かった先はショッピングサイトの巨大配送センター。
そこのセンター長として赴任してきた彼女を迎えてくれたのは、部下になる梨本孔(岡田将生さん)。
出会うなり、思ったことは言葉にするし、明るく前向きにふるまうあたり、やっぱり名前がエレナというだけあって、ちょっと海外のにおいを感じさせるのよね。
本当は、アメリカからやってきたのに、なぜだか福岡からやってきたことにしてる。
なぜかなって調べてみると、おそらくなんだけど、別にウソをついていたわけではなさそうなのよね。
単に、赴任の何日か前までは、福岡から別の男性がやってくるはずだったのが、急に、エレナが行かされることになり、説明が足りていなかっただけ。普通の会社なら、そのあたりの情報も当然に案内されてしかるべきかと思うんだけど、あとで振り返ると、時間に追われまくる世界観っていうのが表現されていたんだという風にもとれるかな。
彼女を迎え入れる梨本孔の一言がちょっと気になる。前のセンター長は病気でねって。
何も知らなければ何気ない一言なんだけど。
それにしても、巨大物流センター内に無感情に流れるアナウンス、近未来ドラマを見ているような錯覚に陥るんだけど、今、ほんとにこんなアナウンス流れるのかな。
いつもより量が多いから、作業効率を上げてください..とかなんとかって。
ロボットの作業スピード上げるかのごとくに、人に対してこんなんいうかな?って一瞬思ったんだけど、いや、言うよね。
そのつもりはないのかもしれないけど、とにかく「さばけ」的な指示が飛び交う職場。
これを言われて、よーし、頑張るぞ!って思うのはなかなか難しいわ。
こんな職場に長期で務めるのも難しいかもしれないわね。
エレナが孔から施設内の説明を受け、高いところからコンベアが流れる様を見ていた時に言った「ネットはった方がいいんじゃない」「飛び降り禁止」って言葉も、エレナの立ち位置をいまいちつかみにくくしてくる。
孔は「○○防止」っていうんだけど、エレナは「○○禁止」って言うのよね。
何があったって、そんなところから落っこちてみようなんてことは「許さないんだからね」って感じで聞こえてしまうのよね。
今この時のエレナは、会社の側に立ってモノ言って当然よね。病み上がりの復職第1日目だものね。
会社のためにやる気を見せなきゃね。
でも、私のことは「センター長」ではなく、「エレナ」と呼んでねっていうあたり、単にアメリカっぽいというだけでなくて、こんな環境にあっても、人間味のある部分を少しでも確保しておこうという抵抗のようなものも感じる。
今度こそは、心病んだりしないぞ!って頑張ってる感じ。
ところで、この物語、この巨大物流センターから発送された荷物が爆発するという緊迫状況下で進んでいくんだけど、まず最初に爆発した荷物、これがデリフォンという製品。
このショッピングサイトを運営するデイリーファスト、通称デリファスが提供開始したばかりの携帯電話。
昨日の事故を受けて、警察がデイリーファストを訪れた時の説明によると、昨日のプレセールから販売開始したんですって。
昨日販売開始した製品で、倉庫内ではデリフォンの箱詰めなんかが急ピッチで行われてる。
昨日販売開始なら、昨日のうちにその製品を手にすることできるのかな~くらいの疑問が湧いてもよさそうなんだけど、ドラマを見終わるまで全く何も感じないママの頭脳は、まるでざるのように情報を受けきれてない。
頭の切れるエレナあたりは、そのあたりはもしかしてピンときてたりしたのかな。
刑事さんがエレナのもとを訪れてデリフォンの説明を聞いているさなか、練馬の東洋保険ビルで2件目の爆発報告が入った。
人に対しては、ビシッとキレッキレの対応を崩さないエレナなんだけど、一人思い佇むシーンでは、なんかものすごくたくさんのものを心に抱え込んでいるような表情を見せてくる。
この爆発事故…すでに、彼女の中では思い当たるふしがあるような。
現場を任されているエレナが上司の五十嵐道元(ディーン・フジオカさん)に報告を入れている。
デリフォンの出荷をいったん止めたと報告するエレナに、出荷ノルマ達成のために止めるなという五十嵐。このポジションだと、お互いに緊密に連携取れているのが普通と思われるんだけど、二人の間で交わされた会話は信じられないレベルで展開されるの。
五十嵐「あなたのことはよく知らないんだけど…」。まじか~。人と人とのつながりというものが、完全に遮断されてる。
とにかく、そこにあるものを右から左に流すことだけを考えているって感じかしら。
エレナは「Action over inaction」とか言いながら、「リスクをとってでも行動すべき時がある」、今がその時だといわんばかりに、爆発事故が再び起こるかもしれないという流れを止める側に立ってリスクを負おうとしているように見えた。
会社のことも考えての言葉に違いはないと思うんだけど、両者の間で取るべきリスクが対立しているみたいね。
エレナはここは譲れないと思ったのか、桃太郎と金太郎の例えを出してきた(笑)。
桃太郎が出てくると思って桃を切ったら金太郎が出てきたら困るよねって。
でも、五十嵐は、桃から出てくれば、それは桃太郎やろって、かなり強引とも思える言葉の応酬でエレナを抑え込もうとする。
エレナはそれでも抵抗するの。テロだったらどうするんですか?って。
エレナは五十嵐よりも、多くのことを知っているから、ここで食い下がっているんだと思うんだけど、1回目見た時には、それが微妙~に演じられていて、なかなか気づけないレベルのように感じた。
でも、エンディングまで見た後の2回目の視聴では、満島ひかりさんってなんかそんな微妙なところまで表現しきれるんだ~って驚かされながらみてた。
阿部サダヲさん演じる八木龍平、羊急便の関東局局長なんだけど、エレナがこの彼に、かなり高圧的に配送を停止するように指示しているの。
最初はものすごく高圧的って思ったけど、誰よりもこの事件の背景を知っている彼女にとっては、ごく自然な対応だったに違いない。そして、とりあえず、デリフォンの配送は止まった。
でもエレナの願いを吹き飛ばしてしまうように、3回目の爆発が起こってしまった。
今、ほかに爆弾がないかどうかの捜査は、ここまで爆発のあった製品に紐づけて探し出そうとしていた。
爆弾の個数までわかっている2回目視聴のママにとっては、わかっているのにやきもきしてしまう。
そこ探したって出てこないってって。
でも、会社にとっては、デリフォン目玉商品だから、とりあえずデリフォン出荷できるようにするのが大事だったのね。
デイリーファストから配送された荷物ばかりが爆発していることで、警察がデイリーファーストに疑いの目を向けていると心配する孔に対して、エレナは、爆発物を施設内に持ち込むことなど不可能と言ってた。
ミッション:ノットポシブルよって。これを聞いたときデイリーファーストの12か条の引用かなって思ったんだけど、あの12か条にそんな言葉は入っていなかった。
だとすると「ミッション」って言葉が引っかかるわよね。何となく、ミッションという言葉から、誰かがその遂行を宣言しているようなにおいを感じるのよね。いったい誰が決めたミッションのこといってるの?
エレナはその誰か…心当たりあるんじゃないの?
警察がデイリーファストで聞き込みをつづけてる。
誰かに恨まれてたりしないかって…エレナがここで嘘ついちゃうのよね。
本部に照会もかけましたが、犯行予告も不審なメールも一切ないそうです…って言いきっちゃった。
いや、嘘ではないのか。きっと、日本の本部に照会をかけたということね。だとしたら、何もないかもしれない。
ところで、さっき言っていたデイリーファストの12か条のうち、最も重要なのがCustomer-centric「全てはお客様のために」という言葉。後に、マジックワードとも言っていたわね。
お客様のためだ…といえば、たいがいのことが正義としてまかり通るということかな。
ところで、犯行の動機、予告、声明みたいなものがまだ見つけられないと言っていた警察だけど、警察より先にエレナがなんかネット上で見つけたの。
それは、デイリーファストの広告に見せかけた、Daily Faustと名乗るものの広告。
Faustっていう言葉の意味に何かまた深いものがあるんじゃないかって思って調べてみるんだけど、人の名前としての情報がさらりと出てくるだけなのよね。
で、相棒のAI君にちょっと突っ込んで聞いてみると、「ファウストは学者で、知識を極めても満足できません。「もっと知りたい」「もっと体験したい」と思い続けていた人物。」などという説明を聞き出すことができた。
なるほど、もしかすると、わかる人には、このファウストという言葉で、「もっと欲しい、もっと欲しい…」と際限なく出てくる人間の欲望みたいなものが感じ取れるとか、そういうのがあるのかな。
Daily Faustという言葉は、「欲望を運び続ける企業」という皮肉として読むこともできるのかも。
そして、この広告から、爆弾の数は12個という予測がたった。この犯行予告、すぐさま警察に報告すべきという孔に、ちょっと待てというエレナ。
必死になって孔を止めるエレナ。朝まで待とうって。なんか不自然。
そして同じころ、4回目の爆発が製薬工場で発生。そして、1時間ほどして、5件目の爆発が一般住宅で発生。
この時、エレナは山崎佑の人事データを削除した。
なるほど、実は、エレナはアメリカから会社の指示でこの日本にやってきていたんだけど、アメリカには、爆破予告のようなものが来ていたのよね。
それが実行される可能性は少ないとみていたアメリカだけど、念のため、エレナを日本に送り込み、もし、その予告通りのことが起こったなら、その予告の関係者であるヤマサキタスクのデータを消すように指示していたの。
繰り返し起こる爆発に、ネット上での爆破予告とも取れる広告。エレナにとっては、ある人物の関与が決定的と思われたに違いない。
だから、このヤマサキタスクのデータ削除のための時間が必要だったのね。この時、エレナは企業の側に立ってジャッジをしたということかしら。
そのCMの依頼主情報から、宅配荷物連続爆破事件のマルヒが判明っていわれてるんだけど、マルヒって犯人のこと?
でも、たどり着いた先にいたのは、5年前から意識不明で入院している山崎佑なのよね。
広告の製作代金支払いはクレジットで行われていたって話だから、真犯人は山崎さんのクレジットを使うことができるほどに親しかったということね。
ドラマMIU404から伊吹藍(綾野剛さん)、志摩一未(星野源さん)がマルヒの部屋へ突入。
5年も入院中の山崎さんの部屋ということは、誰かが部屋の支払いもしていたということかしら。
伊吹の直感では、そこに女性の出入りが感じられたらしいのよね。伊吹曰く、きゅるっとしていたんだって。
一方で山崎さんの身元確認でエレナが警察の方の対応をしているんだけど、孔に「(山崎佑という人物について)人事データベースで検索してさし上げて」って、らしくない対応。
何かを隠そうとするとき、誰でもこんな風に不自然になるものなのね。孔はさすがに、その違和感に驚いていたみたいだけど。
警察判断で、倉庫内の全製品が差し押さえられて、出荷が停止されることに。
それにしても、エレナがその場で取った対応が、ちょっと異常に思える。
施設内に入ろうとする多数の警官にわずかな時間でも足止めをくらわせようと、孔に身分証のコピーをとれだのなんだのと時間稼ぎをさせようとする。
このわずかな時間の間にも、たとえわずかな数であろうとも、何とか出荷を続けたいという執念なの?
そりゃあ、こんなぎりぎりのところで仕事を続けていたら、体も心も悲鳴を上げてしまうわよ。
刑事さんは、そのエレナの姿を見て「タフな姉ちゃんだな」って言っていたけど、こんな状況に耐えられるタフな人なんかいるはずないじゃない。ぎりぎりのところでやってんのよ。
彼女のギリギリっぷりは警察の手を拝借しながら、さらには、事前に手配した検査装置を羊急便にオペレートさせながら、綱渡り的に出荷を維持する姿によーく表れてた。
ここまでは、ほんと神業的にも見えるバランス感覚をみせてくれていた。
会社のことも考えながら、同時に爆弾への対応、つまり人としてこうあるべきなんじゃないかという姿の両方を維持しようと頑張っていた。
相関②|ねえ、わたしはどっちだと思う?
「ねえ、私はどっちだと思う」って、エレナが誰かとリモート話してるんだけど、いったい誰と話してるんだろって、わからなくてググってみたの。
大方の皆さんの考察では、相手はエレナがアメリカにいた時の上司、サラ(Sarah Macdonald)という人物。
そして、考察はもちろん「私はどっちだと思う?」という問いの「どっち」とは何と何を指しているのかに及ぶんだけど、ママにはさっぱりわからなかった。
でも、皆さんが書かれている考察の中で、なんとなくしっくりきたのは、自分は「できる、やれる」側の人間なのか、あるいはもう壊れてしまった「がらくた」なのか。
少なくともあの電話の中で、「わたしはやれる できる 必ず」とつぶやいた後に沈黙、そして、相手に尋ねる情景を素直に受け止めると、どちらというのが指す一つ目は「わたしはやれる できる 必ず」。
電話で、「自分はがらくた」など泣き言など言えるわけもなく、だからその言葉の部分は沈黙の時間として流れた。
でも、もう限界を迎えていたエレナは、自分を離れているところで客観的に見つめている誰かは自分のことを「まだできる」と思っているのか、「もう限界を迎えている」と感じているのか、どちらなのかを聞かせてほしかったということなのかなって感じた。
でもね、本当の意味で壊れているのはどっちの状況なのかなって思ってしまう。
この次の日にね、エレナはまた施設の中で、はたらく人たちにこんな声をかけてるの。
「すいませーん、もうちょっと効率上げていただけると助かりますね!」って、明るく元気よく言おうとしているのはわかるんだけど、もうぎりぎりという感じがしてならない。
だって、そこで働く人たち、それぞれが自分に最適なスピードで、つまり、ミスとかの発生も抑えながら、一番効率的なスピード感で仕事をしていると思うの。
その人たちに向けて、効率をあげろっていう指示は、もうちょっと壊れちゃってるんじゃないかなって思うの。
この状態をやめることこそが、正常な状態に戻る一歩なんじゃないのかな。
彼女を取り巻く状況も、もうそこでギブアップして止まりなさいとでもいうかのように、メディカル便が遅れているだとかなんだとか、エレナに何とかしろとばかりに押し寄せてくる。
もう立ち止まる方を選択してもいいんじゃない?それは会社を去ることを意味するのかもしれないけど。
でもね、この映画、その場から退避するとか、そのレベルで当事者の問題が解決したとしても、根源的な問題はそこに居座り続けてるようなことを投げかけてるといわれているわ。
What do you want?
最初はね、何が欲しい?何が必要?っていうような言葉がこの映画の中で何度もつぶやかれた。
でも、しまいには want want…欲しい 欲しいって、まるで妖怪映画の妖怪が暗闇の中をさまよいながら発している言葉のように聞こえてくるんだけど。
でも、この世界で生きている限り、これが必要、あれが欲しい..っていうのを無くすことってできないわよね。
おそらくなんだけど、欲しがり過ぎない…とかいうことですら、制御することって難しいというかできないんじゃないかなって感じる。
じゃ、それが、この映画で描かれたように危機的状況を引き起こしてしまうとすれば、そこには絶望しかないのかって言われるかもしれないんだけど、ママ的にはそうではないと思ってる。
必要なものは必要だし、欲しいものは欲しいじゃない。もちろん、それで支払いができなくなるとかそんなところに行ってしまわないように制御するっていうのは必要なんだろうけど、コントロールできるのはせいぜいそのレベルまで。
必要なものは必要。
でも、同じような背景がありながら、絶望しない映画にしようとおもったら、どんな映画になるかしら。
そこに登場する人、それぞれの相関の中で、お互いに、誰一人見捨てることなく、親切にするということを心掛けていったら、そのドラマは、ずいぶんと違うものになるんじゃないのかしら。
会社の中って、互いに厳しい態度をとることの方が歓迎されている感じを受けるのよね。
誰かにやさしくしたり、親切にするような態度は、なれ合いのように見られたり。
でも、この会社が掲げるカスタマーセントリックなんていう理念のもとに、それが、顧客に対しても、一様にやさしく、親切にという気持ちをもって行われたなら、そして、それが、会社のトップ自らが、そのような姿勢を貫いてくれたなら、職場って変わるんじゃないのかな。きっと会社のトップだけじゃダメなのよね。株主さんとか、さらに上がいるんだものね。そんな人たちも含めたみんなが、人にやさしくっていう気持ちをもったなら、今の状況は変わるんじゃないのかな。欲しい欲しいという意識は、心の中の満たされない部分を何とか埋めようとする試み。でも、それで何かを手に入れてもやっぱり満たされない。答えは別のところにあるんじゃないのかな。人に親切にしたときの自己満足に始まって、それで相手から笑顔なんか返ってきたときには、とっても満たされた気分になるのは、気のせいでも何でもないと思う。きっと、それが答なんじゃないのかな。
会社の中のサラや五十嵐のような人はきっと、人にやさしくする姿とかを歓迎しないんだと思う。
こういう人たちは、いつなんどきも会社の方針からそれることなく遂行することを要求してくるんだと思う。
おそらく、そこでは人は壊れていってしまうんだと思う。このドラマの中でいう「がらくた」になってしまうのかな。
この映画の中で描かれた組織の中で、「ねえ、わたしはどっちだとおもう」というのは、必死にあがいているようにも見えるけど、もう行きつく先(がらくた)は決まっていて、既に壊れた人が発する怨念のような言葉にも聞こえる。
うらめしや~的な。
おそらく、その「わたしはどっち?うらめしや~」とつぶやいたエレナに、サラは返す言葉がなかったんじゃないかな。まるで、目の前に亡霊が現れたみたいに。
羊急便の八木さんも同じような状況になってるわね。たまたま、八木さんは、社長に向けてブチ切れることができた。ここの社長さんは、心ある人だったのかな。
ドライバーが足りないなら、自らドライバーにもなろうって。優しいじゃない。八木さんは、亡霊にならずに済んだみたいね。
相関③|知りたいことはロッカーに書いてあったのに
山崎さんは、まだかすかに意識がある時に、「バカなことをした」ってつぶやいたって言っていたわね。
これは、『アンナチュラル』から久部 六郎(窪田正孝さん)が言った言葉。
誰かに突き落とされたり、誤って転落したわけではないという証となりそうな言葉よね。
バカなことをしたって言うんだから、その時、自分に何らかの考えがあって飛び降りたと考えられるわ。
何のために飛び降りたのか。それがわかっていれば、もしかしたらこの爆弾事件は起きなかったのかもしれない。
五十嵐は、エレナが福岡から来たのではないことにようやく気づいた。ほんと、どんだけ人に関心ないねんって話よね。エレナは調査目的だったのかもしれないけど、赴任して早々に、五十嵐や孔のことをチャンと調べていたわよね。
話し戻して、五十嵐は、「山崎の関係かもしれない」とエレナに対して警戒するよう孔にも指示をだした。
周りが疑いの目で見始めたんだけど、当のエレナは、何とか今の荷物の遅れを解消しようと必死になってる。
もうぎりぎりの状態が続いているエレナに、この周囲の目や警戒感は致命的?いや、もしかしたら、逆に救いになる?
少なくとも、開き直れるきっかけになってくれればいいんだけど。
さらに、刑事も山崎とその彼女、筧まりかの存在にたどり着く一歩手前までやってきた。
筧まりかはSNSでデイリーファストの責任を告発しようとしていたって。
でも、この時、筧まりかの周りに人たちは、山崎が結婚のことで悩んでいたっていう風に刷り込まれていたようなの。
これは、きっとデイリーファストの策なのよね。山崎のお父さんが「あんたのせいで息子がこうなった」って筧まりかに厳しく言ったみたい。
エレナが孔に「何者?」と詰め寄られていた時、思いがけず爆弾入りの荷物に手をかけてしまい、身動き取れないまま、孔に自分の素性を明かすことになった。
その時、エレナは筧まりかの名前こそ知らないものの、既に、顔が割れているその女性と、4年前に接触があったことを明かした。
まりかは、日本では取り合ってもらえなかった山崎さんが飛び降りた件の真相を突き止めようと、アメリカ本社を訪れていたの。
日本のデリバリーファストは、山崎さんが飛び降りた原因をまりかさんのせいにしようとしていたって。
その裏には、何か隠していることがあるに違いないって。
本当のことが知りたい。助けてほしいって、エリカのもとを訪ねていたのね。
でもね、その時、エリカは、自分には関係のないこととして、やさしくすることができなかったんだって。
でも、そう考えると、やさしくするって、とっても難しい。
だって知らない人がいきなり訪ねてきて、とてもややこしそうなことを言いだした。
なかなか聞けるものではないと思う。
そんなことを話しだしたエリカが、自分のことについても語りだした。
頑張ってきた会社生活だけど、3年目で眠れなくなったって。
会社の中で責任ある仕事に就いた年のことよね。
そして、その時初めて、山崎さんのことが、自分のことと重なって思い出されたみたい。
実は、「ブラックフライデーが怖い」と言っていた、山崎さんの言葉、その裏に、どれほどの激務があったのか、エリカはまりかさんの言葉を聞いたとき、その言葉を自分のこととして受け入れることはできていなかったようなの。
もしかすると、わたしはそうならずに「できる」と思っていたのかも。
もしかしたら、「がらくた」って、そのとき、エリカが山崎さんに対して抱いた思いだったりする?
サラとのリモートでわたしは、どっち?と尋ねた時、あの時の自分を、リモートで話しているサラの中にみていた?
さあ、サラ、あなたは、この私を見て「がらくたと思う?」って、あの時の自分に問いかけるように無言でつぶやいていたのかも。
まりかは、ブラックフライデーが怖いと佑が言っていた記憶だけをもっていた。
でも、「結婚に悩んでいたんだ」って意図的に責めてくる周りを黙らせるだけの証拠がなかった。
エレナは、その証拠探しを拒んだ形になってしまったのね。
でも、その証拠となりそうな、山崎さんが残したある暗号のようなものに、当時のエレナがたどり着くことができたかといえば、それは難しかったような気もする。
だって、アメリカに住んでいたエリカにとって、遠く日本で起こったこと。
そして、その証拠となりそうなものは、そこの職員のみが使うことができるロッカーの中の一つの扉の中に記されていたのよね。
エレナと孔が爆弾から何とか逃れることができて、お互いに少し心開いたように見えた時間があった。
震える手でコーヒーを飲みながら、何を思っているのかお互いに話してた。
相手の言うことをうんうん、って言いながら聞いてあげるだけの時間だったように見えたけど、それが、優しさなのかな。
人にやさしくしたところに奇跡が起こりだすっていうから、ここから二人にとって、ちょっといい時間が始まりだすのかも。
エレナは、ロッカーの扉にたどり着いた。秒速2.7m 重量制限70kg。
秒速2.7mというのはコンベアを表している。
重量制限70kg、それは、それを超えた荷重がかかればコンベアが止まるということ。
山崎さんは、止めることが許されないコンベアを止めてみたい衝動にかられたということみたい。
そして飛び降り、かすれる意識の中で、いったんは止まったコンベアが、再び動き出すところまで見てしまった。
エリカはまりかがアメリカで言っていた言葉を思い出していた。
「彼がああなったのが私のせいなら、私は罪をあがないます。」「もし、私のせいじゃなかったら、世界は罪をあがなってくれるんですか?」って。
まりかの意識は、デリバリーファストだけにむけられてはいなかった。
その意識は世界、つまり、これだけの物流を発生させている人々の欲の是非を問うところまで来ていたっていうこと?
恐らく一時的に、そういう思いまで行ってしまったのかもしれないって思うんだけど、でも、そのせいで、無差別的な犯行にまで行ってしまったとするなら、何か救いようはなかったのか。
あの時のエレナにその彼女を助けるすべはなかったのかもしれないけど、もしかしたら、もう少し寄り添って聞くことはできたのかもしれない。
あの時、エレナがまりかに言った言葉は、「あがなうってどうやって?そうはいっても無理じゃない?」って、そんな言葉。ちょっと突き放されてしまったように聞こえたかも。
エレナは、ロッカーの文字を見て、まりかのことを思い出していた時、そんな自分の言葉やあの時の選択に思いが至ったのかも。そして、彼女は泣いちゃった。
相関④|泣きごと言うくらいなら、せーのでやめるんですよ。爆弾はまだあるわよの意味は?
ママ的には、遅ればせながら、あの時の女性に少し寄り添う気持ちをもったエリカが、次々に奇跡を起こしていくように感じた。
難航していた犯人捜しも筒井まりかというターゲット特定され、この一件ですっかりふさぎ込んでしまった羊急便の八木さんの気持ちに再び光を灯すこともできた。
せーのでやめようとしたのは、業界巻き込んで仕事をやめるということ。
つまり、ストライキということね。業界が一つにまとまるという奇跡が起こりだした。
こうでもしなければ、力の強いものが弱いものにやさしくすることはおこらない。
少なくとも、こういう経済の仕組みの中ではそうなのね。
エレナが五十嵐のもとを訪ねて、交渉事を突き付けた。
五十嵐が初めて見せる敗北の顔つきだったんだけど、去っていったものを敗者としてしか見ていない五十嵐に、エレナが一生懸命説明してるの。これも優しさね。
五十嵐は、あの時自分に何ができたんだ、何もできはしなかったって言っていた。
そう、彼は何もできなかった。ただ、飛び降りた人を前にしながら、コンベアが再び動き出すのを見ていたのよね。
あの時、何もしていなかったから、今があるとエレナは言う。
彼女の言う今とは、あの時と何も変わらない今のこと。
でも、本当は何もできなかったわけじゃない。
何か行動を起こしたり、誰かに何かをやってあげるとか、そういうことは、どうしようもなく何もできない状況というのはあると思う。
だけど、その人に寄り添う気持ちを持ち続けることだけは、その気があれば、誰にでもできたはず。
この五十嵐は、目の前で飛び降りた人の気持ちに寄り添おうとはしなかった。
エレナだって、まりかが尋ねてきたとき、話を聞いて寄り添おうとはしなかった。
時間がなかったのかもしれない。そういう事情で、話を聞いてあげることができないこともある。
でも、その場を離れたって、その人のことを思って、その人の願いがちゃんと叶いますようにって、心寄り添うことだけはできたはず。
エレナはきっと、そんな時間をもとうとしなかった自分に気が付いたんじゃないかな。
エレナは「誰も何もしなかった」って言っていた。でも、今ならできることがある。心寄り添う意志があれば、きっと違うレールが現れたはず。そんな風に思っているんじゃないかな。
エレナが、新たな一歩を踏み出すみたいね。サラに向けて思いのたけをぶつけてた。
4年前、まりかがアメリカを尋ねてきていたことをエレナは報告していたのね。それに、どうも、サラは、まりかからのメールも受け取っていたみたい。
エレナはサラに命じられ、まりかが何かをしでかした場合に備えアメリカから日本にわざわざ派遣されていたのね。
あの時、何もしなかったどころか、脅迫メールを受け取った今ですら、「カスタマーセントリック」を理由に何もしようとしなかったサラに、エレナは捨て台詞をはいてた。
「爆弾はまだあるわよ」って。この言葉の意味も色々考察されてる。ママ的には、こんな風に思ってる。人に寄り添うということを覚えなければ、何かの巡り合わせで、誰かが爆弾となってまた現れるよって。
あなたが変わらない限り、この状況は何も変わらないよ。そんなことを告げているように感じた。
まとめ
ロッカーに残された「2.7m/s」「70kg」という数字、そして「爆弾はまだある」という言葉まで、すべてが物流という巨大な仕組みの中で働く人たちの苦しさや、人間の欲望の流れを映し出しているようにも感じました。
エレナ、孔、八木、そして筧まりか。
それぞれが違う立場にいながら、同じ仕組みの中で必死に生きていた人たちだったのかもしれません。
便利さを求め続ける社会の中で、流れ続けるコンベアのように止められないものもある。
でも、よく見つめてみると、人々の苦悩は止められないものによってもたらされているわけではないと思うの。そこに、隣にいる人への優しさや思いやりがあれば、その苦悩というのは無くなるんじゃないのかな。
目の前に、まるでコンベアで運ばれてくるかのように無数の出来事が現れては消えていく。それらに一喜一憂して、何もできずにいるのが日常。でも、少し意識して、目の前を過ぎていこうとするその出来事を、優しい目で見つめることができれば、もしかすると、それこそが、ここに生まれてきた目的を達成している瞬間だったりするんじゃないのかなって、そんな風に思いました。
今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。


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