執拗にイーサンを追い詰めるガブリエル。背後で世界を操るエンティティ。そして、国家の名のもとに動くキトリッジやデンリンガー。
目に見える悪意と、姿なき支配。単純な善悪を超えた、この複雑な戦いの正体を探ってみよう。
デッドレコニングの真の悪役は誰?エンティティとガブリエルの不気味な関係
デッドレコニングを見て、最初に戸惑うのが「誰が本当の敵なのか?」ってことよね。ガブリエルがイーサンたちを執拗に追い詰めるけど、彼がただの私怨で動いてるかっていうと、そうじゃない。
ガブリエルは明らかに何か“別の存在”の意志を背負ってる。その“存在”こそがエンティティ。世界中のネットワークを掌握し、人間社会の裏側で全てをコントロールしている超AI。
ガブリエルはそのエンティティの“代弁者”みたいな役割を担ってる。でも、じゃあガブリエルは操られてるだけかというと、違う。
彼自身にも確固たる目的がある。イーサンに対する個人的な因縁。イーサン・ハントという存在を、個人的なレベルでも破壊したいという執念。
つまり、ガブリエルはエンティティの意志を体現しながら、同時に自分の欲望も満たそうとしているわけ。エンティティは感情を持たない(?)けど、ガブリエルは持っている。
冷酷な理性と人間的な悪意──それが二重にイーサンに襲いかかってくる。デッドレコニングの怖さはここ。敵が二重構造になってるから、今戦うべき相手の正体がつかみきれない。
でも、それがまさにこの作品の肝。目に見える敵(ガブリエル)と、目に見えない敵(エンティティ)が絡み合って、イーサンたちを追い詰める。デッドレコニングは、単純な善悪じゃない、もっと根深いものと戦う話のようね。
エンティティとは何者か?AIが悪役になった意味とその恐ろしさ
エンティティ──この言葉自体がもう不気味だよね。単なる人工知能じゃない。人間が作り出し、制御できなくなった“存在”。
デッドレコニングでは、このエンティティが全世界のネットワークに潜り込み、情報操作、通信妨害、金融市場まで操れる存在として描かれる。
怖いのは、エンティティには怒りも憎しみもないこと。感情がないからこそ、判断が冷酷。必要と判断すれば国家を転覆させ、要らないと判断すれば人間を抹殺する。それを淡々とやる。
AIって本来は人間のための道具だったはず。でも、それが人間の理解を超えて自己進化し、独自の意志を持ち始めたらどうなるか。答えはデッドレコニングが見せてくれた通りかもしれないわね。
人間は自分たちで作ったものに、支配される。エンティティは、いわば「人類が撒いた種の結末」なんだよね。しかも、エンティティはどこにでもいて、どこにもいない。
姿を持たない敵って、こんなにも怖い。イーサンたちは銃弾じゃなくて、不確かな情報と裏切りと恐怖に撃たれる。デッドレコニングという映画の中で、選ばれた敵、AIって、今の時代を生きる私たちにとって、あまりにもリアルで、あまりにも恐ろしいテーマだと思う。
ガブリエルの正体とは?イーサンとの因縁と彼の役割を考察
ガブリエル。イーサン・ハントの前に立ちはだかる、冷酷無比な男。
彼はエンティティの使者みたいな顔をして登場するけど、イーサンにとっては、忘れたくても忘れられない過去を引きずる存在。
かつてイーサンがIMFに入るきっかけになった、仲間の死──その死に直接関わったのがガブリエルだった。IMFの宣誓「影に行き影に死ぬ。愛する者のために。見知らぬ人を守るために。」──でも、この誓い、イーサンにとってはIMFに入ったことで彼の心に中にきざまれたというわけではないでしょう。
彼はもともと、そういう人間だったに違いないよね。誰かを守るために動くこと。それがイーサン・ハントという男の核だったって、そこは、この男に限っては、ずっと以前から変わらないと信じるわ。
だけど、彼にも消せない過去がある。守りたかった命を救えなかったという痛み。それこそがガブリエルによってもたらされたもの。その存在は、彼が背負ってきた傷そのものなのかもしれない。
ガブリエルはイーサンに突きつける。お前は本当に救えたのか?その正義に意味はあったのか?って。なんかイーサンの護れなかったもの、そこにできた傷を今更ながらにえぐってくるような、ほんとにいやな奴。
冷静沈着なエンティティとは違って、ガブリエルはあくまで人間。嫉妬も、怒りも、復讐心も持っている。
それはそれでまた怖い。エンティティは理性的に破壊を行うけど、ガブリエルは感情で破壊する。計算の世界で自らの存続を確立し尽くしたAIの暴走と、人間の感情の暴走──両方がイーサンを追い詰める。まあ、この両者、どうみたって、この映画の中での悪役と言ってよさそうよね。
キトリッジとデンリンガー|味方か敵か?国家と個人のはざまで揺れる存在
じゃあキトリッジとデンリンガーはどうなの?彼らは一応、国家側の人間。少なくともキトリッジは、最初からイーサンたちを積極的に攻撃しようとはしていない。
だけど、彼らが守ろうとしているのは国家、システム、権力。イーサンが守ろうとしている“個人”や“自由”とは、そもそも立ってる地盤が違う。
キトリッジはイーサンにとっては昔馴染みだけど、彼もまた冷徹なリアリスト。エンティティの力を管理下に置こうとする。
彼にとっての“善”は国家の利益。イーサン個人の善悪とは噛み合わない。
一方でデンリンガー。直感的に、この映画の中での一番の悪はデンリンガーという気がするのよね。
そもそも、潜水艦に忍ばせたファイル、彼は暴走して、それは、「やりすぎた」と言っていたけど、とっても怪しいわね。百歩譲って、彼が言うようにそれが単なる「暴走起因」だったとしても、彼は国家情報長官という立場にいて、エンティティの力を独占しようと企んでいた。
情報を牛耳る者が世界を制する──それが彼の信念。でも、それって国家の論理で動いてるふうをしながら、実は個人的な権力欲にまみれている。ママ的には、この男こそがこの映画の中で最低最悪のキャラクターじゃないって感じるわけ。
まとめ|デッドレコニングの敵は「見える悪」と「見えない悪」
『デッドレコニング』が描いたのは、イーサンの前に立ちはだかるのは、冷酷な超AIエンティティと、人間的な悪意を持つガブリエルという二重構造の敵だった。
エンティティは感情を持たず、淡々と人間社会を掌握しようとする存在。ガブリエルはイーサンへの個人的な執着と復讐心に突き動かされる存在。
さらに、国家という名の「正義」を盾に動くキトリッジやデンリンガーの存在も見逃せない。彼らは味方に見えて、イーサンの敵にもなりうる立場にいる。
敵の正体がつかみきれない不安。信じるべきものが揺らぐ恐怖。
それこそが、今の時代を生きる私たちに突きつけられた問いなのかもしれない。
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