『怪盗グルーの月泥棒』登場人物の関係が気になった人、グルーと三姉妹の距離感がどう変わったのか知りたい人へ──このページでは相関図で人物の関係を視覚的に整理しながら、物語の流れやグルーとアグネスの心のつながりまでをしっかり解説します。
相関図①|怪盗グルーと月泥棒作戦──ミニオンたちの活躍

かつて世界一の悪党として名をはせたこともあるグルー。黒ずくめの服につるんとした頭、いつも皮肉たっぷりに話す彼だけど、時折描かれる幼い日の彼って、そんなふうじゃなかったわよね。
子供たちの多くって、実際そうなのかな。誰かの期待に応えたいって、こんな風に映像にされると、なんだか胸が締め付けられる思いもするわね。
きっとグルーの中には、「何者かにならなければ愛されない」なんて思い込みのようなものがごビリついていたのかも。
そんなグルーには、ネフォリオ博士という長年の相棒がいて、博士はどんな無茶な要求にもこたえる天才発明家。耳は少し遠いんだけど、グルーにとってはまさに”作戦遂行、実現化をしてくれる”玉手箱のような存在。
そしてあの小さな黄色い不思議な存在、ミニオンたち。彼ら、まだ映画を未視聴の方にとっては未知の存在。ロボット?宇宙人?いずれにでも見えてしまいそうな風貌なんだけど、彼らはこの地球の人類よりはるか昔から生きながらえている先住民のようなの。
人とは呼べないかもしれないけど、太古の海中を端細胞レベル風の彼らが徐々に増殖して、手足も出てきて、でもそのときから既に、今映画で見るような幼い人間の子供が何を見てもけらけら笑っているような、そんなキャラクターを既に獲得していたの。
彼らのグルーとの関係を示すヒントもその太古からのキャラクターに見ることができるの。なんでも、「悪そうなやつ」のために尽くす。。。これが彼らが生まれながらに持っている性格のようなのよね。
こんなキャラクター設定は、スピンオフ映画「ミニオンズ」で確認できるわ。
グルーが何かに挑むとき、必ずそばにいて、あれこれ試行錯誤しながら支えてくれる。でも、ちょっと思慮不足のところがあって、そのおかげで、グルーより以前に仕えていた「悪もの」はお亡くなりになったりとかしてるみたいなの。
でめ、ご奉仕が命の彼らだから、ご主人さまに気持ちだけはしっかり通じているように見えるのよね。このミニオンたちが登場するだけで、映画は一気に明るくなって、どこか”無条件で笑っていい”温かみをくれる存在でもあるわよね。
そんなグルーが、今回計画しているのが、あろうことか“月”を盗むこと。もうとんでもない話だけど、これにとってはそれが「誰かにすごいと思ってもらいたい」という願いの表れだったんじゃないかと思うの。
実際、月を縮めて盗むという荒唐無稽な計画には資金が必要で、グルーは”悪党銀行”に融資を申し込むんだけど、その銀行の経営者パーキンスに追い返されてしまう。
でも、あとでわかるんだけど、彼は自分の息子、ベクターを支援していたのよね。ベクターはピラミッドを盗んだばかりで、その派手な成果が評価されていたの。
つまりは親の権力でやりたい放題のボンボンって感じね。グルーのプライドが傷ついたのはもちろんだけど、それ以上に、”また自分は認められなかったという古傷がうずいたんじゃないかと思うのよね。
こうなってくると、月を盗むことはグルーにとっての存在証明みたいな感じになっていたのかもしれないわね。ところが、その作戦のキーとなる”縮ませ光線銃”を、バクタ―に奪われてしまう。
口惜しさと怒りを抱えながら、グルーはベクターの屋敷に潜入を試みるけど、彼のセキュリティは超ハイテク仕様で、グルーもミニオンたちも歯が立たない。
でも、何度失敗してもミニオンたちは、自分の”ボス”をけなげに助け続けるのよね。そんなある日、グルーはベクターの屋敷に出入りする三人の少女に目を留める。マーゴ、イディス、アグネス。
彼女たちは孤児で、クッキーを売る任務を与えられていたの。ベクターが唯一、彼女たちの訪問だけは受け入れている様子を見て、グルーは思いつく。「あの子たちを使えば、屋敷に潜入できる」。
そうして彼は、全く愛情の無い動機(笑)で、三姉妹を養子にすることに決めたの。言葉悪いけど、この時点では、完全に”道具”としてしか見ていなかったはず。
でも、それでも彼女たちとの共同生活が始まると、少しずつ(?)、いや、一気に劇的に、グルーの中で何かが変わり始めるの。
そんなきっかけになる彼女たちの性格、長女のマーゴは、聡明で現実的。妹たちの面倒を見ながら、自分の立場も理解して行動する芯の強い子。
次女イディスはおてんばで、行動も突飛。グルーの武器庫に興味津々で、ある意味ミニオンと波長が合っている感じ。そして末っ子のアグネス。
もうね、この子の存在が、本作の“核心”を揺さぶる鍵になるんじゃないかと思うの。ふわふわのユニコーンを見て瞳を輝かせる彼女の姿は、グルーが忘れかけていた“純粋さ”そのものだったんじゃないかしら。
彼女たちとの時間を過ごす中で、グルーは戸惑いながらも、何かあたたかいものに触れている気がしていたのかもしれない。それは“愛されること”というより、“愛したくなる感覚”だったのかもしれないわ。
でも彼はまだそれを“気のせい”だと思っていた節があるの。それくらい、彼の心は固く閉じていたんじゃないかな。
相関図②|三姉妹との出会い──心が動いた瞬間とは?

三姉妹を養子に迎えてからのグルーは、完全に“予想外”に巻き込まれっぱなしだったように見えるの。自分の計画のため、ただの潜入道具として家に迎え入れたはずのマーゴ、イディス、アグネス。
この三人が、グルーの生活どころか彼自身の内側まで、少しずつ変えていくの。まず、子どもたちとの共同生活は想像以上に騒がしくて、想定外だらけ。
アグネスがユニコーンのぬいぐるみを欲しがって、手に入れた瞬間には全身で大喜び。イディス天然の武闘派?とでも思わせるような振る舞い。そしてマーゴは、そんなふたりをしっかりと支えながらも、大人顔負けの冷静な視線でグルーを見ていたのよね。
それにしても、この3人の目の描写、ママにとっては秀逸すぎる。あと口元の動きもそうね。そんな表情で、彼女たちの心の動きを語ってくれるんだけど、序盤では、アグネス以外のふたりはまだグルーと距離を置こうとしているのを感じるわ。
でも、アグネスだけはちょっと違うのよね。彼女が、グルーの固く閉じた心に、すこーし隙間をあけたんじゃないかと思うの。それも、出会った瞬間に。
鍵が開けられて、隙間まで見えたドアが全開になるのには時間はかからないわ。そういえば、アグネス、あの化け物のような(笑)犬、カイル、一瞬で手名付けて(?)いたわね。
あれはアグネスが、心を全開に開いてるんですよ!っていう証としての描写だったに違いない。そんな心全開でぶつかってくるアグネスたちと、ある日、遊園地に行くことになるの。
ここって、もしかすると、グルーが彼女たちのことを思って行動した初めての場所だったのかも。モフモフのユニコーンを彼女たちのためにゲット、そしてマーゴからかけられた「今の最高だった!」という言葉、彼を認めた彼女たちの賞賛。ここから彼の心は動き始めたように感じたわ。
でももちろん、すぐに素直になれるような男じゃないのがグルー。そのタイミングで、ネファリオ博士がひとこと言い放つの。「この子たちのせいで作戦に集中できない」。
博士は冷静にグルーの“悪党としてのブレ”を見抜いていたのよね。だから彼は、三姉妹を養護施設に戻すよう進言する。そしてそれを、グルーはスルーして、結果的に受け入れてしまう。
彼の中にはまだ、「夢を叶えるには、何かを犠牲にしなきゃいけない」、或いは「この道で認められなければ」とかいう様々な思い込みが残っていたんじゃないかと思うの。
しかもグルーは、昔から「感情よりも結果がすべて」みたいな環境で育ってきたから、誰かのために迷ったり気持ちを動かしたりする自分のことを「まだまだ甘ちゃんだ」ってどこかで思っていたんじゃないかと思うの。
けれど──それでも、その別れは、心に何かを残さずにはいなかった。アグネスから手渡されたのは、バレエの発表会のチケット。
小さな手で、まっすぐな瞳で「来てね」と言ったその声。それがグルーの心に、グルーの心に刻みつけられたのは、“ただそこにいてくれるだけでいい”と誰かに思ってもらえた初めての感覚だったのかもしれない。
あの瞬間、彼は「役割」ではなく、「自分」という存在そのものを求められたと実感できたんじゃないかな。
その後、いよいよグルーは宇宙へと向かう。縮ませ光線銃を使って、ついに月を盗むことに成功するの。でもその直後──まさに、作戦大成功の瞬間に──彼の頭に浮かんだのは、月でもベクターでもなく、あのバレエのチケットだったの。
つまりそれは、“夢の達成”、”誰かに認められたいという思い”よりも、“誰かに会いに行きたい”という気持ちのほうが、本当は自分にとって大事なんだって気づいた証なんじゃないかと思うのよ。
この時点で、彼の中で“証明のための盗み”は終わっていたのかもしれない。グルーはもう、“認められる必要なんてなかった”という事実に、心の奥で触れてしまったのかもしれないわ。
グルーはまだ言葉にできていないけれど、すでに“本当の願い”に触れ始めていたように見えるのよ。誰かを思いやることは、自分の奥深くにあった“本来の自分”にもう一度手を伸ばすこと。そのはじまりが、まさにこの第二幕だったんじゃないかと思うの。
相関③|月と発表会──本当に大切なものは何か
月を盗む──それはかつてグルーが夢見た“世界一の悪党”としての頂点。でもその夢を叶えた瞬間、彼が見つめていたのは月じゃなかった。
胸ポケットに忍ばせた、小さな紙片──それは、アグネスから手渡されたバレエの発表会のチケットだったの。縮ませ光線銃で月を小さくし、誰もが驚くような偉業を成し遂げたその直後、グルーの目の前にあのチケットが。小さくなった月とチケット。明らかにグルーはその重みの違いを目の当たりにした感じ。
月じゃなくて、あの子たちの笑顔。世界一の悪党としての名誉じゃなく、ただ「そこにいてほしい」と思われる存在になること。その価値に、彼はようやく気づき始めていたのかもしれない。
ロケットで急いで地球に戻り、グルーがバレエ会場にたどり着いたとき──もう舞台は終わっていた。楽屋は静まり返り、そこに残されていたのはベクターからのメッセージ。
「三姉妹を誘拐した。返してほしければ月を寄こせ」。あの瞬間、グルーが感じた思いは、これまでのどんな失敗とも比べものにならなかったと思うの。
それは“失いたくないもの”ができたからこその、深い喪失だったのね。そしてここからのグルーの行動は、これまでとはまったく違う。彼は自分が盗んだ月を持って、ベクターの元へ向かう。そしてその月を、要求通りにためらいなく差し出すの。
今やそんなものに何の価値もない。「守りたい」気持ちのほうがはるかに大きくなっていた。でもベクターは卑怯だった。月を受け取りながらも、三姉妹を返そうとしなかったどころか、グルーを消そうとまでするの。まさに“愛のない世界”の象徴ともいえるような行動よね。
ここで登場するのが、ネファリオ博士とミニオンたち。グルーは明らかに悪党と呼べる状態ではなかったのに、彼らはグルーを見捨てていなかった。彼らは「悪党」が大好きなのにね(笑)。でも、彼らの態度は、むしろ彼が“本当に守るべきもの”に気づいた瞬間から、その背中を後押ししていたかのようね。
ミニオンたちは、悪党に仕えることを生きる糧としていたはず。。今この瞬間のグルーは完全にいい人どころか、こんないいひと、そこいらにはいないんじゃないのっていくくらいいい人なもんだから、ミニオンたちに何が起こったのか、それと、悪党の相棒として頑張ってきた博士に何が起こって、何が起ころうとしているのか。。次作やらスピンオフ「ミニオンズ」で明らかになるのか。とっても気になるところ。
そして助け出された三姉妹。彼女たちを抱き寄せるシーン──あれは、もちろん、グルーが“誰かの父親として生きること”を、自分の中でようやく受け入れた瞬間だったわよね。
相関④|最強の悪党は世界一やさしいパパになった
ベクターに渡した月は、結局グルーのもとには戻らなかった。いや、正確には月自体は元の大きさに戻って、宇宙へと消えていった。でもそれはもう、どうでもよくなっていたのよね。
かつては“世界一の悪党”として名を刻むために必要だった象徴──その月を、グルーは自分から手放した。それはもちろん敗北ではなかった。むしろあの瞬間に、彼は初めて“本当の意味で何かを手に入れた”ように感じるの。
失ったのは「他人に認めてもらうための自分」。でも得たのは「誰かと一緒に生きていくと決めた自分」。そしてそれは、比べものにならないくらい大きなものだったんじゃないかと思うの。
三姉妹との暮らしが再び始まる。そこにあるのは計画も作戦もない、ただ一緒に過ごす毎日。でもその毎日は、グルーにとって“月を盗む”以上の冒険だったにちがいない。
だって彼にとって未知だったのは、誰かと心を通わせて暮らすということそのものだったから。ミニオンたちは相変わらずにぎやかで、イディスは危なっかしい遊びをし、アグネスはぬいぐるみに夢中で、マーゴは冷静な目線で全体を見ている──そのどれもが、グルーにとっては愛しくてしかたないものになっていたんだと思う。
そしてある晩、三姉妹のためにグルーが書いた“絵本”が読み聞かされる場面が訪れる。彼の不器用な声で語られるその物語──それは明らかに、これまでの彼自身をなぞったような内容だった。
心を閉ざしていた主人公が、小さな三人の子どもたちと出会って、自分が何者かを思い出していく──そんな物語。でもそれは“作られたストーリー”なんかじゃない。まさに彼の心の中で起きた変化そのものだったの。
これまで、彼は愛を“もらえないもの”だと思い込んでいた。自分にはその資格がない。そうやって心を守ってきた。でも三姉妹は、そんな理屈を何一つ持たずにグルーに愛情を向けてきたの。
ただ一緒に過ごしたい、ただ会いに来てほしい、ただ笑ってほしい──その気持ちに触れたとき、グルーは初めて「自分も愛されている存在だった」と自覚できたんじゃないかと思うの。
そしてその瞬間に、自分の中にある“与えたい気持ち”も同時に目を覚ました。それは、条件のある優しさじゃなくて、“ただ、誰かのためにそうしたいからする”という、根っこの部分から湧き上がってくる感情だったんじゃないかと思うの。
相関図・あらすじのまとめ
かつて月を盗もうとした男が、最終的に手に入れたのは“世界一大切なもの”──それがこの物語の核心だったんじゃないかと思うの。グルーとアグネス、そして三姉妹の関係は、単なる“疑似家族”じゃなく、“お互いを受け入れて、愛することを選び合った家族”として描かれていたのが印象的だったわ。
今日も最後までご覧いただいて、ありがとうございます。
コメント