死んだはずの夫が、ある日ふらりと帰ってきた。それだけでも十分すぎるほど異常なのに、この物語は「戻ってきた夫」と同時に、「戻ってこない夫」の存在も。
事故・死亡・行方不明という事実が示される一方で、登場人物たちの言動には、どこか拭えない違和感が残る。夫・一樹、妻・聖子、そして行方不明者を抱える紗春。
「一番不自然なのは誰なのか」をかぎつける事件記者の目線で、物語を追ってみたいと思います
1話

冒頭シーンで描かれたのは、1台の車が川にかかる橋の路肩に車を止め、一人は後部座席から、そしてもう一人は運転席から、自ら降り立ち橋の欄干に向かうの。
そしてその後、明らかになるのは、その川で1人の男性が死に、後に描かれるのは、1人の男性は死亡が確認されていたのに1年後姿を現し、別の1人は1年前から行方不明のままになっているということ。
そして、2人の男性に共通するのは、手の親指付け根あたりに2つのほくろがあるという事実。
でも、まさか、被害者の2つのほくろ、意図的なものじゃないわよね。
ほどなく、あまりにショッキングなシーン。
川で溺死したと思われる主人、朝比一樹の身元確認を行う妻朝比聖子なんだけど…その人自身の生前の姿を知る者にとっては、耐えがたい瞬間なんだと思う。
演じる安田さんを知っているだけの視聴者にとってもこれだけショッキングなんだから、生活を共にしていた人にとっては耐えられないような時間なんだと思う。
それほどまでのショックを与えておきながら、わずか数分後に…彼は戻ってきたの。
彼..「ごめん、ほんとに悪かったと思ってる」って。
妻の朝比聖子さんからしたら、状況飲み込めないし、「いままでどこにいたの?」「どうして家を出ていったの?」って。
いや、ちょっとおかしい。突然現れた旦那の言葉としてもおかしいし、妻の言葉としてもおかしいんじゃない?
どんな背景や理由があるんだろ。
旦那の口をついて出てきた理由は、親から引き継いだ店をうまく切り盛りできない、借金がかさむ、家族を守れない。そして、何もかもいやになったって…なんだか、妻の立場からしたら、聞くに堪えないようなことばかりとつとつと話すんだけど….でも、この訳の分からない夫を、あっさりと受け入れてしまった聖子。
この聖子さん、前の感情を長く引きずるということはないのかしらね。
よく言えば、頭の回転が良くて、いろいろ気が付く。
頭をよぎったのは、自分が身元確認を誤ったせいで、保険金を受け取り、2000万円ほども既に使っているという状況。
この状況をもとの旦那に、それはもうわかりやすく伝えるんだけど、それを聞いた旦那の態度が気に入らないわあ。
なんでこの旦那は現れて早々に、あんな風に聖子さんのことを追い詰めまくれるんだろ。この旦那、意味わからない。
「俺は死んだことになってたのか..」とか仏壇の自分の遺影を手に取りつぶやいているんだけど、それって演技じゃないの?って疑いたくなるわ。
だってそのあとに、保険金の受け取りにまつわる事実確認、聖子が怖がるだろうと思われることとか、次から次へとまくしたてるんだから。
彼のぼんくらぶりはこの後たくさん描かれるんだけど、それにしては、あれやこれやと、まるで頭の切れる人の如くに聖子に畳みかけてくるんだから。
「このまま金はもらっておこう」「それ犯罪じゃないの?」「ちがうよ、後で返すんだから」って、えらく目に説得力にじませながら聖子をこのまま説き伏せてしまうかに見えるほど、浅智恵だけは働くみたいなの。
壁にかかった娘の亜季ちゃんが書いた絵を見ながら、「子供たちにずっと不自由な思いさせるんだぞ」って。聖子のツボをついてくるの。
聖子さんは、自分のことは辛抱できても、子供たちのことは、何としても守らなければならないって思いがとても強いのよね。
それは、彼女の過去の生い立ちにもあったみたい。
それに、子供を授かったとき、その子どもこそが聖子の幸せであり、なんとしても守り抜くって誓っていたのよね。
そんな思いを、この一樹は利用したに違いないわ。
このドラマの中で唯一ママの心和ませてくれるのは、聖子の子供たちかしら。
栄大君がね、高校受験に向けて、家にお金があるのか、軽~く探りを入れては、聖子さんの瞬間的ななん能を見逃さず、親を守るかの如くの言葉を選んでるの。
それにね、自分はこうしたいっていう思いも一応は匂わせながら、流れに応じてその流れを受け入れているようなところが見えるのよね。意固地にならないというか。ほんとによくできた息子さん。
聖子にとっては、そんなよくできた子供たちに苦労を掛けるなんてことは許せないんだよね。
彼女は結局、旦那は死んだことにしておいて、2000万円のお金をつくり、それを含め受け取っていた5000万円の保険金を返還し、その後、夫も含めて家族みんなで幸せな日々を取り戻すという筋書きにすべてをかけたみたい。
ならせめて、その旦那にそれまで姿見せないでくれくらい言えないのかな。
言わないのよね。聖子さんは。
そもそも、そんなことしたところで、もう道誤ってるんだから、それならそれで、自分の周りの人すべての人が幸せになってほしいと願うのが聖子さんなのかな。
そんな彼女が、葛原紗春さんに出会うことになるんだけど、彼女も行方不明の旦那を抱える身。
葛原さんにもやさしく寄り添うことになった聖子さんなんだけど、紗春さんの行方不明ご主人は、聖子が誤って死亡確認した男性だった可能性がでてきたの。
そこまでなら、まだ紗春さんと聖子さんの関係は、何とかこの先も維持できるものだったかもしれないけど、何か事件性が隠れているのを感じさせるのよね。
事件性のあるところに登場する雑誌記者天道弥生君の存在が、そこに事件性を感じさせるんだけど、どこにつながっていくんだろう。
彼はね「違和感のあるところに」現れるようなの。
ママ的に、1話での一番の違和感は、「わけの分からない一樹だけに、一樹には、ここまでに明かされていない別の事件性あり」なんじゃないのって思うんだけど、どうなんだろ。
2話
一年前まで朝比一樹と同棲していたとのたまう藤谷瑠美子。
「ほんとは旦那さん生きてますよね」って、お金のにおいを嗅ぎつける力が凄いの。
匂い嗅ぎつけるだけでなく、瞬時にゆすりにまで。
一樹は失踪当時、300万円を口座から持ち出していたらしいんだけど、そのお金もこの瑠美子の手に渡ったということかしら。
この一樹という人は、自分のやりたいことに対して、その妨げになるようなこととかそういう区別をする能力が著しく欠如しているみたい。
なんでそんなことしたの?って問いただす妻の朝比聖子に対する受け答えだけは、すらすらと口をついて出てくる。
ついでに、「もう彼女には会わない」なんて約束だっていくらでもしちゃうんだから。
でもね、たちが悪いのは、その気持ちが100%嘘から出たものではなさそうというとこなのよね。
一応、自分でもそうした方がいいって言う気持ちが、どこかにあるみたい。
こんなイライラがつのるような朝比家の中で、唯一の救いだった子供たちも、第2話にして早くも心配の種になってしまった。
彼らは悪くないの。単に視聴者の立場からしても、心配になってしまうだけ。
息子の栄大君、学校推薦枠の関係で、口もきいたことのない同級生から、嫌がらせを受け始めた。
そのネタが、両親が受け取った保険金絡みで、栄大君を不登校にさせようというもの。
栄大君がいい子過ぎるだけに、それに、このドラマの唯一の救いとして映っていたから、一層心配になってしまう。
子供同士の間にできた溝は、何とか早く埋められることを祈るわ。
今のところ、聖子さんにはまだ普通の日常も残されている。
弟の貴島光聖君。国会議員九条ゆりの娘さんと当の由里さんとの顔合わせ。
すでにお腹の中には赤ちゃんもいるらしい。
一応、和やかにカニを囲みながらの両家顔合わせだったんだけど、そこに記者の天道弥生さんが現れる。
弥生は九条ゆりの汚職を追いかけているのよね。
しかし、もう自分の夫のことで渦中の人となっている聖子のところに、どうして、こうも立て続けにお騒がせ的な人が集まるのか。
もうこうなったら、今はスキャンダルを追う立場で煙たい存在に見える天道さんが、早く聖子さんの味方のポジションについてくれることを祈るわ。
一応ここで、天道が追いかけている九条ゆりの疑惑について記しておくと、稲城建設という会社がゆりに裏金を流しているというもの。
今のところ、確たる証拠にはたどりついていなさそう。
九条ゆりの狂気の前に、多少ひるんだ感のあった天道だけど、そこが逆に、この先彼が聖子の味方になってくれそうな余地を感じさせるんだけど、気のせいかしら。
天道が聖子との距離を縮めてくるのと並行しているかのように、葛原紗春さんが近づいてくる。彼女は娘の希美ちゃんを守りたいがゆえに、自分の周りで助けてくれる人を求めていたみたい。
それにしても、朝比一樹、いったい何がしたいんだろう。
子供のことがかわいいのはよくわかる。忘れられないのもよくわかる。
もしかして、舞い戻ってきた一番大きな理由は子供たちに会いたくなったせいなのかな。
一日が終わり、一樹の部屋で聖子さんに会うのが彼の日課になっているみたい。
その日も、彼が戻った家には聖子さんがいた。
ただ、一樹は思いつめたような顔をしている。
瑠美子にほとんどのことがばれてしまったって言うの。
調べたんだろって聖子に伝えるんだけど、いや、あんたがぽろぽろぽろぽろしゃべってたんじゃないの?
なんでこんなにあかんの、この人。
この後、警察に行くって言う一樹。止める聖子。
瑠美子が要求してきた500万を手渡して、この件に終止符を打とうと決意する聖子なんだけど、どんな決意やねん。
うまくいくわけないやんっていうより、それあかん方向に向かってるってなんで気づかないの?
栄大君がね、最後に悲しいことを言っていた。ヘンゼルとグレーテル。
彼らを捨てたお父さんは悪いお父さん?って尋ねる妹の亜季に、弱い人間だと思うって。
俺がヘンゼルとグレーテルなら、自分を捨てた父親のところには帰らない。
弱い人間は、きっとまた裏切るからって。
二人のお父さんが、どこかで目覚めて、彼らを再び裏切ることが無いように祈るわ。


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