タイタニックの相関図

主なキャスト情報
ジャック・ドーソン (レオナルド・デカプリオ)
ローズと出会う前のジャックは、一見破天荒っぽい生き様見せてくれてて、タイタニックの甲板、最前部からニューヨークとそこでの大成功、そして、世界はもう自分のものだ!なんて未来に向けての希望に満ち溢れていた。
もちろん、誰もが知っているように、彼の運命は、その数日もたたないうちに、誰も予測できなかったような展開を迎えてしまうんだけど、その極限の数時間ほどの中で、彼の運命を決めてしまったこの日のこと、そう、船のチケットを入手できたあのポーカーのことだとか、後悔するような風も全くないし、人はそこまでいさぎよくなれるものなのかっていうほどに、爽やかに光り輝き続けていたのよね。
ジャックが初めてローズを見かけた時、彼はもうその瞬間くぎ付けになっていたわね。
まあ、美しさだけなら、ローズ以外にも美しい人はいたと思うし、だとすると、心の中で惹かれる何かがあったんでしょうね。
彼は絵描き。もちろん、絵描きだからその対象となる形や姿はつぶさに見ているわよね。
でも、彼、これまで付き合いのない上流と呼ばれる人たちの中に入ったとき、そこにいるお金持ちたちから共感を得ることができるような存在だったの。
きっと、彼はカタチある姿だけを見るのではなくて、その内面を見ることができる存在だったのかもしれないわね。
彼が最初にローズの心を見抜いたのは「死にたくないだろ」って言って、手すりの向こうにいるローズに手を差し出したときかしら。
船から身を投げ出そうとしている彼女に、「死にたくないだろ」って、よく考えたら、なかなか思いつかないし言えない言葉のように感じた。
でも、完璧に的を射ていたのよね。
つづく言葉もね。「自分でよじ登るんだ」ってローズに言うの。
もちろん、ジャックひとりの力で彼女を引き上げることは難しいというのもあったんだろうけど、ジャックは常にローズに対して、自分の意志で「生きろ」というのを伝えていたんだと思う。
この時がその始まりだったんじゃないかな。
そうやって、今のこの世の中を何とか生き切った先に、ちゃんと何かが待っているというのを、心の中で理解していた存在というのかしら。
だから、彼は、生きている間はとにかく生き延びようとした。
でも、自分とは違う別の誰か、ローズのためにというのが必ずあった。
彼は最後の最後まで、あきらめなかった。
その彼の心持が、最後の最後、この映画のエンディングに導いたように思うのよね。
ローズ・デウィット・ブケイター/Mrs.カルバート(ケイト・ウィンスレット/グロリア・スチュアート)
タイタニックに乗り込んだときのローズは17歳。歳を重ねたローズは101歳。
84年の時を経ながらも、守り続けたものがあるのよね。
タイタニックから生還した後の彼女には、女優としての人生があったようなの。
これは、ジャックとの約束の中にはなかった出来事ね。
でも、彼女の自由や本当の姿が、あの時のあの海にそのまま残されていたのだとしたら――。
Make it count.って、今を大切にとか、ちゃんと生きろとか、そんなニュアンスの言葉みたいね。
この映画の中で何度か出てくる言葉。
彼女とジャックにとっての「今」は、あの海の上にあったのかしらね。
彼女がその後、女優としての人生を歩み、さまざまな人生を演じてきたことにも、なんだか必然を感じるのよね。
本当に大切な「今」が、あの海に置き去りにされてしまったせいかしら。
彼女がロベットに「碧洋のハートは見つかった?」と尋ねたりしたのも、その青いダイヤを海に返したりしたのも、そのあたりが関係しているのかもしれないわね。
これについては、この後もう少し綴ってみたので、よければ読んでみてくださいね。
キャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)
ローズの婚約者。アメリカ鉄鋼王の御曹司。
ジャックに対して、キャルは全く人の内面を見ることができなさそう。
人って、自分のことをわかってくれない人と一緒に居ようとは思わないわよね。
自分のことっていうのは見た目やカタチじゃない。内面を見てくれなきゃね。
そんなだから、ローズは一生彼から逃れようとしていたみたいね。
彼の人となりは、ジャックとの最初の出会いで感じることができたわ。
ローズを助け、そこに接点ができたジャックに対して彼が言った言葉は「身分を考えろ」って。(でもこれは、DVD吹き替えセリフでのみ使われた言葉みたい)
でも、実際、言いそうよね。
僕に心開いてくれってローズに言いながら、青いダイヤを渡したりするんだけど、物じゃ心は開きゃしないわよって言ってやりたくなる。
この時、ローズが首に下がったダイヤにそっと手を触れるんだけど、その時、「この子も金で買われて彼の元にやってきた、私と同じようにかわいそうな子」くらいに、その宝石のことを不憫に思っていたのかもしれないわね。
スパイサー・ラブジョイ(デビッド・ワーナー)
キャルドンの執事。
ネット情報によると、元探偵だったらしいの。(DVD吹き替えでは刑事って言ってたわ)
なるほど~って思える観察眼が、描かれるところもあるわよね。
それに、ちょっと冷酷だったりもする。
ブロック・ロベット(ビル・パクストン)
彼はトレジャーハンター
碧洋のハート、青い色したダイヤモンドをタイタニックの中から引き上げようとしていたのね。
でもこの彼、言葉の端々に、宝やお金に取りつかれたような人物ではないことがうかがえる。
ダイヤが見つかるかっていう瞬間には、これでみんなに給料が払える!ってうれしそうな顔していたし、年老いたローズが再びタイタニックのところにやってきたときには、彼女の経験を、彼女の言葉で聞くことを望んでいたわ。
彼が狙っているお宝って、もしかしたら、単に宝石や貴金属なんかだけではないのかもしれないわね。
少なくとも、ローズの話を聞いた後には、本当に大切なものが何なのか、彼なりに感じるところがあったみたい。
ルース・デウィット・ブケイター(フランシス・フィッシャー)
ローズのお母さん。この作品のヴィランはこの方ということでいいのかしら。
この方がいなければ、ローズの苦しみの大半はなかったんじゃないのかなって思えるくらい、ちょっとひどい。
ご主人は亡くなってしまい、莫大な借金が残っているらしい。
それでも、生活レベルを落としたくなくって、半ば娘を金持ちに売り渡すようなことするんだから、それは、ちょっとわがままというレベルを超えてるのでは…と思ってしまう。
ローズからしたら、まさに地獄を見るような家庭環境だったんじゃないかしら。
船での事故の後、ローズはこの母親とも二度と会うことはなかったんでしょうね。
マーガレット・モリー・ブラウン(キャシー・ベイツ)
お金持ちたちの中にも、心ある人はいるのよね。
マーガレットはその代表格のような存在。
実在の人物と架空の人物が混在する映画だから、実在の人物の言動がそのまま映画に再現されていたのかどうかはよくわからないんだけど、それにしても、すごい存在感。因みにマーガレットは実在の人物らしいの。
人のことを助けようとする人だったみたい。
真に強い人というのは、自分のことばかり考えてるような人の中に入っていくことにもためらいがないのかな。
そんな人たちをもちゃんと助けようとしているという事かしら。
或いは、ジャックのように、人の内面を見たり、心開かせることを考えているから、心閉じた人の中にも積極的に入っていくということかしら。
この映画の中では、英雄的に見えてくる存在ね。
ローズはなぜ自ら命を絶とうとした?
タイタニックに乗り込んだときのローズは17歳。
当時の17歳にしてはとても大人びた容姿よね。
その姿は、婚約者も彼女のことを絶対放してなるものかって、まるで宝石でも見るかのごとくに…そんな気にさせる魅力をもっている。
その婚約者、ホックリーが思うところの「所有物」として申し分のないレベル。
彼女の性格を象徴する印象的なシーンがいくつかあるわね。
1912年、上流階級が集う中で、煙草を吸うというのは自分を取り囲む人や環境、境遇に対して反抗的態度のようにも見えた。
フロイトや芸術なんかを巧みに引き合いに出しながら、あえて大人たちが目を伏せがちな言葉を発したりする。
人が隠して当然と考えがちな性的な表現や妙に忌み嫌う雰囲気なんか、そんなものにこだわること自体バカげてるし、そもそも窮屈でしょうがないって感じてるみたい。
あの時、自分を取り囲むすべてが、ばからしい枠に押し込めようとしてくるみたいに感じて、辛抱ならなかったんだと思う。
でも、そうだったとしても、その命を自ら断ってしまおうとするほどに追い詰められているというのには、ちょっとした違和感を感じた。
ローズが感じていた「自分」というのは、人目なんか気にせず、タバコも吸ってみたり、性的なことを話してみたりもする。
周りがその存在を認めてはくれないようなところにこそ自分がいるとか感じていたのかな。
つまり、周りの誰もが私の方を見て、語りかけてくるけど、そこには「自分」はいない、それは自分ではないと感じていたんじゃないかしら。
たぶん、人って、これが「自分」っていう部分を周りの人に認めてもらって初めて自分が存在しているって喜びを感じたりする部分があるんじゃないかな。
あの上流社会の中にいて、本当の自分を見つけて認めてくれる人は誰一人いなかった。
そんな日常の中で、ローズ自身が「自分」の存在が感じられなくなってきて、それがあの上流社会の象徴タイタニックの一等客の集まりの中、海に囲まれどこにも逃げようもない奴隷船という閉じ込められた環境で、ローズは思いつめ、衝動的に絶望感にさいなまれたって感じかしら。
なぜ「碧洋のハートはみつかったかしら?」などと尋ねた?
「碧洋のハートはみつかったかしら?(I was just wondering if you’d found the “Heart of the Ocean”, Mr. Lovett.)」というのがローズがトレジャーハンターロベットが映っているテレビ番組を見て電話したときの第一声。
何のためにそんな質問をしたのかしら。ダイヤのありかは自分が知ってるのに。
この映画の中で、何かの象徴のように登場する青いダイヤ。
それって、ローズを象徴するようにも感じる。
だって、その中には、心があるわけでもなく、ただの石ころなわけでしょ。
でも、それはそれは美しい。
がんじがらめになって自分の心を見失ってしまったローズと、少し共通するようなところ感じない?
周りが追い求めた見た目の美しさ。
人が望めば、その望んだとおり、身につけたものの首元を輝かせたり、その宝石の生涯の多くの時間は、その美しさゆえに金庫の暗闇の中にしまい込まれたりするのかもしれない。
まさに、今のローズじゃない?
ローズ自身がその宝石を自分であるかのように見ていたんじゃないかなって思う。
だから、自分と共に、その宝石も金や権力や地位にしか関心のない人々の目から遠ざけてそっとしておいてあげたかった。
その宝石の自由を奪い取ろうとする周りの上流階級の目が届かないところに。
少なくとも、自分が生きている間は、自分と共に、ひっそりと、その本来の姿を隠して、周りの興味の対象から逃れさせてあげていたのよね。
トレジャーハンターさんの目的はもちろんこのお宝さがし。
多少気の毒には思ったかもしれないけど、本当のことを言う訳にはいかなかったのよね。
少なくとも、ローズが、その人生を生き切るまでは。
青いダイヤを海に捨てた理由は?
ローズ自身は命の終わりを迎えることで、その場から姿を消すことができ、そうすることで自分は自由になれると思っていたのかも。
でも、宝石はそうはいかない。
だから、自分と同じ境遇の宝石にも、最後にまた自由を取り戻させてあげたかったんじゃないかな。
自由を取り戻したところに存在していたのはジャックよね。
ローズはジャックが願ったようにその寿命を全うして、でも、やっぱり本当の自由は、その先にあると感じていたのかもしれない。
ジャックといることこそが自由なのであり、本来の自分に戻ることだったから。
自由を得て、またジャックと一緒になれる。
彼女にとって自分の象徴でもあったあの青い宝石、同じように自由にしてあげなきゃって思いがきっとあったんだと思う。
選んだ場所が、あの海に帰してあげること。
あそこには、あの宝石にも、ローズにも、自由があったの。
ほんのわずかな時間、ものすごい危機的な状況ではあったけど、あの瞬間、ローズはジャックのために生きた。
ジャックはローズのために生きた。
宝石は、画家としてのジャックに、最高の自分を演出して差し出すためにローズがあの時、命をふきこんでいたんじゃないかな。
ローズにとって確かに自由が存在したあの場所、あの時へ、自分の象徴も返してあげたんじゃないかな。
「碧洋のハートはみつかったかしら?(I was just wondering if you’d found the “Heart of the Ocean”, Mr. Lovett.)」には、私(あの時の自分の象徴であるダイヤも含めて)の自由は、もう誰にも奪わせはしないわよっていう意志みたいなものを感じる。
ジャックとの約束を果たしたのち、ひっそりと守り続けた自由らしきものを、今度は誰の目もはばからず、大っぴらにあの場所でジャックと共に謳歌するんだから。
でも、あのおばあちゃんのことだから、微笑みながら「ごめんね。でもね、あなた(ロベット)の生きる意味だって、そんなところにあるわけじゃないんだから、早くお気づきなさい。:)」くらいに思っていたんじゃないかな。
石の名前は “Heart of the Ocean”。
その名の通り、海の中でこそ心が宿る石なのかもしれないわね。
あの海で、首にその石をまとった裸体のローズをジャックが描いていた時、きっと、そこには命が宿っていたんだと思う。
最後の最後、静かに旅立ったローズが、ジャックにあの場所で再会するシーンが描かれていた。
あれが、彼女が手に入れた本当の自由の瞬間。
そこには、囚われていた老いた肉体もなければ、青いダイヤもなかった。
彼女の胸元を輝かせていたのは、おそらく誰の執着も受けたことがないであろう白く輝く美しい宝石たち。
そこには、あの青いダイヤも、彼女自身を縛り付けていたかつて美しかった肉体も存在しない。
形や肉体に縛られることのなくなった世界で、二人は再び結ばれたように感じたわ。
まとめ
船の先端で、二人過ごした時間。
あの時間が永遠に続けばいいと感じなかったかしら。
ローズとジャックもそう願ったのかもしれないわね。
そして、二人の肉体は離れ離れになって時間は停止してしまったかに思えた。
84年。
でも、それは、この肉体の世界で止まっただけの話だったのよね。
生き切って、その肉体を脱ぎ捨てた時、彼らはまた繋がり合って、永遠の時間がまた再び動き出した。
ママにとって、この物語は精いっぱい生きることを教えてくれる映画だった。
でも、自分のために、この厳しい世界を生き抜くってとてもできない。
誰かのために、誰かとの約束を果たすために、そうやって生きてこそ、生き切るっていうのができるのかもって思った。
そして、その先にはもちろん、幸せが待っているのよね。
ところで、ローズが最後に碧洋のハートを海へ落としたときの声、彼女の最後の演技なのかしら。
タイタニックから生還してからの彼女の一生、ジャックとは違う誰かと結婚して、子供を授かり、自らの人生を謳歌するかのように過ごしてきた84年。
それらすべては、ジャックとの約束を果たし、ジャックにささげるために彼女なりに最善を尽くしてきた演技だったのかな。
彼女は、青いダイヤも84年のジャックのいない生涯も、そこに置いて、「今」に戻っていったんじゃないかな。
彼女の「今」には、ジャックがいるのよね。
老いもお金も身分もない。そんな世界にローズはようやく帰ることができたみたい。


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